病院で受診する際必要で、身分証明書にもなる保険証。これを紛失すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がある。自分や家族が保険証を紛失してしまった場合に備え、対処法を正しく理解しておきたい。

保険証を紛失したらまずは警察、次に発行元への届出

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(画像=Roman Kosolapov/Shutterstock.com)

保険証を紛失した場合、まず行うべきは「警察への届出」である。消費者金融会社や信販会社の中には、保険証を本人確認用の身分証明書として利用することを認めているところがあるためだ。保険証を拾った人に悪用されると、勝手に借金をされたり、クレジットを利用されたり……といった被害に遭ってしまう可能性がある。

警察への届出は、「遺失届出書」を作成することにより行う。届出完了時に通知される「受理番号」は保険証の再発行をする際に必要になる場合があるため、控えておくといいだろう。また300円と有料にはなるが、遺失届出証明を発行してもらうこともできる。

警察への届出を済ませた後は、保険証の発行元や勤務先の担当部署にも保険証を紛失した旨を報告する必要がある。

保険証を紛失した場合の手続きは保険証の種類によって違う

保険証を紛失した場合、再発行する必要があるが、そのために必要な手続きは保険証の種類によって異なる。

社会保険に加入している場合は勤務先へ

社会保険に加入している人が保険証を紛失した場合、再発行手続きは事業所(勤務先の会社)を通して行う。被保険者の依頼を受けた事業所が保険証の発行元(全国健康保険協会など)に対して再交付を申請し、これが受理されると事業所に保険証が交付されるのだ。

そのため被保険者としては、勤務先の担当部署に保険証を紛失した旨と再発行を希望する旨を伝え、必要書類を提出すればこと足りる。ただし、任意継続で加入している人は、発行元に連絡して本人が直接手続きをする必要がある。

国民健康保険に加入している場合は市町村役場の担当課へ

国民健康保険に加入している人が保険証を紛失した場合、市区町村役場の担当課において再発行手続きを行う必要がある。保険証は窓口で即日発行してもらうこともできるし、後日自宅に郵送してもらうこともできる。

被扶養者が保険証を紛失した場合は扶養者が手続きを

妻や子どもなど、扶養に入っている人が保険証を紛失した場合、扶養者であり保険加入者である夫あるいは親が、再発行手続きをする必要がある。被扶養者が扶養者に知られることなく再発行手続きをすることはできないため、保険証を紛失した場合は速やかに報告してもらおう。

保険証の紛失中に病院へ行くことになったら?

保険証を紛失し再発行が完了するまでの間に病院へ行く場合、治療費などの支払はどうなるのか。

一般に、保険証を提示せず診察を受ける場合、医療費は10割負担となる。また病院によっては、自費扱いになることもある。

ただし、支払った医療費は後日保険証を提示することで、一部負担金相当額を差し引いた額の払い戻しを受けられる。払い戻しの手続きは病院で行うこともできるし、健保など保険証の発行元に請求することもできる。

本人申告制度を利用してトラブルを防止

保険証を紛失した場合、「本人申告制度」を利用するのも一つの手である。

「本人申告制度」は、保険証をはじめとする身分証明書を紛失した場合に、個人情報を個人信用情報機関に登録する制度。これにより個人情報信用機関に加盟する会社は、貸付などを行う際に、当該機関に登録されている信用情報を参考にする。その際、登録者の申告情報も併せて確認することで、より適切に与信審査を行えるのだ。

個人情報信用機関には、「全国銀行個人情報信用センター」(銀行系)・「株式会社シー・アイ・シー」(クレジット系)・「株式会社日本信用情報機構」(消費者金融系)などがある。保険証を紛失した際は、こういった機関にも届出をしておくと安心だろう。

文・曽我部三代(保険業界に強いファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES

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