家族の人数が増えると、食費や日用品など生活にかかるお金も増えます。特に物価が高い東京では、1カ月生活するのにいくら生活費が必要なのか気になる方も多いでしょう。この記事では、家族の人数別の生活費の平均や、東京と全国平均の生活費の違いについて、データをもとに解説していきます。

目次

  1. 3人家族の生活費は平均30万円
  2. 東京都の生活費は全国平均の1.1倍
  3. 3人家族の東京の生活費を計算
  4. 東京で生活費が高くなる理由
  5. 賃貸併用住宅を建てるという選択
  6. まとめ

3人家族の生活費は平均30万円

3人家族の東京の生活費はいくら?理想の暮らしを叶える選択肢とは
(画像=aijiro/stock.adobe.com)

総務省の「家計調査(家計収支編・二人以上の世帯)2022年」によると、3人家族の生活費の平均は約30万円で、内訳は以下の通りです。

3人家族
食料80,554円
住居20,040円
光熱・水道25,657円
家具・家事用品12,837円
被服及び履物9,343円
保健医療15,099円
交通・通信44,465円
教育10,750円
教養娯楽26,428円
その他の消費支出59,167円
合計304,340円
出典:総務省「家計調査(家計収支編・二人以上の世帯)2022年」
※その他の消費支出には、美容費、交際費などが含まれます。

住居費が低いのは持家率が8割を超えているからで、賃貸住宅だとさらに生活費がかさむことになります。3人家族の住居費を除く生活費の平均は約28万円なので、仮に家賃が8万円と仮定して合計すると生活費は36万円になります。

上記の生活費には社会保険料や税金は含まれていないため注意してください。

家族の人数別の生活費の平均は以下の通りです。

2人家族3人家族4人家族
食料67,573円80,554円88,102円
住居19,294円20,040円17,249円
光熱・水道22,037円25,657円26,577円
家具・家事用品10,840円12,837円13,892円
被服及び履物6,820円9,343円12,651円
保健医療14,895円15,099円14,102円
交通・通信34,348円44,465円48,887円
教育413円10,750円28,165円
教養娯楽23,118円26,428円32,130円
その他の消費支出55,981円59,167円48,601円
合計255,319円304,340円330,356円

当たり前ですが、家族の人数が増えるほど生活費も高くなります。

ここで注目したいのが、2人家族と3人家族の差は約4万9,000円ですが、3人家族と4人家族の差は約2万6,000円ということです。夫婦2人の生活から、子どもが生まれて3人家族になると生活費が大きく増えると考えられます。一方、2人目以降は、生活費の増加が比較的ゆるやかになると考えられます。

東京都の生活費は全国平均の1.1倍

東京都はほかの地域と比べて物価が高く、生活費も高くなりがちです。日本の中心ともいえる東京23区の生活費の平均は約32万円です。

全国平均と比較すると以下のようになります。

東京都区部全国
食料87,973円77,474円
住居29,988円18,645円
光熱・水道22,846円24,522円
家具・家事用品11,587円12,121円
被服及び履物11,527円9,106円
保健医療17,303円14,705円
交通・通信32,562円41,396円
教育19,383円11,436円
教養娯楽33,099円26,642円
その他の消費支出55,367円54,817円
合計321,635円290,864円

東京23区の生活費の合計は、全国平均より約3万円高く、全国平均の約1.1倍です。項目別にみると、特に住居費が約1.6倍で、全国平均と最も差が大きくなっていました。一方、光熱費や交通費などは全国平均より低くなっています。交通費が低い要因は自動車関連費が少ないからです。

3人家族の東京の生活費を計算

家族の人数別のデータと東京23区の生活費のデータから、3人家族の東京の生活費を計算すると、以下のようになります。

食料91,470円
住居32,232円
光熱・水道23,903円
家具・家事用品12,271円
被服及び履物11,827円
保健医療17,767円
交通・通信34,976円
教育18,220円
教養娯楽32,833円
その他の消費支出59,761円
合計335,261円
※3人家族の生活費に東京23区の生活費の倍率をかけて計算

