顔認証の難点をクリアできるか?が課題

具体的な取り組みとしては、自社のスマホ用バイオメトリクス・システムを研究しているサムスンと提携し 、顧客がバンカメの口座アクセスに利用できる虹彩認証システムなどを開発中だ。

ゴパルクリシュナン氏はデジタル認証市場のイノベーションが目まぐるしく変化している点を挙げ、「素早く対応するためのフレームワーク作りが必須」と述べている。

顔認証技術の最大の利点は認証用のセンサー搭載が不要なことだろう。スマホやPC、タブレットのカメラで認証可能だ。虹彩認証のように一定時間カメラの特定ポイントを凝視する必要もなく、画面を見るだけで即座に自動認証が行われる。利便性としては最高だ。

しかし「それでは写真で不正認証ができるのではないか」との指摘もあり、現在は3D 認証法なども検討されている。

そもそも「バイオメトリクス自体が100%安全とはいえない」点でも、改良点は山積みだ。利便性は大幅に改善されても、安全性が伴わなければ価値が半減する。一方で「完全に安全な認証法を開発するのはほぼ不可能ではないか」という議論も行われている。

日本では三井住友フィナンシャルグループがNECの顔認識技術「NeoFace」を応用したシステムを、社員食堂で実験中だという(Internet Watch より)。

バンカメがサムスンと共にこうした壁をどこまでクリアしていけるのかどうか、今後の行方に注目したい。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

FinTech online編集部

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