イーサリアムの共同設立者、ヴィタリック・ブテリン氏は、プーチン大統領と個人的に会話を交わし 、プーチン大統領がブテリン氏の「ロシアで事業提携先を探したい」という意向にこたえる意向を示したことを明らかにした。

政界でも仮想通貨への関心が高まっており、マクロン大統領やオズボーン前英財務大臣がビットコインを利用しているとも報じられている。

欧米、アジアの政府が仮想通貨について議論

ロシアの報道官の発表によると、両者の接触は2017年6月1日から3日まで開催されていた「サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム2017」 で実現した。

プーチン大統領は世界各国から集まった大企業のCEOと接触した後、ブテリン氏とも「簡単な会話」を交わした。残念ながら詳細は明かされていないものの、イーサリアムやブロックチェーンに関する会話であったことは間違いなさそうだ。

プーチン大統領のような政府最高長官が仮想通貨に関心をいだいている事実は、仮想通貨を次のレベルへと押し上げる原動力となるだろう。

ブテリン氏はほかにも米国、英国、スイス、シンガポール、中国、台湾などの政府関係者と、「和やかな雰囲気の中で議論した」ことを認めている。余談ではあるがブテリン氏自身は6歳でカナダに移住するまでロシアで育ったため、英語のほかにロシア語も堪能だそうだ。

政界で増えるビットコインユーザー

各国の政府の仮想通貨に対する関心は、日を追うごとに高まっている。早期段階からFinTechの促進に取り組んできた英国では、2014年にジョージ・オズボーン前英財務省が自らビットコインを購入し 話題を呼んだ。

イングランド銀行は2016年2月、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンとの提携で、独自の仮想通貨「RSコイン」を開発したほか、仮想通貨用プラットフォームへの利用を視野に入れた、ブロックチェーン技術の開発にも着手している。

またマクロン仏大統領も、ビットコイン・ウォレット「レッジブルー」 を愛用しているだけではなく、就任後は証券取引にブロックチェーン技術を利用する実験に向け 、金融規制の改正に乗りだしていると報じられている。
対立候補のルペン氏が自他ともに認める「仮想通貨反対派」だっただけに、マクロン大統領の勝利はフランスのFinTech促進にとって、広範囲な意味でプラス効果を意味するといえるだろう。

米中は仮想通貨を敵視?

プーチン大統領が動いた今、トランプ大統領と習近平国家主席のスタンスも気になる。英国やフランスほど好意的でないことは確かのようだ。

中国政府は独自の仮想通貨開発を進める一方、国外への資本流出を食い止める意図でビットコイン取り締まりを強化させている。OKコイン、BTCチャイナなどのビットコイン取引所が、中央銀行による大がかりな捜査 を受けた。

米国も2014年に「仮想通貨は税務上通貨と認めない」と正式に発表して以来、特に態度を軟化させた様子は見られない。トランプ大統領に関しては仮想通貨の存在自体を理解しているのかいないのか、どことなく雲をつかむような印象を受ける。今後これらの国で、仮想通貨環境に大きな差が開いていくことが予想される。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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