前週(8/21〜8/24)の東京為替市場では、ジャクソンホールを控えリスクオフのドルショートに買い戻しが入り、7週ぶりに円安となった。

週末の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは109円68銭で終え、週間で62銭(0.6%)の円安。ドル円の東京市場での週間高値は23日の109円83銭、安値は24日の108円85銭だった。

注目のジャクソンホールでは、イエレンFRB議長、ドラギECM総裁の講演会ではともに金融政策に関する話はなかった。ドラギ総裁からユーロ高を懸念する発言が出なかったことで講演後ユーロ高が進み、ユーロドルは一時1.19339ドルと15年1月以来2年7ヶ月ぶりの高水準を付けた。クロスレートで円高が進み海外では一時109円11銭をつけた。もっとも、円の上値も重く、109円40銭程度でNY時間を終えた。

今週は、週末に米8月雇用統計があるが、すでに9月のFOMCでは現状維持で利上げなしがコンセンサスになっており、いつもの雇用統計に比べると注目度は低い。ユーロ高が続くのかどうかが為替市場での注目となる。ユーロが一段高になるようなら、北朝鮮が週末にミサイルを発射したこともあり、円高の再燃もあり得よう。

前週(8/21〜8/24)の振り返り

為替展望
(写真=PIXTA)

21日の東京為替市場で円は3日続騰、インターバンク市場の17時のドル円は前週末比12銭円高の108円94銭で終えた。ドル円が東京市場にて108円台で終えたのは4月19日以来4ヶ月ぶりだった。

トランプ大統領の人種差別発言問題は、側近であるバノン氏の解任となり政治の運営リスクが高まった。米韓両軍が合同軍事演習を開始したため地政学リスクも引き続き意識され、有事の円高が進行した。日本株も4日続落で1万9400円を割り込み5月1日以来の安値をつけた。

22日の東京為替市場で円は反落、17時のドル円レートは前日比42銭円安の109円36銭だった。前日のNY為替市場ではリスクオンの円高が進み、一時108円64銭と先週の安値108円61銭を伺うところまで円高が進んだ。ただ、東京市場では、ユーロが軟調となり1.18ドルを割り込み、米長期債利回りも2.19%台と前日比上昇し、円も反落した。

23日の東京為替市場は2日続落、17時のドル円は前日比8円円安の109円44銭だった。前日のNY為替市場では、ジャクソンホールを控え、リスクオフポジションのアンワインドが出た模様。NYダウは196ドル高、ドル円は109円半ばまでの円安となった。東京時間でも日経平均が一時177円高になったこともありドル円は109円83銭までつけた。

米長期債利回りは2.21%台と前日比上昇し、日米金利差拡大がドル高・円安をすすめた。もっとも、トランプ大統領がメキシコ国境との壁建設に前向きな発言が伝わると日経は上げ幅を50円高まで縮小し、ドル円も109円44銭で商いを終えた。

24日の東京為替市場で円は反騰、17時のドル円は109円27銭と前日比17銭の円高となった。トランプ大統領のメキシコの壁建設発言で、9月4日から再開される米議会では予算議案の通過が懸念される。債務上限を9月末までに引き上げ延長を決議しないと米国はガバメントシャットダウンになる懸念が浮上してきた。シャットダウンなら米債の格下げもあり得る。

米国市場では、株、債券、ドルが売られ、東京為替市場でもドル円は108円92銭で始まり、一時108円85銭まで円高が進んだ。米長期債利回りも2.180%まで低下した。もっとも、ジャクソンホール会議を前にポジションを傾ける動きは出づらく円の高値も重く上げ幅を縮小して引けた。

25日の東京為替市場で円は反落、17時のドル円は109円68銭と41銭の円安となった。24日のNY為替市場で円は109円半ばまで円安が進行した。ジャクソンホール前のポジション調整でドルの買い戻しが進んだ模様。東京時間でも109円台後半の動きとなったが、一日のレンジは30銭と週間で最も値動きが少ない一日だった。

先週の海外動向を振り返る

コーン国家経済会議委員長がトランプ政権の重要策として減税を推し進めると発言したことを好感しNY株は30ドル上げたが、ドル円はジャクソンホール後に円高が進んだ。

ジャクソンホールでは、イエレン議長、ドラギ総裁ともに金融政策に関した発言はなかった。もっとも、ドラギ総裁のユーロ高を牽制する発言がなかったことで、ユーロが対ドルで急反発。一時1.19ドルと15年1月6日以来となるユーロ高となった。円はユーロ高のクロスレートで買われ一時109円11銭をつけた。もっとも、円の上値も重く、109円40銭程度でNY時間を終えた。東京引け値との差は28銭程度の円高。

「8/28〜9/1」の為替展望

今週のドル円のメインシナリオは、108円14銭から110円96銭のレンジを想定している。ジャクソンホール後、ユーロドルは一時1.19339ドルと15年1月以来2年7ヶ月ぶりの高水準を付けた。今週はユーロが一段高となるかどうかが最大の焦点。ユーロ高が進むようだとクロスレートでの円高が進む可能性が高い。

北朝鮮が週末に短距離ミサイルを発射したこともあり、9月9日の北朝鮮の建国記念日に向けて緊張感は持続しそうだ。機関投資家が有事でポジションを縮小すれば円高要因。米国の政治運営リスクは、9月4日に議会が再開されるまでは、ニュースフローによって思惑で動くだけだろう。トランプ大統領の発言やツイッターで上下する展開か?

週末の米雇用統計は、9月FOMCで利上げ予想をする人はほとんどない状況であり、いつもに比べれば注目度は低い。ただ数字が予想を下回れば、米景気低迷で米欧金利差拡大からユーロ高要因となる。

テクニカルでは、ドル円のサポートは4月17日高値の108円14銭。もしこれを抜くようなら、トランプラリー前の昨年10月28日の105円53銭まで大きな節はなくボックス圏を抜ける可能性がある。レジスタンスは8月16日の110円96銭。これをブレークすれば110円当たりにはロスカットオーダーがおかれている模様でトリガーされれば円安が一気に進む可能性もある。

今週の重要なイベントは、30日から1日まで英メイ首相来日、日英首脳会談が予定されている、31日はワールドカップアジア最終予選対豪選、1日は民進党代表選がある。3日には秋篠宮家の眞子様の婚約が発表される。海外では31日まで米韓合同軍事演習、3日から、中国でBRICS首脳会談がある。来週以降は7日にECB理事会、9日は北朝鮮の建国記念日。9月24日がドイツ総選挙などの重要イベントが控えている。

経済指標は、日本では29日に7月の労働力調査、有効求人倍率、家計調査、30日に7月の商業統計、31日に7月鉱工業生産、1日に4-6月期法人企業統計、8月消費動向、自動車販売がある。法人企業統計が重要で、DIや設備投資意欲が上がっていれば日本企業のファンダメンタルズの良さが確認できる。

海外では29日に米8月CB消費者信頼感指数、30日に米8月ADP雇用統計、米4-6月GDP改正値、31日中国8月製造帳PMI、米8月シカゴ購買部協会景気指数、31日に米8月雇用統計、ISM製造業景況指数、新車発売台数がある。重要なのは、米雇用統計。市場予想は非農業部門雇用者数では 18万人増、失業率は 4.3%。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)