計算の結果、3人家族の東京の生活費の目安は約33万5千円でした。住居費を除くと約30万円です。

東京で生活費が高くなる理由

なぜ東京では生活費が高くなるのでしょうか。東京で暮らすときにかかるお金のデータや、生活費が高くなる理由について見ていきましょう。

物価が高い

総務省の消費者物価地域差指数(2021年)によると、全国平均を100としたときの東京の物価水準は104.5で、9年連続で全国の中で最も高いという結果でした。特に住居が131.9と高く、教育109.5、教養娯楽104.9、家具家事用品104.3が続きます。

全てにおいて地方より東京の物価が高いわけではありませんが、多くの人が集まる東京では、需要と供給のバランスで物価が高くなることがあります。また、東京には高年収の人が多いことから、高価格帯の商品を目にする機会が増え、自然と出費がかさむという側面もあるでしょう。

家賃が高い

全国賃貸管理ビジネス協会が実施した全国家賃動向(2023年3月調査)によると、家賃の全国平均は2部屋で約5万9,000円、3部屋で約6万8,000円です。一方、東京都では2部屋で約8万7,000円、3部屋で約9万4,000円となっており、全国平均と比べてかなり高い水準だと分かります。

特に東京都の中でも、東京23区の家賃相場はほかと比べて高くなっています。大手不動産ポータルサイトSUUMOによると、東京23区の人気エリアの家賃相場は以下の通りです。

1LDK等2LDK等
港区20.3万円30.7万円
新宿区15.6万円23.5万円
世田谷区13.3万円16.7万円
渋谷区18.3万円29.0万円
文京区15.2万円21.0万円
目黒区15.5万円23.0万円
品川区15.0万円21.0万円
千代田区17.8万円27.0万円
中央区16.9万円24.1万円
杉並区12.4万円15.0万円

家賃は物価の中でも特に需要と供給のバランスが影響しやすく、人気エリアの多い東京は家賃水準も高い傾向にあるといえます。

娯楽が多い

東京は、話題のイベントや人気のレストランなど娯楽の誘惑が多い場所です。東京に住んでいると、自然と娯楽費が増えてしまうのも不思議ではありません。

娯楽費は、住居費や食費と比べると自分でコントロールしやすい項目です。一カ月の娯楽費を予算化する、先取り貯蓄で余ったお金を娯楽費に充てるなど、必要に応じて自分たちに合う節約方法を取り入れてみるのもよいでしょう。

賃貸併用住宅を建てるという選択

「生活費を抑えたいけれど、生活水準は落としたくない」という方は、賃貸併用住宅を選ぶことで、東京でゆとりある暮らしを叶えられる可能性があります。

賃貸併用住宅とは、マイホームと賃貸住宅をミックスした新しいスタイルの住宅のことです。例えば、1階部分は賃貸住宅にして第三者に貸し出し、2階部分をマイホームにして家族で暮らすといった形が考えられます。

賃貸併用住宅の最大のメリットは、入居者から受け取った家賃収入を住宅ローンの返済に充てられることです。家賃収入で住宅ローンの返済をまかなえれば、給与収入から住居費を負担する必要がありません。将来的に家賃収入が返済額を上回り、収支がプラスになる可能性もあります。

賃貸併用住宅なら、首都圏の人気エリアにマイホームを持つことも夢ではありません。首都圏の人気エリアは賃貸需要が安定していて入居者を見つけやすいので空室リスクを抑えられるというメリットもあります。

賃貸暮らしは「家賃を払う側」ですが、賃貸併用住宅を建てれば「家賃をもらう側」の立場に立つことができます。

まとめ

東京で賃貸暮らしを続けていると、毎月かなりの金額が家賃として消えていきます。家賃が毎月8万円とすると、3年で288万円、5年で480万円もの出費になります。マイホームを買う予定なら、家賃として消えていくお金のことも踏まえて購入時期を検討しましょう。

「人気エリアで暮らしたい」「持ち家がほしい」「教育や家族で過ごす時間にもしっかりお金をかけたい」などの希望を口にすると「実現不可能だから優先順位をつけるべき」と周りの人からアドバイスされるかもしれません。

しかし、賃貸併用住宅という選択肢なら希望を無理なく叶えられる可能性があります。固定観念を捨て、柔軟な発想で自分たちの暮らす家を捉え直してみてはいかがでしょうか。