富裕層のバラ色老後ライフ

目次

  1. はじめに
  2. 「一度きりの人生を謳歌したい」米ベビーブーマー世代
  3. 日本の親も「遺産より自分の生活優先」?
  4. 生前贈与、日本での利用者は2割弱
  5. 遺産相続、日本の親子の温度差
  6. ベビーブーマー世代の最大の恐怖は老後資金の枯渇

はじめに

老後のお金は子どもに残さなくてはいけない――そういう古い観念を捨てて、自分の人生は自分のもの、稼いだお金は自分で楽しく使うと考える人が多いという。子どもだって、どうせ消えていくものなら、高い相続税よりも親が楽しく消費してくれる方がいいだろう。そのために、老後の人生を豊かにするお金の使い方をまとめてみた。老後は人生のオマケではない。人生の中で、自分が楽しむことだけに時間もお金も使える時間が、今までにあっただろうか? さあ、何に使おうか、あれこれ考えてみよう。

「一度きりの人生を謳歌したい」米ベビーブーマー世代

ベビーブーマー世代(1946~1964年生まれ)の最高年齢が72歳に達した近年、遺産相続の時期に突入しつつある。特に米国や日本では、ベビーブーマー世代が空前の富を築いたが、それらは本当に相続されるのだろうか?

様々な調査の結果、遺産相続に積極的ではなく「子どもやほかの家族に遺産を残すよりも、自分にお金を使いたい」と考えているなどといった、ベビーブーマー世代の相続に対する価値観が分かってきた。

日本で遺産相続を具体的に検討している親は1割で、「資産は生きているうちになるべく使い、残った分を子どもに遺産相続させる」という親が8割だ。「全部使い切る」という親も1割いる。

富裕層動向調査会社ウェルスXが2016年に発表したデータでは、米国は6兆ドル、日本・ドイツはそれぞれ1.6兆ドル、英国は8300億ドル、ブラジルは5600億ドル相当の資産がベビーブーマー世代から次の世代に受け継がれると予想されている。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの投資アドバイザリー部門によると、米国のベービーブーマー世代は、推定30兆ドルもの資産を保有しているという。しかしマネージング・ディレクターのガブリエラ・ガルシア氏は、「莫大な富の譲渡はあまり期待できない」とコメントしている(CNBC2018年5月22日付記事 )。

人生を思い切り満喫するために早期退職するベービーブーマー世代が増えており、「子どもやほかの家族に遺産を残すよりも、自分にお金を使いたい」と考えている親が増えているようだ。

日本の親も「遺産より自分の生活優先」?

高齢者情報サイト「グランズネット」が50~70歳の祖父母1000人に行った調査では、6人に1人が「生きているうちにお金を全部使い切る」と回答。リテール投資家情報サイト「ハーツ・アンド・ウォレッツ」の2016年の調査でも、50~60代の米国人5000人のうち30%が同様の回答で、「遺産を残すつもり」と答えたのは40%だった(フォーブス2016年1月21日付記事 )。

米国のベビーブーマー世代と比べると控えめだが、日本の親も「子どもに遺産を残すよりも、自分の生活を優先させる」という点は共通している。

内閣府が2016年、大分県と熊本県を除く日本国内で暮らす3000人(60 歳以上)を対象に実施した調査では、47.5%が貯蓄の目的を「万が一の備え」 としており、「子どもや家族に残すため」と答えたのはわずか2.6%だった。

22.7%が「貯蓄が全くない」と答え、17.8%が「普段の生活を維持するため」、4.5%が「よりよい生活を送るため」と回答している。

生前贈与、日本での利用者は2割弱