東京一極集中の弊害がクローズアップされている。利便性に優れる面がある一方、今回の新型コロナウイルスのような感染症の拡大局面では経済への影響が大きくなる。リスクの回避へ向け、企業や都市機能の地方分散が関心を集めそうだ。サンセイランディック(=サンセイL、3277)やソウルドアウト(=ソウルドO、6553)などに注目したい。

東京一極集中
(画像=PIXTA)

日本の経済は、東京を中心とする首都圏に偏っている。多くの企業が都心に本拠を構えるほか、政治機能も一極に集中。こうした体制は営業活動や打ち合せなどには便利だが、非常時のリスクも意識される。

新型コロナの感染拡大はその典型と呼べるだろう。施設の集中が人の密集につながり、東京で感染者が膨れ上がった。足元では落ち着きつつあるものの、都心のオフィスビルを無数の人が出入りし、通勤電車における密着が避けられない状態に戻れば、第2、第3波が到来しやすくなる。

一方で、コロナ対策で新たな流れが生まれつつある。テレワークが広がり、会社にいなくても多くの業務を遂行できることが明らかになってきた。これまでかたくなに在宅ワークを導入しなかった企業も、新しい勤務形態に順応し始めた。

こうした動きは、地方分散を後押しする。いわば「リモート経済」が離陸したことで、遠隔地でのテレワークや企業の地方都市への機能移転を柔軟にとらえる流れが生まれつつある。地方創生へ向け、国が地方企業の支援を強化する展開も期待されるほか、政治機能についても地方分散の議論が加速する可能性がある。

東京一極集中の緩和が進めば、地方でオフィスや住居のニーズが高まる。

サムティ(3244)は地方でオフィスビルを取得した。中古住宅をリフォームした上で販売するカチタス(8919)は、人口30万人以下の地方都市に強い。中古マンション再生流通のインテリックス(8940)のほか、空き家・空き地の情報サイトでLIFULL(2120)も浮上する。

不動産の権利調整を手掛けるサンセイLも狙い目だ。同社は地方自治体の観光地などに、空き家を活用した地域活性化プランを提案してきた。インバウンド(訪日外国人観光客)は消えてしまったが、地方分散のシナリオに沿えば、商機は再び浮かび上がる。株価はコロナ・ショックからの戻り歩調を強め、足元で75日移動平均線を奪回した。

コンサルティングやマーケティング支援の市場にも追い風が吹く。地方の中小・ベンチャー企業向けにWEB広告を展開するソウルドOは、四万十市(高知県)に運用型広告のオペレーションセンターを開設。地域に根付いた拠点づくりで先行することで、新たな時代のニーズを取り込む構えだ。今12月期第1四半期の連結営業利益は3.1億円(前年同期の2.9倍)と好調だった。

このほか、地方や中小企業のIT支援ではライトアップ(6580・M)もマークしたい。ITコンサルティングでチェンジ(3962)、アイネス(9742)、ITbookホールディングス(1447・M)なども自治体向けのITコンサルを手掛ける。また、地域情報のマッチングサービスを展開するジモティー(7082・M)も、穴株として押さえておきたい。

(市場動向取材班)(5月13日株式新聞掲載記事)

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