家賃補助は、世帯主に対して支給するケースが大半です。世帯主は、一つの住所に一人だけというイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。世帯分離という方法を使って補助を受けられることがあります。今回は、世帯分離について解説します。

世帯分離をすれば家賃補助を受け取れるようになる?

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(写真=MilanMarkovic78/Shutterstock.com)

家賃補助(住宅手当)は、多くの企業が取り入れている制度です。支給要件は、就業規則によって定められます。一般的には本人が世帯主であることを必須項目とし、住民票の提出を求めることが多いようです。世帯主を条件にしているのは、一つの世帯で何人も補助を受け取る二重取り、三重取りを防ぐためです。

それでは、親や兄弟などと同居している場合はどうなるでしょうか。たとえば、同じ住所で別々の部屋、家計も食事も別、家賃もそれぞれ払っているという場合、実質的に別居しているケースと変わりません。このようなときに家賃補助を受け取ることができなければ不公平感が生じるかもしれません。このような場合、世帯分離をすることで世帯主となり、家賃補助の条件を満たすことができます。実際には、家賃補助の条件は住民票以外のケースもあるため事前に確認が必要です。

世帯分離とは、一つの住所に居住する世帯を二つ以上に分けることをいいます。それぞれの世帯に独立した世帯主が生まれます。

手続きとしては、管轄する市区町村の戸籍係や市民課などの戸籍担当窓口に、世帯変更届を提出します。役所によって手続きは変わりますが、運転免許証や健康保険証などの本人確認書類が必要とされるケースが多いようです。窓口で問題なく受理されれば、それ以降に発行する住民票の世帯主欄には新しい世帯主の名前が記載されます。

どのような場合に世帯分離できるのか

世帯変更届は届出制なので、法令に沿った手続きをしていれば受理されます。大事なことは「世帯主とは何か」ということです。法令上世帯主ではない人が世帯主になることはできません。住民票に関する基本事項を定めているのは住民基本台帳法ですが、そこには世帯主に関する定義については記載されていません。戸籍や住民票に関する事項を所管していた自治省(現在の総務省)は、「住民基本台帳事務処理要領」と「世帯主の認定基準」において、次のように定義しています。

「世帯とは、居住と生計をともにする社会生活上の単位である。世帯を構成する者のうちで、その世帯を主宰する者が世帯主である。」

「『世帯主』とは『世帯を主宰する者』で、それは『主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当と認められる者』と解するとされる」

つまり住所が同じでも、生計(家計)が別々なら世帯分離できるということになります。

生計が別々であるかを確認するのは市区町村の窓口で、基準は異なります。しかし、夫婦は原則的に分離できないところが多いです。口頭で生計維持者について確認するところもあれば、夫婦であっても特に確認することなく受理するところもあります。

世帯分離をすることの影響はほかに何があるか

世帯分離の影響は住民票が変わるだけではありません。介護保険や医療保険などの制度では、世帯の所得が多ければ多いほど負担額が高くなります。そのため、世帯分離することで負担する保険料が減ることもあります。

自治体としてはそれだけ収入が減ることになりますから、世帯変更届の受理は慎重に判断します。口頭で生計について確認する窓口があるのはそのためです。

親子だからといって必ずしも同じ世帯である必要はない

多くの企業は、家賃補助を支給する条件として、従業員本人が住民票の世帯主として記載されていることを求めています。二世帯住宅のように同じ住所に住んでいても家計は別という場合には、一つの世帯を二つに分ける世帯分離をすることにより、補助を受けることができるかもしれません。(提供: フクリ!

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