(本記事は、堀宏史氏の著書『すぐメモする人がうまくいく』=自由国民社、2018年10月17日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

スマホアプリとPC連携で情報を一元管理

すぐメモする人がうまくいく
(画像=GaudiLab/Shutterstock.com)

手書きやパソコン、スマホ、アプリなどメモを取るアイテムもいろいろありますが、すぐメモにはどういったツールがいいのでしょうか。それぞれのよいところがあるので、自分にあったやり方でメモしていってよいと思いますが、お勧めなのは、ずばり「スマホアプリとパソコンの連携」です。

最近ではスマホ中心の生活で、ソーシャルネットや通販、調べ物などなんでもスマホで済ませている人も多いと思いますが、一方会社ではパソコンを中心に使っている人も多いのではないでしょうか。

ここで大事なのは、パーソナルなスマホ環境と会社でのパソコン環境をシンクロさせることなのです。そうすることによって、メモを一元管理することができて検索が容易になります。どんどんメモして情報がたまっていくのに「あれ、あのメモどこに行ったかな…?」とメモを探し回るのは、効率的な情報整理を目指すすぐメモとしては本末転倒です。

また、スマホではスピードを優先したり、パソコンではしっかりと情報を読み込んだりとそのデバイスの特性に応じてうまく使い分けることもできます。日常的な情報はスマホでメモ、より詳しい情報や書き込みたい情報が多い時はパソコンでメモしていき、後で編集すると効率的です。

何より「すぐにメモできること」を優先して、その場で使っているツールを使いながらも情報はリアルタイムでシンクしていくことが大事なのです。スマホとパソコンと情報がシンクロできるアプリケーションを使って、快適に情報管理していきましょう。

そして、アプリを選ぶ際には何よりも「開いてすぐにパッと書ける」ことに重点を置きましょう。アプリを起動する際の0.1秒の体感の差は思った以上に大きく、ここがスムーズにいかないとメモをするのがだんだん面倒くさくなっていくのです。機能は最小限でシンプルに、「書く」という機能に特化したアプリをお勧めします。

おすすめアプリのご紹介

Simplenote
https://simplenote.com/
とにかくシンプル。テキストを書くことに特化したアプリなので、アプリの立ち上がりや書き込む感覚がとてもスピーディーで気持ちいいアプリです。

Evernote
https://evernote.com/intl/jp
ノートアプリの超定番。高機能で、テキストのみならず写真やファイルなどあらゆる情報の記録に使えます。どんどんアップデートされていく機能も魅力です。

iPhone/Macユーザーの方はNotesもおすすめです。
https://www.icloud.com/notes
パソコンやスマホの機能の一部となっているため、自然なオペレーション感覚で使いやすい。Windowsでも使用可能です。

また、TwitterやFacebookなどのSNSをメモ置き場として使うのもよいと思います。

最初はどういったアプリが自分のスタイルに合うか分からないので、まずはいろんなアプリをインストールしてみて自分で触ってみましょう。そうすれば、自分のフィーリングにあったアプリが見つかると思います。友人や会社の人にどんなアプリを使っているか聞いてみるのもよいですね。どんどん新しいアプリも出てきますし機能もアップデートされていきますので、自分の「すぐメモ」スタイルにあったツールを選びましょう。

自分の「メモテーマ」でセルフブランディング

経済の専門家、料理の専門家、建築の専門家など〇〇の専門家と呼ばれる人がいます。そういった人たちは、当然ながら自分の専門分野のことについてはすごく詳しく、テレビや雑誌・インターネットなどで自分の専門領域に関しての発言をしたり記事を書いたりしています。最近ではさらにすごくニッチな領域の専門家もどんどん出現してきています。

ここで質問なのですが、あなたは何の領域の専門家とまわりから思われているでしょうか?

すぐに、「この領域の専門家だ」と胸を張って語れる方はそう多くないのではないでしょうか。仕事の中での専門性があったり、個人的に趣味の世界は持っていても、自分がこの領域の専門家だとまわりから認識されているかどうかはまた違った条件が必要となります。

それは、その領域に関してどれだけ多くの知識や見識をまわりに示せるか、という点なのです。

といっても、難しい論文を書きましょうとかいつも気の利いたコメントを書きましょうということではなく、自分でこの領域と決めたことに関して情報メモを発信し続けること、これが大事なのです。

例えば、僕の場合ですと主に海外ニュースやブログなどでデジタルマーケティングやテクノロジーについての記事や事例などを集めて、引用やシンプルな一言コメントを加えてTwitterなどを中心にメモをポストし続けています。以前は毎日デジタルマーケティング事例を紹介するブログを続けていた時期もあり、その頃からの読者の方々からは「デジタルマーケティングに関しての専門家」だというように認識されていると思います。

これは、決して無理をして続けているわけではなく単純に自分がその領域が好きだからということと情報に何かリアクションがもらえることが嬉しいから長く続けられているのです。そして、長く続けていることによって実際にその領域にさらに詳しくなり、専門家としてのナレッジやスキルも同時に高まっているのです。

