史上最も成功した投資家といえばウォーレン・バフェットだが、彼を長年支えてきたのが本書の主役であるチャーリー・マンガーだ。マンガーはバフェットの7歳年上で2017年現在で93歳になるが未だ現役で活躍している。そんなマンガーは投資家から一目も二目も置かれる存在だが、詳しく述べられることは少ない。本書はマンガーのキャリアと珠玉の名言と解説で構成されている。賢人マンガーの投資の心得と人生の教訓が学べる、バフェットファンならずとも手に取る価値のある一冊だ。

『マンガーの投資術 バークシャー・ハザウェイ副会長チャーリー・マンガーの珠玉の言葉 富の追求、ビジネス、処世について』
著者:デビッド・クラーク、林康史(監訳)、石川由美子(翻訳)、山崎元(解説)
出版社:日経BP社
発売日:2017年9月11日

バフェットの成功はマンガーの存在なくして語れない

(画像=Webサイトより)
(画像=Webサイトより)

マンガーとバフェットは同じ小・中学校に通っていたり、バフェットの祖父のお店でマンガーがバイトをしていたりと不思議な縁でつながっているが、二人の出会いは1959年の夏(当時マンガー35歳)まで待つことになる。そこで意気投合した二人はそれから何年も、週に何度も連絡を取り合う仲となる。

それまでマンガーは弁護士だったが、バフェットとの出会いも影響し1962年に投資事業を開始し成功を収めた。その後、1979年にバークシャー・ハサウェイの筆頭副会長に、1983年にバークシャーの子会社ウェスコの会長に就任し、それ以来投資と経営の意思決定に関してマンガーはバフェットを支え続けている。

マンガーがバフェットに与えた最も強い影響は、いわゆる成長株投資のアイデアをもたらしたことだ。バフェットはもともと割安株投資の大家ベンジャミン・グレアムに師事していたが、そこから新たな一歩を踏み出す後押しをしてくれたのがマンガーなのだという。

グレアムの投資法は株価が上昇して企業の本源的価値を超えたら売却すべきと主張する。一方で、マンガーとバフェットはすばらしい企業は本源的価値を長期にわたって増大し続けることができるので、そのような企業の株は売却せず保有し続けるべきだと考えたのだ。この考えが正しかったことは、彼らが築いた莫大な富が物語っている。

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