建設業の働き方改革事例

建設業では、働き方改革に積極的に取り組んで成果を出している企業が複数ある。ここでは、厚生労働省の働き方改革特設サイトの中から、建設業の中小企業の取組事例から5社ピックアップして紹介する。

ヤマグチ株式会社

土木事業や建築事業などを営むヤマグチ株式会社では、生産性の向上によって社員の処遇を改善した。同社は、社員一人ひとりの声に耳を傾けて社内改革に活用し、改革に取り組んでいる。

IT推進課を土木部に設置し、ドローンやレーザースキャナ計測などの導入で建設現場のICT化を進め、施工を高度化した。また、スマホで利用できるビジネスチャットツールを導入することで、遠隔地から素早く情報を共有し、さらに社内のチームワークを強化した。

株式会社菊正塗装店

菊正塗装店は、大規模施設の塗装工事を手掛ける老舗の建設業者である。同社は、ペーパーレス化の推進やテレワークの積極活用によって、業務を効率化した。

社員全員にスマホとノートPCを貸与し、VPN接続によって遠隔地から安全に会社のサーバーにアクセスできるようにしたことで、テレワークが普及した。また、ビジネスチャットやスケジュール管理アプリなどの利用により、社内の情報共有だけでなく人材育成もリモートで行える体制を構築し、今後は人材評価への活用も検討している。

株式会社荒木組

総合建設会社の荒木組は、建設現場へのドローンやウェアラブルカメラ「ワーキングレコーダー」などのICT技術の導入により、生産性と施工品質を向上させた。

労働時間削減のために、定時でパソコンがシャットダウンするシステムを導入し、現場担当者全員がパソコンでの進捗状況等の共有を行っている。施工現場では4週8休を目指した工期設定を発注者に依頼するなど、積極的に労働時間の短縮に取り組んでいる。

駿河重機建設株式会社

駿河重機建設株式会社は、公共インフラを中心に土木工事請負や解体業を事業として行ってきたが、「まちづくり企業」への転身を目標に働き方改革を行なっている。

就業規則の見直しにより、これまで統一されていなかった賃金制度を月給制に整え、就労時間や年次有給休暇の取得ルールなどを定め、建設業界の「3K(きつい・きたない・危険)」のイメージ払拭に努めた。

また、社員の資格取得支援やテレワークの導入など、社員が働きやすくスキルアップできる環境構築を行い、ICT建機の導入によって施工能力の向上とともに業務効率化や安全な作業環境の構築にも取り組んでいる。

真柄建設株式会社

石川県で創業100年を超える総合建設業である同社では、社労士診断認証制度を活用して経営労務診断を行い、自社の働き方改革遂行に向けた経営課題を明確にした。

労働時間管理の徹底や年次有給休暇の取得推進、IT化への取り組みによる社員間コミュニケーションの強化や業務効率化などに加え、男性社員の育児休業取得も積極的に推進し、2022年12月までで13名の取得につながっている。

また、社員間のスキルアップのために1級建築士資格取得支援制度を新たに設け、若手社員を中心としてリスキリングの意識が高まり、労働生産性の向上にも貢献している。