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長引く超低金利の下で、老後の生活資金や将来の備えとして外債の購入をご検討されている方もいらっしゃると思います。この項では、外債の魅力・留意点などを述べたいと思います。


「債券」とは?

外債=外国通貨建て債券といえると思いますが、そもそも債券とは何でしょうか?

一口で言うと、国や地方公共団体・一般事業会社などの発行する「借金の証文」「借用証」と言えると思います。返済期限はいつなのか?利息の額や支払い方法まで記されている証券を指します。金融市場における流通の裏付けとしての信用力が必要となり、友人知人間の「借金の証書」は、「債権債務」と区別されます。

「いい債権があるけど、買いませんか?」「ちょうど定期が満期だし、いい債券なら買おうかな」

このようなトラブルに巻き込まれないように、注意が必要ですね。


「外債」とは?

外国通貨建て債券=金融市場あるいは、金融商品の紹介をする上での分類。外国政府などの発行体が、日本円以外で資金調達をする際に発行される証券。世界銀行などの国際公共機関も発行体となり得ますし、国内の企業が外国(通貨建て)で発行するものも、この項では同じ外債のカテゴリーとして扱いたいと思います。

「外債の魅力」 日本の数倍~数十倍以上の金利が魅力

なんといっても金利の高さが魅力と言えます。主要国の2014.1月現在の政策金利を見てみましょう。

外債投資①

この政策金利をそのまま当てはめて例えると、1億円に対し日本では1年で10万円の利息、トルコでは1000万円。また日本と米国間でも2.5倍の金利の差が生じていることがわかります。外債に限らず外貨預金からFXまで、外貨投資が注目されることもうなづけます。


「債券と金利の関係」

上記の金利表は、各国の政策金利です。これが日本の国内に本店のある銀行間の預金金利であるならば、比較も容易ですし、金利の高い銀行に預金をしますよね?ただしこれが、通貨も社会情勢も全く条件の違う銀行ならば、ちょっと迷われると思います。そこで、金利と債券の関係を少し延べたいと思います。

○金利の背景には様々な事情があります。

景気はいいけれど、「景気の過熱を抑制するインフレ防止的な金利高」~潜在的な社会不安があり「信用力が乏しく低金利での資金調達が難しい」など金利の高さには様々な要因があります。逆に世界の中で、最低金利の国でありながら資金調達のできる日本国債の信用力の高さが特筆ものといえます。

各国を身近な友人に例えると、日本君は金利0.1%でお金を貸すけどブラジル君は10.5%の金利を貰うからね。この様にたとえる事ができるでしょうか?

また、金利は変動します。その際の債券投資との関係を図にしました。

外債投資②

購入後に償還期限満期まで保有するのであれば、債券相場の変動リスク(金利変動リスク)は、ありません。債券相場は金利と反比例の関係がありますから、金利が上昇するときは、債券相場は下落します。理想的には「①のような時期に長期保有目的で購入して、②のような金利の低下時に予定を前倒しで売却する」というスタンスでしょうか。


「外債投資の際の留意点」

外債は、例え外国の政府発行債券であっても、他の投資商品同様のリスクが存在します。

①為替変動リスク

満期償還時や途中売却のときに、購入時よりも円高になっていると元本が目減りしあるいは受け取り利息を上回る目減りとなる場合があります。最近は、金利部分だけを円建てで発行される債券もありますので特に長期保有目的の方は、比較検討の余地があるかもしれません。

②金利変動リスク=相場変動リスク

前章で述べましたのでご参考にしていただきたいと思います。

③信用リスク

債券が借金の証文である以上、返してもらえないリスクが存在します。企業であれば倒産、国家であればデフォルト(債務不履行)のリスクがあります。債券を選ぶときには、「金利とともに格付け会社の信用力評価」を参考にしましょう。格付けランクが低いほど債務不履行の可能性が高まりますし、金利もある程度比例すると考えられます。

投資家はお金を貸して金利を貰う立場ですが、逆にお金を借りる側に立ち考えて見ます。企業の設備投資資金にしろ国家の運営費であれ、お金を借りる側としてはできる限り低金利で資金を調達したいものです。ただし、借りる側の信用力、周囲の環境など競争上金利を負担しないと資金の調達ができない…高金利との裏腹の関係を理解しましょう。

④流動性リスク

売却したいときに、買い手が見つからないリスクといえます。カントリーリスクとも重複する部分がありますので、まとめてに説明したいと思います。

発行する国だけはでなく、周辺国も含めて政治的経済的理由により売買が制限されたり、場合によっては戦争や政権が転覆したりするリスクといえます。買い手がつかない場合と取引が制限される場合があります。


「購入時のポイント」

①定期的に利払いが行われる債券の場合に、利払い日が近い債券を購入すると相場が高く逆ザヤになる場合があります。債券購入のときには次回の利払いまで期間の長いものを購入しましょう。

②前章で述べたとおり、金利と信用力は反比例しやすい性質があります。可能であれば分散投資(国や種類の分散)をしてリスクヘッジを考えましょう。

photo credit: Johan J.Ingles-Le Nobel via photopin cc