自動車メーカーや部品大手が次世代投資を一段と本格化する。トヨタ自動車(7203)の今3月期の研究開発費は過去最高が見込まれ、デンソー(6902)も設備投資を拡大。「CASE(ケース)」と呼ばれる技術革新を支える企業には一段と商機が広がりそうだ。

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(画像=PIXTA)

CASEは、これからの自動車市場をけん引するコネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化の四つの要素の英語の頭文字から成る造語。電子情報技術産業協会(JEITA)では、それぞれの分野の基盤となる電子制御装置の市場規模だけでも2030年には17年の2倍の17.8兆円に拡大すると予想している。

トヨタは今期、ほぼ前期並みの高水準の設備投資(1兆4500億円)を維持した上で、研究開発費はこれまで最高だった18年3月期の1兆642億円を上回る1兆1000億円(前期比3%増)を計画。「CASEへの投資を強化する」(トヨタの渉外広報部)。車載電池やコネクティッド領域でパナソニック(6752)と協業する。

今期の研究開発費は、ホンダ(7267)も15年3月期のIFRS(国際会計基準)導入以降では最高(8600億円、前期比5%増)を予想。既存分野に加え、電動化や安全性を支える機能を重視する。自動車部品世界2位のデンソーも、CASE向け中心に投資を加速する(グラフ参照、右の画像クリックで拡大)。

こうした流れは、電子部品や半導体、センサー、カメラをはじめとする多くの製品の需要増につながる。村田製作所(6981)や三菱電機(6503)、安川電機(6506)などには追い風だ。また、明治電機工業(3388)や進和(7607)など自動車向けに強い専門商社も注目される。

穴株の一つは、半導体商社のトーメンデバイス(2737)。スマートフォン向けなどが主力のため、自動車関連事業はこれからの伸び代が大きい。筆頭株主がトヨタ系商社の豊田通商(8015)である点は見逃せない。

自動運転に欠かせないAI(人工知能)を駆使したデータ分析では、ALBERT(3906・M)も有力だ。同社はトヨタと資本・業務提携の関係にあることでも知られる。10日に今12月期第1四半期の決算を発表する。

このほか、EV(電気自動車)に使う電池の評価試験でカーリットホールディングス(4275)、シミュレーションソフトのサイバネットシステム(4312)、機械設計のアビスト(6087)などもマークしたい。(5月10日株式新聞掲載記事)

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