家の購入にあたって、頭金について悩む人は多いのではないでしょうか。具体的な悩みとして、「頭金をいくら用意すればよいのか」「フルローンで家を購入して大丈夫か」などが挙げられます。これらを解消できるよう、ここでは頭金の目安やフルローンのメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。

目次

  1. 家購入に必要な頭金とは?目安は?
  2. 頭金なしのフルローンで家を購入できる?
  3. 家購入の際に頭金を多く入れるメリットとデメリット
  4. 家購入は頭金が貯まるまで待つべき?
  5. まとめ:「家購入をしたいが頭金なしでは不安」を解消する方法は?

家購入に必要な頭金とは?目安は?

家購入時の頭金の目安・頭金なしでも購入できる可能性は?
(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

始めに、「そもそも頭金とは何か」「家を購入する際の頭金の目安はどれくらいか」について確認しましょう。

家購入における頭金とは?

家を購入する際の頭金は、住宅購入費用のうち自己資金の部分です。家の契約時に代金の一部として現金(振込)で支払います。

例えば、家の購入価格が3,000万円で頭金比率が1割なら、支払う頭金(自己資金)は300万円になります。
*頭金比率(購入する物件価格に対する頭金の割合)

家購入の時に頭金を入れる目的は?

家を購入する時に頭金を入れる目的は、いくつかあります。その一つは、ローンの借入総額を減らして、返済負担を軽減するためです。また、頭金を入れて借入総額を減らすことで、金利が上昇した時の負担も緩和されます。さらに、借入総額が少なくなることで、住宅ローンの融資審査に通りやすくなる面もあります。

家購入の頭金の目安は「住宅価格の1割以内」

一般的に家を購入する時の頭金比率の目安は、住宅価格の10〜20%といわれています。ただ、住宅ローンを組んでいる方を対象にしたアンケート結果によると、最近の頭金の主流は「頭金なし〜1割程度」となっているようです(下記参照)。

三井住友トラスト・資産のミライ研究所が1万人を対象に行ったアンケート調査によると、ローンを組んで家を購入した方々の頭金比率は以下のとおりです。

Q.家を購入した時の頭金比率はどれくらい?

  • ゼロ(頭金なし):27%
  • 頭金が1割くらい:21.7%
  • 頭金が2割くらい:18.0%
  • 頭金が3割くらい:13.5%
  • 頭金が4割くらい:5.7%
  • 頭金が5割くらい:5.5%
  • 頭金がこれ以上:少数
出所:三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2021年)
*アンケート対象者のうち2,797人が回答した内容

上記の結果では、家を購入した時、頭金なしのフルローンだった方が全体の約3割を占めています。また、「頭金なし」と「頭金が1割くらい」を合計すると約半数を占めます。このような現状について、同研究所では以下のように解説しています。

“令和時代においては「頭金はなくとも、ローンで住まいを購入する」ことも、合理的な選択肢の1つになってきたといえるかもしれません。”

また、頭金比率は世代によって傾向が異なり、世代が若くなるほど「頭金なし」の比率が高くなります。各世代の「頭金なし」の割合は以下のとおりです。

Q.家購入の際の各世代の「頭金なし」の割合はどれくらい?

  • 20代:43.0%
  • 30代:38.1%
  • 40代:32.4%
  • 50代:22.9%
  • 60代:18.0%
出所:三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2021年)

頭金なしのフルローンで家を購入できる?

上記のアンケート結果を踏まえると、「頭金なしのフルローンで家を購入することは十分可能」といえるでしょう。とはいえ、すべての方がフルローンで家を購入できるわけではありません。頭金なしで家を購入するには、以下のような条件を満たす必要があると考えられます。

フルローンを利用できる3つの条件

・条件1:収入と返済額のバランスが良いこと(返済負担率)

住宅ローンの審査で金融機関がもっとも重視しているのは、収入と返済額のバランス(返済負担率)です。

住宅金融支援機構が行った調査では、金融機関が「住宅ローンの本審査で重要度が増している」と考える項目の1位は「返済負担率」(70%/複数回答可)でした。
*参考:住宅金融支援機構「2022年度 住宅ローン貸出動向調査」

この結果を見ると、収入に対してムリのない返済額を設定すれば、頭金なしのフルローンで家を購入しやすいといえるでしょう。

では、収入に対する返済比率はどれくらいが適正でしょうか。例えば、三菱UFJ銀行では「一般的には25〜35%を目安にするのがよいとされています」と解説しています。仮に手取り年収が600万円、返済比率が30%なら180万円。これを12ヵ月で割ると15万円になります(ボーナス払いなしの場合)
*引用:三菱UFJ銀行「住宅ローンの理想的な返済比率の目安とは?

