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(写真=Robert Kneschke/Shutterstock.com)

2017年1月1日~2021年12月31日まで実施される、「セルフメディケーション税制」をご存じでしょうか。医薬品や病院へかかった費用などの所得控除としては医療費控除がありますが、セルフメディケーション税制は「医療費控除の特例」として年間1万2,000円を超えて「スイッチOTC医薬品」を購入した人を対象とする控除です。

この新制度は、今まで医療費控除の対象ではなかった人も対象となる可能性があります。今回は、このセルフメディケーション税制について、従来の医療費控除との違いや注意点なども含めて紹介します。

セルフメディケーション税制ってどういう制度?

セルフメディケーション税制は、医療機関を受診せずに自分で市販薬を購入して病気などを治すことに着目した制度です。自ら健康管理を行うことを促進させる目的や、医療費の適正化をはかる意図があります。

この新制度は、対象年の1月1日~12月31日までに対象商品を購入した合計金額が1万2,000円を超える人が対象となります。例えば、課税所得が400万円の世帯が年間対象の商品を3万円購入した場合、3万円-1万2,000円=1万8,000円が課税所得分から控除されます。その結果、所得税は1万8,000円×所得税率20%=3,600円の節税、住民税は1万8,000円×個人住民税率10%=1,800円の節税となり合計で5,400円が減税されることになります(※課税所得によって税率は変わります)。控除金額の上限は8万8,000円ですので、10万円を超えた場合は、医療費控除とどちらが節税になるかを検討しましょう。

セルフメディケーション税制の対象者や対象品は?

セルフメディケーション税制は、健康の維持増進および疾病予防の取り組みを目的としています。そのため対象となるのは、疾病予防に取り組んでいることを証明できる人になります。例えば、「インフルエンザの予防接種を受けている」「会社や自治体の健康診断を受診している人」などが該当します。条件はどれか1つを満たせばよいのですが、領収書など受けたことの証明書の添付が必要となります。

対象品となる「スイッチOTC医薬品」とは、もともと医師の処方箋が必要な薬が規制緩和によって市販されるようになったものが該当し、近年ではロキソニンなどがあります。ただし、製薬会社から出ている同じシリーズの解熱鎮痛剤でも対象外の商品もあります。対象商品には、医薬品のパッケージに「セルフメディケーション税控除対象」という識別マークがついているものもあるので、参考にしてください。

2017年1月現在、セルフメディケーション税制の対象は1,577品目となっています。対象となる商品については必要に応じて2ヵ月に1回更新される予定で、厚生労働省のホームページに一覧表が掲載されています。

参考: セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧(厚生労働省)

セルフメディケーション税制が適用されるための注意点は?

セルフメディケーション税制を利用するうえで知っておきたい注意点は4つあります。

1. 確定申告が必要
セルフメディケーション税制の優遇を受けるためには、医療費控除と同様に確定申告が必要になります。例えば、今年の1月1日~12月31日の間にセルフメディケーション対象の商品を購入した場合は、翌年の2月16日~3月15日(土日の場合は翌営業日)までに確定申告をする必要があります。確定申告というと難しく感じる方もいるかもしれませんが、国税庁のホームページに専用の入力サイトがあるので、こちらを利用すると簡単に入力ができます。

2. 医療費控除と併用ができない
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例です。医療費がかかると所得控除が受けられる医療費控除と併用することはできません。どちらかを選択した場合は後から変更できないので、両方の条件を満たしているときは、節税になるほうを選ぶようにしましょう。

3. 自分や家族が購入したものが適用になる
セルフメディケーション税制は、自分や生計を同一とする家族が購入した場合を対象とします。一人では金額が足りない場合でも、家族全員で購入した分を合計すれば適用できるかもしれません。また、同一世帯内でAさんはセルフメディケーション税制を、Bさんは医療費控除を、というようにそれぞれ申請もできます。

4. 領収書だけでなくレシートも対象となる
領収書だけでなくレシートも利用できますので、大事に保管しましょう。レシートについては、販売業者に対して、分かりやすいマークを入れるように要請されています。消費者にもセルフメディケーション税制対象商品と分かるよう、対象品目には★マークなどがついています。

セルフメディケーション税制は医療費控除に比べて条件を満たしやすいものとなっています。確定申告は必要ですが節税に役立つので、従来の医療費控除と比較したうえで積極的に利用したいものです。(提供: 保険見直しonline

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