これまで中国のネット通販は順調に売上を伸ばしてきた。しかし出店業者は本当に利益を上げているのだろうか。そして実体店舗がなくならないのはなぜか。2018年の中国の小売業界は、どのように動くのだろうか。(1元=16.9日本円)

ネット通販と実体店舗

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(画像=SL Chen / shutterstock.com)

ニュースサイト・今日頭条の分析記事を中心に見ていこう。大手ネット通販へ出店した場合の経費は、実体店舗の経費に比べ低いとはいえなくなっている。人件費11%、天猫(アリババ)への費用5.5%、営業経費15%、物流経費12%、アフターサービス2%、家賃光熱水費2%、さらに減価償却費と税金が必要となれば、50%以下の粗利率ではやっていけない計算になる。ネット通販で商売を継続するのは、実は大変なのである。またネット通販を利用するに当たり、顧客の思い描く予算は80元前後でしかない。つまりネット通販のほとんどの商品単価は、80元以下でしかないのである。

運営費用が大幅に増加した結果、実際に2016年には40を超えるネット通販が閉鎖されている。これに対し、実体店舗業界では、家賃が下落しているのは周知の事実である。ここ2年、とくに各都市のランドマーク的な有力SCでも、ディスカウントが進んでいる。恒隆、華潤、瑞安など一流デベロッパーの物件も少なくない。

商品価格に関しては、実体店は守勢に立っている。しかし現在の実体店に対する需要とは“サービス”なのである。日本でもかつて実体店の衰退に見舞われてた。しかし何年かの調整を経て安定し、新しい需要を喚起できるようになった。現在の中国は、当時の日本に似ている。

実体店舗の消えないワケ