Facebook画像

7月3日に予定されているサントリー食品インターナショナルのIPO など、2013年はIPOブームの到来が予想されています。今後訪れるかもしれないIPOブームを占うにあたり、海外メディアでとても面白い記事がありました。 Facebook IPO: Winners & losers という、2013年5月に行われたFacebook(フェイスブック)のIPOの勝者と敗者をテーマとした記事です。1040億ドル(当時のレートで約8兆2000億円)という、IT業界史上でも最大規模のIPOからは、学ぶことも多いのではないでしょうか。

今回は、上記記事のご紹介とまとめをお届けさせて頂きます。

参考:

市場を賑わすLINE(ライン)上場説とその影響【前編】~急成長モデルの裏側を追う~
市場を賑わすLINE(ライン)上場説とその影響【後編】~ソーシャル王者達との比較と関連銘柄のまとめ~
大型上場相次ぐ?IPOブーム到来の予兆[前編]〜過去の戦績と政府系上場説のまとめ〜
大型上場相次ぐ?IPOブーム到来の予兆[後編]〜西武、リクルート、、連発する非上場の巨人達〜


Facebook株式公開の勝者①IPO市場


Facebookの上場が大失敗して以来、多くの人がIPO市場は再び停滞してしまったのではないかと心配し、回復できるのだろうとか思う人もいました。

参考: 崩壊したソーシャルバブル~バブル崩壊の仕組みと今後の注意点~

事実、「Facebookの株式公開後、1ヶ月間はIPO市場は実質、停止しました。」とIPO調査や投資をおこなうルネサンス・キャピタル(Renaissance Capital)の社長であるキャスリーン・スミス氏は言っています。

ルネサンスによると、5月にはFacebookなど11企業が上場しましたが、6月は4企業にまで減り、2008年の不況以来、最低の数字となりました。Facebookの株式公開直後、ServiceNowなどの企業が鮮烈にデビューしたものの、2012年後半のIPO市場は停滞していました。ただ、それはFacebookだけが原因ではなく、ギリシャの債務危機、米国の財政の崖といったマクロ経済事情も関係しています。

しかし時が経ち、IPO市場も立ち直ってきました。「Facebookは、IPO市場が必要としていた浄化作用となったのです」とスミス氏は言います。今年5月には、30社もの企業が上場を予定しており、これは2007年以来、最大の数字です。ルネサンスのGlobal IPOファンド(IPOSX)の2012年に9%だったリターン率も、年初来24%以上も上昇しています。


Facebook株式公開の勝者②地元の慈善団体


昨年12月、ザッカーバーグ氏は5億ドル相当のFacebook株を、NPO「Sillicon Valley Community Foundation」に寄付しました。当NPOがこれまでに受け取った最高金額です。当NPOは、資金提供者の関心分野に資金を当てるのですが、ザッカーバーグ氏は医療と教育分野に寄付する計画です。

これは、ザッカーバーグ氏による慈善事業への寄付としても最高額です。彼は妻のプリシラ・チャン氏とともに、ウォーレン・バフェット氏とビル・ゲイツ氏らが、億万長者らに財産の大半を慈善事業に寄付することを呼びかけた取り組みである「Giving Pledge」にも参加しています。

しかし、これは、ザッカーバーグ氏自身への贈り物にもなっていると言われています。公認団体への慈善寄付は、税控除の対象です。ザッカーバーグ氏はすでに株式公開で数十億ドルの納税義務を負っているため、アメリカ政府が多額の小切手を引き取ってくれれば、その一部を立派な大義名分のために引き渡せると考えたのでしょう。