仮想通貨の「取引所」と「販売所」。よく目にするこの2つの違いは何だろうか。仮想通貨を売買するなら、取引所と販売所の違いを正しく理解しておきたい。

取引所と販売所の違い

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(画像=Morrowind/Shutterstock.com)

仮想通貨の交換業者には、取引所と販売所のどちらかを提供しているところと、両方とも提供しているところがある。取引所と販売所は何が違うのだろうか。

取引所とは、仮想通貨を買いたい人と売りたい人が取引するところである。その点では、株の取引所に似ている。取引所での仮想通貨の取引は「指値注文」と「成行注文」のどちらかで売買を行う。指値注文とは、自分が買いたい(または売りたい)値段を指定して注文することで、成行注文とは、既に出ている指値注文に対して値段を指定しないで注文するすることである。

販売所とは、販売所を運営している業者と直接売買するところである。買値と売値は販売所に提示されていて、その値段で売買ができる。

取引所と販売所を一般商品の売買に例えると、取引所はメルカリなどのフリーマーケットで、販売所は販売と買取を行っているショッピングサイトだ。

なお取引所、販売所ともにインターネット上で仮想通貨を売買するところであり、対人で売買できる実店舗があるわけではない。「取引所」「販売所」という呼称から、誤解されるケースもあるので気をつけたい。

取引所と販売所のメリット、デメリット

取引所と販売所を正しく利用するために、それぞれのメリット・デメリットを確認したい。

取引所のメリットは売買手数料が安いことである。多くの取引所の売買手数料は0%から高くても0.5%程度であり、後述の販売所の手数料よりも割安である。

取引所のデメリットは、指値注文がなかなか約定(取引成立)しない場合があることや、誤った注文により大きな損をすることがあることだ。誤った注文の例では、「1ビットコイン(BTC)を100万円で売る」の注文を、「1ビットコインを100円で売る」と間違えると、一瞬で約100万円の損を出すことになる。

販売所のメリットは、売買がシンプルなので操作ミスなどによる誤発注が起きにくく初心者でも簡単に売買できることと、すぐに決まった値段で売買できることである。価格変動が大きい時など、取引所では指値注文が思った通りに約定できなかったり、成行注文が不利な価格で成立したりすることがあるが、販売所ではすぐにその時の価格で売買できる。

販売所のデメリットは、買値と売値の差(スプレッド)が大きく、その値が販売所によって異なることである。スプレッドを手数料に換算すると売買価格の数パーセントと割高である。またスプレッドは販売所やタイミングによって変わるが、売買する時に最適な販売所とタイミングを判断するのは難しい。

取引所と販売所を使い分ける

取引所と販売所のメリット・デメリットを把握したら、取引所と販売所を使い分けるようにしたい。

取引所に向いているのは、売買による利益を大きくしたい通常の取引である。個人の通常の売買では手数料が安い取引所で行うのが一般的である。取引所と販売所で価格を比較すると、取引所のほうが安く買え、取引所のほうが高く売れる。

販売所に向いているのは、売買を早く確実に行いたい場合である。特に価格が大きく変動している時には、即座に確実な売買ができる販売所を利用するべきだ。そのような時取引所では、指値注文で約定できなかったり、成行注文で不利な価格で約定したりすることがある。販売所であれば決まった価格ですぐに売買できるため、価格変動が大きい時も安心して売買できる。

よくある質問

最後に、取引所と販売所に関する「よくある質問」を一つ紹介しよう。

仮想通貨を販売所で買い、取引所で売る、またはその逆で取引所で買い、販売所で売ることは可能だろうか?

答えは可能。販売所と取引所、どちらで買っても仮想通貨は同じものなので、どちらでも売ることができる。

ここまで取引所と販売所について紹介してきた。仮想通貨交換業者によって、取引所のみのところや販売所だけのところもある。現在口座を持っている交換業者がどちらを提供しているかを確認し、不足があれば別の交換業者の口座も開設しておくといいだろう。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

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