「お得な保険を教えてください」そんな質問を良く受けます。
私のFP事務所に相談に訪れる人はもちろん、雑誌等の取材でも同じような質問を多く受けます。保険商品は多様です。たくさんの商品があるので「きっとお得な保険があるに違いない」と考えてしまうのかも知れません。

私はこの質問にどう答えようか、いつも困ってしまいます。たとえば1980年代のバブル期には「お宝保険」と呼ばれる利率の高い保険商品がありました。また、前回紹介した「税制優遇」等で得をする保険商品もあります。とはいえ、保険の本来の役割は「不幸なことが起こったときの保障」です。基本的に何らかの不幸が起こったから保険金を受け取れるわけで、それを「得をした」と表現するのは違和感があります。

しかし、その一方で「残念な保険」は多く存在します。「損をしない保険選び」のためにも「残念な保険」の特徴を知ることは有益と言えるでしょう(それを「得をした」と呼ぶかはさておき)。

今回はそんな「残念な保険」についてお届けします。

「残念な保険」ってどんな保険?

保険,選び方
(画像=VectorMine / shutterstock, ZUU online)

私は保険商品のランキング本『よい保険・悪い保険』(別冊宝島)の監修に携わって10年になります。このランキングはFPの投票で決まるのですが、「よい保険」も「残念な保険(悪い保険)」もそれぞれに共通する特徴があります。

たとえば「よい保険」のランキングには、(1)保障がシンプルで、(2)保障と保険料のバランスが良く、(3)使い勝手の良い商品……が並ぶ傾向にあります。保険と聞くと複雑で難しいイメージを抱かれるかも知れませんが、だからこそ(1)のように保障がシンプルで「分かりやすい」商品が評価されるのでしょう。また、(2)の保障と保険料のバランスが良い商品は「コストパフォーマンスの良い商品」と言い換えることも出来ます。(3)の使い勝手が良い商品とは、支払い要件が比較的緩く、保険金・給付金を受け取りやすく、保険期間の途中で変更することも比較的容易な商品等となります。

一方、上記(1)(2)(3)の真逆が「残念な保険」となります。「残念な保険」は非常に分かりにくい複雑な商品で、保険料も高めに設定され、不要な保障が付いており、条件が厳しい等の特徴があります。このような「残念な保険」は、つまるところ契約者にはメリットが少なく、販売する側にはメリットが大きい商品と見ることが出来ます。最近ではかんぽ生命保険の契約不正問題が発覚しましたが、販売する側の利益ばかりを優先し、契約する側の利益をないがしろにするような事例は昔から散見されていました。

次のパートでは「残念な保険」の特徴を詳しく見て行きましょう。

複雑な保険は「保険金の請求漏れ」リスクが高い