投資信託は「購入時」「保有時」「売却時」に手数料がかかる。元本保証されていない金融商品となれば、投資家は損益に目が行くのが当然だろう。ただ、手数料がいついくらかかるかを失念すると、獲得できる利益を減らすこともあるので注意しておく必要がある。

投資信託にかかる手数料の種類は3つ

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(画像=fendyrodzi/Shutterstock.com)

基本として覚えておきたい手数料は投資信託の購入・保有・売却(または解約)に伴う手数料である以下の3つだ。

購入時……購入時手数料
保有時……信託報酬
売却時……信託財産留保額

購入時手数料……申し込み価格の1〜3%が一般的

購入時手数料は、投資信託を購入する際に必要となる手数料だ。投資信託の購入は、証券会社や銀行の窓口のほかに、ネット証券からも可能である。手数料については、一般的に申し込み価格の1~3%となる。

例えば、購入時手数料が4%の投資信託を100万円分購入する場合、支払額は104万円となる。そのため投資信託を購入する場合は、自分が投資する金額に手数料を上乗せした金額を準備しておく必要があるのだ。

また、購入時手数料は、証券会社や銀行窓口より、SBI証券や楽天証券といったネット証券で購入した方が、手数料が安くなるように設定されていることが多い。近年では、販売手数料が無料である投資信託として、ノーロード投資信託という商品も登場している。

信託報酬……年0.5~2%程度が一般的

信託報酬(運用管理費)とは、実際に投資信託を「運用」する運用会社にかかる手数料だ。運用管理費用とも呼ばれ、販売会社、運用会社、受託会社が信託財産の中から受け取る報酬となる。この手数料は、投資信託を保有している限り、永遠に支払う必要がある。保有している信託財産の中から自動的に支払われるため、見えにくいコストとなっている。ただ、差し引かれる信託報酬は、投資信託の目論見書で確認することはできる。

信託財産留保額……0.1%~1.0%程度が一般的

信託財産留保額とは、投資信託を解約(売却)する際にかかる手数料だ。

投資信託は、さまざまな株や債券をまとめて運用している。これを換金するためには、運用会社が商品を現金化し、投資家に支払う必要がある。このとき、金融商品を売却するための費用が発生する。この費用については、同じ投資信託を保有するほかの投資家が負担することにならないよう、解約した投資家が支払うしくみとなっている。

手数料の目安は、一般的に解約時に保有している投資信託総額の0.1%~1.0%程度とするファンドが多い。また、一定以上の期間保有していれば信託財産留保額が0円になるというファンドもある。

商品によっては、信託財産留保額以外に解約手数料が必要な場合があるので、注意が必要だ。

手数料は金融機関・投資信託によって異なる

手数料についてはは、投資信託によって異なる。特に購入時手数料は、金融機関ごと投資信託ごとに金額が異なることを覚えておいてほしい。証券会社が同じであっても投資信託ごとに手数料が異なる場合があるため、手数料を比較する際には、同じ投資信託でもいくつか比較検討して見極める必要がある。

また、先程紹介したノーロード投資信託だが、これは販売手数料はかからないが、その他の手数料が割高に設定されている場合がある。

こうした手数料を比較検討するとき役立つツールに「目論見書」がある。投資信託を購入する際には、まず目論見書の手数料についての項目を確認してもらいたい。

投資信託を選ぶときは必ず目論見書を確認する

目論見書とは、投資信託の募集や販売を行う際に、募集要項や運用内容などの説明が記載されている書類で、販売会社が投資家に必ず交付するように義務付けられている。目論見書は、投資信託すべてにおいて統一されているため、手数料を含めて投資信託の比較検討がしやすい。

支払うべき手数料が自分にとって妥当であるかは、以下の視点から検討してもらいたい。

目論見書をみるポイントは以下の通りだ。

・投資信託の投資先がどこであるか、また対象が何か、ファンドマネージャーがどういった運用方法を用いるかを確認する。
・基準となる価格が変動する際のリスクや留意点、また、そのリスクに対して、運用会社がどのようなリスク管理を行っているかの詳細を確認する。
・分配金がどのような方針で分配されるのか、決算日の頻度がどの程度が確認する。
・過去の投資信託の実績を基準価格、純資産の推移、分配金の推移などから確認する。
 (※基準価格とは日々算出される投資信託の価格、純資産総額を投資信託の口数で割って算出したもの)
・投資信託の購入単位、購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額や投資信託にかかる税金等の費用を確認する。

最初に目論見書に目を通したときは、理解するのが難しいと感じてしまうかもしれない。しかし、目論見書に記載されている内容は統一されているため、一度しっかり理解できれば、ほかの目論見書を読むことは容易になる。投資信託を選ぶ際には必ず確認し、自身が納得できる投資信託を見つけてもらいたい。

投資信託協会からは、目論見書を読むためのガイドが無料で提供されているので、一度目を通しておくのもよいだろう。 (※参考:https://www.toushin.or.jp/guidebook/|投資信託説明書ガイド|投資信託協会)

手数料が高いからといって高リターンを見込めるわけではない

投資信託は、高い手数料を支払ったからといって自分に戻ってくるリターンが大きくなるわけではない。逆に手数料が低いからといって、リターンが少ないとも限らない。手数料を参考に投資信託を選ぶのは一つの方法であるが、同時に目論見書をチェックし、過去に損失を出したことが少ない投資信託を選択するなど吟味する必要がある。

手数料が低い実店舗のないネット証券の場合、目論見書のチェックや投資先の判断は基本的に自分で行わなければならない。一方、手数料はかかるが窓口がある証券会社や銀行で購入すれば、対面で手厚いサービスを受けることができる。

どちらも一長一短であるため、自分の知識や割ける時間を考慮し、手数料だけでなく目論見書などを含めて総合的な判断を行い投資方法や投資先を選んでもらいたい。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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