インターネットが登場する前は、他人に対して影響を与えることができる手段はTV、雑誌、新聞、ラジオなどに限られていました。現在は、インターネットを通じて個人・企業が自由に他者に情報を発信することが出来るようになりました。

また、個人・企業が発信する情報をもとにイメージが形成され、そのイメージを他者が評価し、支持するようになっています。多くの人から評価を得た個人や企業はインターネットを通じて利益を出せるようになってきました。例えば、著名ブロガーが商品・サービスをアフィリエイト販売し利益を上げているなど、多くの人に評価されている人が強い影響力を持ち、他社を動かすことができるようになってきました。このよう評価、支持されることが影響力、価値を持つ社会を「評価経済社会」といいます。

本格的な評価経済社会の到来

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(写真=TierneyMJ/shutterstock.com)

この評価経済社会に関する議論は以前から盛んに行われていました。しかし、以前は一般人にとっては身近な議論ではありませんでした。いくら評価が大切だといっても、その評価を具体的に示す物差しがなかったのです。

評価経済社会という概念自体は普及していたものの、ごく一部の人の中でのみ詳細な話し合いが行われていました。しかし、今や評価経済社会は私たちにとって身近なものとして考えられるようになっています。それは次に説明するスコアリングが急速に普及し始めていることと関連しています。

スコアリングが急速に普及

「スコアリング」とは点数をつけるという意味ですが、ここでは人の信用度を数値化するという意味で使用します。

これまで、ある人が信用できる人物かどうか、その信用度を測るにはどのような手段があったのでしょうか。信用が何よりも重んじられる金融業界においては、信用度を測る手段としてクレジットカードの利用履歴を用いることが一般的でした。

しかし、近年になって膨大な行動データをAIで分析して人の信用度を数値化するスコアリング・サービスが誕生しました。そのサービスの先駆的な企業が米国のゼスト・ファイナンスです。

ゼスト・ファイナンスは対象者のSNS上での交友関係や発言などの行動、インターネット検索履歴、ECサイトの購買行動等インターネット上の膨大なデータを収集。ゼスト・ファイナンスはそのデータを用いてスコアリングを実行し信用スコアを弾き出します。そして、その信用スコアに基づき与信可否を決定します。

金融業界外でもスコアリングが活用される

国内でもスコアリングを提供するサービスが続々と誕生し、金融機関が与信可否の決定に活用し始めています。さらに、スコアリングは金融業界だけではなく、人材業界、不動産業界などの業界でも活用される可能性が考えられます。

実際にビッグデータから信用スコアを算出するサービスを提供する中国拠点の芝麻信用は金融業界外でスコアリングを活用しています。芝麻信用で信用スコアの高い人は賃貸サイト「小猪短租」で部屋を借りる際の敷金が無料になる、レンタカーサービス「神州租車」で車を借りる際のデポジットが不要になるといった特典が受けられます。

信用スコアが高ければよりよいサービスを受けられる環境が徐々に形成されています。日々の生活をより正しく生きている人が有利に生きられる時代が到来するということです。

日々の行動が信用に直結する

現在、他者から評価、信用されることが影響力や価値を持つ評価経済社会がスコアリングの普及により現実のものになりつつあるでしょう。

スコアリングが普及したことで、日々の行動から収集された膨大なデータが信用スコアに変換され、可視化されるようになってきました。小手先で行動を変えてもこの信用スコアが変わることはないでしょう。むしろ、私たちの一つ一つの行動を決定づける根幹である生き方が問われる時代になってくるのではないでしょうか。(提供:J.Score Style

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