5G時代が到来し、IoT、AIの普及により、技術力の高い企業は、より大きな市場開拓余地が見込まれている。浪潮電子信息産業(000977、深センA株)も大きな成長が期待される一社だ。

同社はPCサーバーの製造を主要業務としている本土を代表する総合IT企業グループで、Gartner 社の統計によれば、2018年1-3月期における出荷量では世界第3位、中国では第1位。8way通信機器では18四半期連続で出荷量、販売量とも中国でトップを維持している。

親会社は浪潮集団有限公司(浪潮)。兄弟会社には、アプリケーションソフトの開発、ソリューションを提供する浪潮ソフトウエア(600756、上海A株)、経営管理システムを提供する浪潮国際(00596、香港メインボード)、半導体レーザー部品を製造する華光光電子(838157、全国中小企業株式譲渡システム)などの公開会社がある。

国家戦略を実行する国策企業グループとして発展

中国株
(画像=ZUU online)

浪潮は山東省人民政府系の国有企業で、創業は1945年。1960年代にはコンピューター周辺設備や真空管を製造。1970年には中国で初めて打ち上げられた人工衛星である“東方紅1号”に使われたトランジスタを製造。1983年には、PCの製造を開始。その後、レノボ、清華同方とともに、中国PC産業の草分け的存在となった。

1993年には小型サーバーを開発。輸入品が中核を占める市場の中で頭角を現し、1996年以降は国内メーカーの中でトップシェアを獲得している。2007年にはIT領域において国家重点ラボが設置され、浪潮は高効率サーバー・ストレージ技術国家重点ラボに認定された。

2008年には第11次五か年計画において“863”計画情報技術領域重大専門プロジェクトとして、“浪潮天梭ハイエンドフォールトトレラントコンピューターシステム研究製造・応用推進”プロジェクトが認定された。

2009年にはドイツの大手半導体メーカーであり、ストレージでは世界的企業であるインフィニオン・テクノロジーズの中国研究開発センターを3000万元で買収。2011年には選軟件網と戦略的パートナーシップ協定を結び、中小型企業に対して管理ソフトをオンラインで提供するためのSaaSプラットフォームを建設。国家戦略を実行する国策企業グループとして発展を続けている。

AIコンピューティング製品における市場シェアは6割

浪潮電子信息産業に関する2014年以降の半期ベースの業績推移は以下の通り。

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2018年6月中間期の部門別業績、輸出は以下の通り。

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(画像=ZUU online)

AIコンピューティング製品における市場シェアは6割を超えている。同社は、百度、アリババ、テンセント(BAT)の主要サプライヤーとなっているが、こうした有力顧客に対して、協力しながら設計し、製造するといったJDM(Joint Design Manufacture)方式で製品を製造し、提供している。

BAT以外では、科大訊飛、奇虎360、捜狗、今日頭条、Face++など、AI技術力の高い企業との間でも、システム、アプリケーション両面から、深く、緊密な業務提携を行っている。音声合成、音声認識、図形認識、多言語処理、情報検索、ネットワークなどに関する分野で総合的な顧客支援を行いながら、製品を供給している。

AIサーバー需要の急拡大で売上が倍増