・条件2:安定収入があること

家の購入などのローン審査において、「安定収入があること」は重要視されます。

先ほどご紹介した住宅金融支援機構の調査では、金融機関が「住宅ローンの本審査で重要度が増している」として挙げた項目の2位が「職種/勤務先/雇用形態」(44.7%/複数回答可)でした。端的にいえば、公務員や安定企業に勤めている正社員などは、 頭金なしのフルローンを組みやすいといえます。

・条件3:借入額と担保価値のバランス(借入比率)

土地の評価が高いエリアを選んだり、新築物件を選んだりするなど、担保価値のある家が購入対象の場合は頭金なしのフルローンを組みやすくなります。金融機関を対象にした前出の調査で、金融機関が挙げた項目の3位は「借入額と担保価値のバランス(借入比率)」(38.3%/複数回答可)でした。

この他、同調査で挙げられた住宅ローンの本審査で重要度が増している項目としては「借入者の社会属性(32.3%)」「預貯金や資産の保有状況(27.3%)」などがあります。

頭金なしのフルローンのリスクに要注意

住宅ローンを頭金なしで組めたとしても、フルローンのリスクを意識して「本当に頭金なしにすべきか」を検討するのが賢明です。

フルローンのリスクとしては「毎月の返済額が多くなること」が挙げられます。 この影響で返済不能に陥らないよう注意しましょう。「万が一、収入が減っても返済を続けられる」「将来、家族が増えても返済を続けられる」など、余裕を持った返済額にすることが大切です。

頭金なしということは、それだけ借入額が増えやすいということです。住宅ローンの残債が多いと、金利が上昇した場合に返済の負担が重くなります。こういった状況を避けるには、家を購入する前に返済シミュレーションを行い、金利が上昇しても返していける借入額にすることも大切です。

また、注意すべきは家の購入時に「諸費用」がかかることです。たとえフルローンを組んだとしても諸費用は基本的には現金で支払います。諸費用とは、物件以外にかかる費用のことで、印紙代や仲介手数料、登記費用などがそれに当たります。

「諸費用も含めて10万円で家を購入できる」などと住宅を販売している場合は危険です。本体価格から大幅に利益を乗せている場合が多く、住宅ローンぎりぎりの状態で購入することになってしまいます。

家購入の際に頭金を多く入れるメリットとデメリット

家を購入する時に頭金を多く入れることには、メリットとデメリットがあります。それらを比べて、(頭金なしも含めて)適切な頭金に設定することが大切です。

メリット:返済の負担感や支払い金利を軽減できる など

冒頭でもお伝えしましたが、家を購入する際に頭金を入れる目的として、以下の3つが挙げられます。

  • 返済の負担感や支払い金利が軽減される
  • 金利が上昇した時に対応しやすくなる
  • 住宅ローンの融資審査に通りやすくなる

頭金を多く入れるほど、これらの目的が達成しやすくなり、メリットを享受できます。

デメリット:手元の資金が減る

家を購入する際に頭金を多く入れることのデメリットは、手元の資金が減ることです。これにより、 以下のような問題が出てくる可能性があります。

  • 子どもの教育資金が足りなくなる
  • 生活が苦しくなる
  • 老後資金で不安が出てくる(資産運用ができなくなる)

これらのデメリットに配慮しながら、適切な頭金を決めましょう。

家購入は頭金が貯まるまで待つべき?

頭金が貯まるまで家の購入を待つべきかどうかはケースバイケースですが、このコラムの冒頭でご紹介したように、頭金なしで家を購入する人の割合は全体の約3割もいて、最近では頭金なしで家を購入することが当たり前になっています。

これを踏まえつつ、以下の3つを軸にしながら、ご家族にとってベストな選択をしましょう。

・低金利の状況をどう考えるか
これから先もしばらく低金利が続くなら、返済総額が多めでも金利負担が小さいため、早めの購入を検討するという考え方もできます。

・年齢的に先延ばしにできるか
頭金が貯まるまで待っていたら住宅ローンの申込者の年齢が上がってしまい、長期の返済期間を組みにくくなるなら、早めの購入を検討するのも一案です。

・ローン審査に通りやすいか
申込者や対象物件の状況から、ローン審査に通りにくい場合は、頭金を貯めてから審査にチャレンジするしかありません。

まとめ:「家購入をしたいが頭金なしでは不安」を解消する方法は?

このコラムを読まれている方の中には、「頭金なしのフルローンで家を購入したいが、 返済していけるか不安で決断できない……」という方もいらっしゃるでしょう。

この不安を解消する方法として、「返済期間を長くして毎月の返済額を減らす」「低金利の金融機関を選ぶ」などが挙げられます。また、「賃貸併用住宅を選ぶ」という選択肢もあります。

賃貸併用住宅とは、戸建住宅とアパートを組み合わせた建物のことです。アパートの家賃を住宅ローンの返済に充てることで、ローン返済の負担を軽減することができます。

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