20世紀にも、工場などで人間の補助的作業をこなす産業用ロボットは広く普及していた。21世紀に入ると、一般消費者にもロボットの波が押し寄せるようになった。

1999年には愛犬型ロボット「AIBO」が、2002年にはお掃除型ロボット「ルンバ」が、2015年には人型ロボット「Pepper」がそれぞれ発売された。これらを購入した経験がある人もいるだろう。

いまや一般消費者向けのロボットにも、当たり前のように人工知能(AI)の技術が盛り込まれるようになっている。AIの技術は飛躍的に進化を遂げているため、年々、一般消費者向けのロボットがこなす作業は高度かつ広範囲になっている。

AIに侵食されつつある知的作業分野

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(画像=Webサイトより)

AIが進化していることを、今さら詳しく言及する必要はないだろう。1997年にチェスの世界チャンピオンに勝利し、2016年には世界最強との呼び声も高い韓国の囲碁棋士にも勝利した。それほどここ数年におけるAIの進化は目覚ましい。

AIは労働分野にも侵出して久しい。AIよりも人間に優位性が残っている労働分野は、肉体労働と知的労働とされている。肉体労働は建設業、そして介護・看護といったホスピタリティを必要とする職業も肉体労働に分類される。

知的作業分野はAIに浸食されつつあるが、映画を撮る・新しい商品開発をするといったクリエイティブ系の職業はなくならないとされる。それでもAIが進化すれば、これらの仕事も危うくなるだろう。

仕事を失う脅威は、AIによって表面化したわけではない。歴史を紐解けば、18世紀後半にイギリスで起こった産業革命がその発端でもある。

イギリス発の第1次産業革命は、蒸気機関によってもたらされた。蒸気機関を動力とする紡績機により、手織工や労働者たちは失業の危機に直面した。しかし、紡績・紡織の作業が合理化したことにより大量生産が可能になった。大量生産により服の価格は安価になり、消費需要も拡大。その結果、工場労働者の需要も増加している。

くわえて、蒸気機関による産業革命は鉄道という新しい技術を生み出し、鉄道員や鉄道技師という新たなサービスや産業も創出した。

情報革命という名の第3次産業革命