特によりニッチな分野のニュースや専門知識メモをブログやTwitter、Facebookなどで定期的に共有することで、サイトの訪問者にその領域の専門家として認識されやすくなります。あなたに取って面白く、興味があるトピックを引用しシェアしていくことは、同じような興味を持っている人にとっては価値があり、そういった情報を積み重ねることでその人たちの信頼を得て、「この領域ではこの人」という評価を得ることができるのです。

また、自分の専門領域を持ち情報を発信し続けることによって、その領域のコニュティの人たちともつながりより深い情報を得られると同時にそのコミュニティを通じて、あなたのブランドがさらに広がっていくことも期待できます。

まずは、自分のメモテーマを決めて情報を集め、すぐメモでまわりに発信していきましょう。そもそも自分の好きな領域であれば、情熱を持ち喜んで情報を集めることができると思いますし、続けることでさらに楽しみは増えていきます。

そして、そのメモがあなたを形作っていくのです。

すぐメモで信頼貯金をしていこう

ちょっとこの人は信頼できないな、という感じの人っていますよね。言うことに真実味がない、嘘っぽい、約束を守らない、そんな印象を感じさせる人。こういった印象はどこからくるものなのでしょうか。その理由のひとつに「言ったことを覚えていない」ということがあると思います。

「これをお願いします」「いついつまでにお願いします」とお願いしたにもかかわらず、まったく言ったことをやってくれない、間に合わない、そんな対応に怒って問いただすと、悪びれずに「覚えてませんでした、すみません…」と答えてしまうような人です。これでは信頼は得られません。

ここで「すぐメモ」が活用できるのです。

要望やスケジュール、コストなど重要な要点をメモしておくことで、to doをはっきりさせる。ごく当たり前の話のように思われると思いますが、打ち合わせ時間が短かったり、ちょっとした立ち話で話した時などは「後で思い出した時にメモしておこう」と思いつつも、忘れてしまうことがあるのではないでしょうか。

だからこその、その場での「すぐメモ」なのです。さらに、その場でのちょっとしたトークやネタをメモしておくことにより、次回の打ち合わせも「よくそんなことまで覚えていてくれたね」と盛り上がることでしょう。

ここでおすすめなのは、打ち合わせ直後にメモリストを相手に送ること。このリストは議事録のようなしっかりとしたものではなくてよく、打ち合わせの中で出たポイントなどを簡単にメモをしておいて最後に次回までのto doをまとめておく、これぐらいの分量でいいのです。

そして大事なのは、打ち合わせの直後にすぐ送ってしまうこと。そうすれば、相手は打ち合わせでのポイントを確認できるだけでなく、なによりあなたへの信頼を高めることでしょう。

実際に仕事の打ち合わせでこのメモリストをすぐに送ってくれる人がいて、しかもすごいことに会議が終わる瞬間にメンバー全員にそのメモリストを送っているのです。その人は打ち合わせではあまり発言しないのですがこのメモリストのおかげでメンバーの信頼を得て一目置かれる存在になっています。

ただし、ちゃんとメモをしないと逆の効果になる場合もあるのでご注意ください。

ある日、友人Sくんと仕事がらみの打ち合わせをしていたんですが、話の途中ですごくたくさんメモをしている感じで、ああしっかりと聞いてくれてるなあと思って安心していました。打ち合わせも終了してその日は別れて、次の約束のミーティングでその前回の打ち合わせで出た課題に対して何をしたかを聞いてみると、まったく何もしてなかったのです。

驚いて本人に確認すると「やるべきことを忘れていた。実はメモを書いているフリをして、ほとんど書いてなかった」と…どうも、本人的にはメモするフリをしていると相手への見え方がいいので、打ち合わせ中はよく書くフリをするとのことでしたが、完全に逆効果になっています。

ここまでひどいレベルの人もあまりいないと思いますが(笑)、結果としてto doをちゃんと覚えてなければそれは同じこと。相手の印象がどんどん悪くなっていき、信頼を失うことは覚悟しなくてはいけないでしょう。

頼んだこと、話したことを覚えているかいないかは人としての真剣な姿勢が問われます。そして、信頼は失うのはたやすく、得るのは難しく時間のかかるものなのです。すぐメモしていくことで信頼を積み重ねていきましょう。つまり、メモすることは信頼の貯金なのです。

すぐメモする人がうまくいく
堀宏史(ほり・ひろし)
1993年慶應義塾大学経済学部卒業。大手広告代理店勤務。これまでに広告業界でリアルとデジタルを融合させた新しい広告を実現し、カンヌフェスティバル、アドフェスト、ロンドン広告祭、クリオ、東京インタラクティブアドアワードグランプリ、文化庁メディア芸術祭グランプリ、モバイル広告大賞など受賞歴多数。カンヌフェスティバル等で審査員を務めるとともに、adtech等の国際カンファレンスでスピーカーとしても活躍している。

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