前週(7/3〜7/7)の日本株は小幅ながら2週続落、2万円固めは出来なかった。自民党の支持率が急低下、北朝鮮の地政学リスクが高まったこともあって、引け値では5日から2万円を割り込んだ。日経平均の週間の引け値は1万9928円と前週末比104円34銭(0.5%)安で商いを終えた。

前週(7/3〜7/7)の振り返り

株式展望
(写真=PIXTA)

3日の日経平均は反発し、前週末比22円37銭(0.1%)高の2万55円80銭で終えた。

東京都知事選で自民党が歴史的大敗。加計学園問題は拡大の兆しで国会閉会中にもかかわらず審査することになり、安倍政権の不透明感が増した。

もっとも、取引時間前に発表した日銀6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で大企業の製造業DIは3四半期連続で改善し、コンセンサスの15を上回る17だった。短観のトレンドは、日経平均との連動性が高いため市場は堅調だった。

4日の日経平均は反落、前日比23円45銭(0.1%)安の2万0032円35銭で終えた。

朝方は、円安、海外株高などで、一時141円高まで上げ幅を広げたていた。午前中に北朝鮮が日本海に向けてICBMを発射した。通常のミサイルなら材料になり辛いが、北朝鮮がついにICBMを成功したとの報道でリスク回避の円高が進み、日経平均は一時2万円を割り込んだ。2万円割れでは押し目買い意欲も強く、下げ幅を縮小し2万円を回復して引けている。

5日の日経平均は反騰、前日比49円28銭(0.3%)高の2万0081円63銭で終えた。

4日の米国市場は独立記念日のため様子見気分が強い中、北朝鮮が核実験を始める観測報道が流れ、日経平均は一時140円強の下げで1万9888円と6月16日以来の1万9900円割れとなった。

もっとも、韓国市場などアジア株市場が総じて堅調な動きをみせたことや日銀のETF買いで、切り返し日経平均は前日比プラスで引けた。

6日の日経平均は反落、前日比87円57銭(0.4%)安の1万9994円06銭で終えた。

政局、地政学リスク懸念は継続、九州豪雨被害の拡大もあって投資家心理が冷え込んだ。6月16日以来3週間ぶりに引け値で2万円を割り込んだ。

7日に始まるG20や8日の日米首脳会談での北朝鮮への対応などを見極めたいとの心理が働いた。7日の日経平均は続落、前日比64円97銭(0.3%)安の1万9929円09銭で終えた。

ECBのテーパリング発言をきっかけとした世界的な金利上昇による欧米株安を嫌気、日本株にも売りが先行、日経平均は一時1万9856円と4日以来の1万9900円割れ。

日本国債の金利も上昇したため、10時過ぎに日銀が5カ月ぶりの指し値オペを実施した。日銀の金融緩和継続に対する意思表示であるため、円安が進行、株にも押し目買いが入り日経平均は下げ幅を縮小した。戻りも限定的で2万円を回復せずでの引けとなった。

先週の海外動向を振り返る

7日のNYダウは、6月の米雇用統計で雇用増のペースが加速したのを好感、3日ぶりに反発し前日比94ドル高の2万1320ドルで引けた。それでも週間では30ドル安と、2週連続の下げだった。

米雇用統計を受け、NY為替市場で円は一時114円18銭と5月11日以来、2カ月ぶりの円安水準になった。引けは前日比70銭円安の113円95銭。

CMEの日経平均先物は、2万0040円と金曜日の大阪先物の引け比90円高で2万円を回復してトレードされていた。

「7/10〜7/14」の株式展望

今週の日経平均のメインシナリオは、1万9700円から2万0200円のレンジを想定している。

懸念されていた欧州テーパリング懸念によるリスクオフは先週の雇用統計後の株高で一旦解消された。米経済のスローダウン懸念が解消されるような経済指標が続くなら、ドル高、米株高のサイクルに戻る可能性はある。

ただ、金曜日のNY株高はショートカバーの可能性が高そうだ。市場の上げを牽引してきたハイテク株の調整が長びきはじめていたが、そのハイテク株が金曜日戻したからだ。継続性があるかどうかは、今後の経済指標と今週の株価動向を見定める必要がありそうだ。

欧州景気は予想を上回る改善となっており、ECB理事会の議事録でもテーパリングを考えていることは確認されており、ゆっくりとテーパリングに向かうことは間違いないだろう。

米長期債利回りは、雇用統計を受けて先週末は一時2.398%と3月以来の水準まで上げた。世界的な金利上昇懸念は続く。円安が、欧米の金利上昇で円キャリートレードの積みましによるものならあまりいい円安とは言えない。

日本市場の一番の懸念は、政局だ。10日に加計学園問題で国会閉会中審査を実施することになった。2日に行われた東京都議選では自民党は歴史的な敗戦を喫し、小池都知事の都民ファーストが躍進し過半数を占めた。JNNが3日に発表した内閣支持率は43.3%と前月から11ポイント下落した。

内閣支持率が40%を割ると外国人投資家が日本株を売るというアノマリーがある。45%割れからが危険領域だ。安倍内閣が安保関連法案を強引に国会通過させた2015年6月には、内閣支持率が40%を割ったことで、外国投資家は1兆円以上の日本株を売却した。先週の日経平均下げは、外国人が売り始めた可能性がある。今週木曜日東証が発表する投資部門別売買動向には注目したい。

テクニカルでは、日経平均が7月7日安値の1万9856円を下回った場合、6月15日安値の1万9755円が次のサポートになる。上値は、25日移動平均の2万0042円、これを上回ればボリンジャーバンド2アルファの2万0273円がレジスタンスとなりそうだ。(ZUU online 編集部)

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