つみたてNISAは銘柄選びが比較的簡単だ。金融庁の指導により、対象商品が安全で低コストな投資信託162件に絞り込まれているからだ(2019年3月時点)。それでも、自分に合った投資信託を選ぶにはコツがいる。名前から推測できる投資信託のタイプとは?

つみたてNISAの商品は金融庁が厳選

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(画像=rassco/Shutterstock.com)

つみたてNISAで投資できる金融商品は基準が厳しく定められており、2019年3月時点で認められている商品は投資信託とETFの162本に限られる。そのうち何本取り扱っているかは、金融機関によって異なる。楽天証券やSBI証券、マネックス証券、カブドットコム証券のようなネット証券では150本前後あるが、都市銀行やネット銀行、対面型の証券会社では多くても30本程度だ。

選択肢は広くはないが、厳選されているとも言える。つみたてNISAは国民に健全な資産形成をさせる目的で作られたため、安全性が高く長期投資に適した積立商品がそろっている。極端にリスクが高いものや手数料が高いものを選ぶ心配はない。人気の毎月分配を推奨しないのも、再投資による複利効果を重視しているためだ。

・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬が一定水準以下(例:国内インデックス投信の場合、0.5%以下)
・各顧客に対し、過去1年間に発生した信託報酬の概算金額を通知する
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月ではないこと
・デリバティブ取引による運用を行っていないこと

以上がつみたてNISAで取り扱う商品の特徴だ。対象商品の中からどれを買うかは自身で決めなければならない。そのためには、まず投資信託の商品タイプを見分けるコツを知る必要がある。

商品名で投資信託のタイプを見分ける方法

投資信託の名前からは、運用会社・投資タイプ・投資対象・連動する指標・投資地域などを推測することができる。

たとえば、商品名に「野村」がついているものは、野村アセットマネジメントが運用する商品であることが分かる。同様に、「ニッセイ」ならニッセイアセットマネジメント、「ダイワ」または「iFree」は大和証券投資信託委託、「eMAXIS」は三菱UFJ国際投信、「Smart-i」はりそなアセットマネジメント、「ひふみ」はレオス・キャピタルワークスだ。

投資タイプは、つみたてNISAは「インデックス」が多い。インデックス型ファンドは市場全体の動きに合わせて動くため、極端な価格変動がなくコツコツ型に向いている。「アクティブ」は少ないが取り扱っている証券会社もある。「アクティブ」のほか、「グロース」「中小株」「積極」という言葉が使われていたら、ややハイリスクな投資が行われていると考えていい。

投資対象は、国内株式・海外株式・国内債券・海外債券・不動産投資信託証券(REIT)のどれに投資するかという分類だが、株式に投資するものが多い。「バランス」という言葉が使われていたら、複数の資産が含まれていると考えていい。「4資産均等型」とあれば、国内外の株式・債券に25%ずつ投資しているというわけだ。

連動している指標が明示されていると分かりやすい。日経225やTOPIX、JPX日経400とあれば国内株式と同じような動きをする。米国株式S&P500なら、アメリカの主要大型株500銘柄と連動する。

もう少し広い地域を示す名称もある。「先進国株式」や「新興国株式」などがそれだ。世界の先進国や新興国の株式で構成されているファンドもあり、「グローバル」や「全世界」といった名称が多い。1つの国や指標に連動するよりも、世界に投資するほうがより高度なリスク分散ができると言われている。

このように、ファンド名を見ればある程度どのような投資信託なのか想像できるというわけだ。

・「野村インデックスファンド・TOPIX」
野村アセットマネジメントが運用し、TOPIXと連動するインデックスファンド

・「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
三菱UFJ国際投信が運用する、世界の先進国や新興国の株式で構成されているファンド

・「ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」
ニッセイアセットマネジメント株式会社が運用する、国内株式・海外株式・国内債券・海外債券に25%ずつ投資するファンド

つみたてNISAで初心者が選ぶべき商品とは

つみたてNISAは「積立」「安心」「長期」の観点で選ばれた商品のみが対象なので、初心者にとっては選びやすい商品がそろっていると言える。できるだけリスクを抑えて手間をかけずに運用をしたい場合は、その中でも広い範囲の地域や資産を対象とした投資信託を選ぶのが望ましい。「新興国株式のみ」よりは、「全世界の株式や債券、不動産」といった具合だ。

アクティブな銘柄も組み入れたいなら、「新興国」「グロース」「中小株式」「積極」などが名称に含まれる商品をチェックするといい。ただし、リスクもコストも比較的高めなので要注意だ。インデックス型なら保有中にかかる手数料である信託報酬は国内株式で0.5%、海外株式で0.75%以下だが、アクティブ型は1%を超えるものもある。

内容を表す用語が使われていない、ニックネームのような名前の投資信託なら、商品説明や目論見書を読んで、必ず内容を確認するようにしよう。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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