米決済スタートアップ、Squareが、P2P送金サービス「Square Cash」で本格的にデビットカード市場に参入する。「カードや現金不要の次世代決済」を目指してきたSquareのようなスタートアップにとって、「今さらカード?」という驚きの声も上がっているが、モバイル・デバイスのみに依存するという発想に抵抗を感じる消費者も少なくはない。デビットカード市場の新風として、若い世代を中心に人気に火がつきそうだ。

欧米で人気のデビットカード決済でサービスを多様化

デビットカード,Square,決済
(写真=Jack Dorsey, Twitterより)

2013年に登場した「Square Cash 」は、今ではすっかりおなじみとなったメール送金サービスだ。メールアドレスと金額を入力するだけで送金できる手軽さが若い世代にうけ、P2Pからオンライン・ショッピングへとサービス分野を拡大させた。

日本では今一つ定着しないデビットカードだが、欧米では現金やクレカをしのぐ主流決済法だ。Squareはオンライン用にバーチャル・デビットカードを導入。ApplePayとリンク させることで、多様な決済が可能になった。

今年4月、いよいよ本物のデビットカードの発行に踏みきることが、ドーシーCEO自らのTweet で明かされた。

例えば「スマホのバッテリーがきれた」あるいは「紛失、故障した」など予期せぬアクシデントに見舞われた場合でも、カードがあれば決済面での心配はなくなる。

ドーシーCEO がツイートして公開したSquareのデビットカードは、モノトーンのシンプルなデザイン。「Square Cash 」をとおして決済が行われるので、クレカのように使いすぎる心配もない。

小企業向けローン「SquareCapital」で融資産業にも本腰

Squareの野望はここで止まらない。2014年からは小企業向けローン「SquareCapital」 で、融資事業にも乗りだしている。

Square のサービス加盟店を対象に資金の融資を行い、売上から一定の割合(9%から13%)返済するという仕組みだ。貸出期間に基づいた金利や返済計画が設定されていない代わりに、過去の業績や財務情報が審査基準になっている。

融資上限は1万ドル(約114万円)。審査から融資まで、通常は24時間以内に完了するというスピーディーさも借り手にとっては嬉しい特典だ。

Squareがデビットカード発行を機に、融資事業を拡大する可能性も報じられており、今後目の離せない決済企業のひとつとしてさらなる飛躍を遂げそうだ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

【編集部のオススメ FinTech online記事】
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
最新の株価指数「FinTech指数」とは?
ロボアドサービスを公開したウェルスナビ「より使いやすい見た目や操作感を……」
CEATEC開催 MUFGが初出展、AIを活用したサービスを展示
「FinTech化が進む金融業界で活躍できる人材とは?」