「あなたの」不動産投資の目的は何ですか
不動産に関する投資話は数あれど、成功者もいれば、失敗している人は数多いる。過去に苦々しい経験をした人もいるのではないだろうか。成功者とそうでない者との違いは、一体どこにあったのか。それを検証すると見えてくるのが、『明確な目的意識』の違いである。
不動産投資の成功、まさに不動産を売買して利益確定した時にプラスになっているかを左右するのが、「何を目標とするかだ」。例えば、「家賃収入を年金代わりにと考えて、長く所有したい」と、「家賃収入はなくとも、転売による価格差の利鞘で稼ぎたい」と目標が違えば、まず保有すべき物件の種類から保有期間、必要な手元資金まで全て異なる。さらに、「相続対策として、現金を不動産へ組み換えたい」「税金対策として購入したい」を目的とする富裕層にとっては、法律や財務の詳しい知識を持ったアドバイザーが必要だ。
このように、人によって不動産へ投資する理由は様々であるため、まずは自分がどのような目的で投資するのか、またライフプランの中でどのように位置づけられているかを明確にしないと、不動産屋の営業マンに「カモ」にされたり、知り合いの意見に惑わされたりしてしまうのだ。ハイリスクハイリターンなだけに、まず不動産投資に対する全般的な知識や現在の市場動向を日頃から追っていると、いざ不動産投資を始めるときに役立ってくる。
それを踏まえたうえで、昨年から上昇傾向にあり、投資のタイミングとして良いタイミングになってきた、東京都心部の不動産価格について述べていく。
不動産投資の市場動向について
国土交通省の『土地総合情報ライブラリー』の不動産市場動向マンスリーレポートによると、全国の更地や建物付き土地の不動産価格指数は11ヶ月連続で下落しているのに対し、マンションの価格指数は15ヶ月連続して前年を上回っている。
つまり、市場動向は、従来までの『土地付き一戸建て』から、近未来的でセキュリティも充実している『マンション』へシフトしていることがわかる。これに『東京オリンピック効果』も相まって、首都圏においては不動産投資が活発になりつつあるのだ。
東京都心の不動産投資状況
東日本不動産流通機構通称『レインズ』の月例マーケットウォッチによると、中古マンションの2014年1月からの売買成約価格がすべての月において、1~10%の間で上昇しているのに対し、売買の成約件数は、ほぼすべての月で10%前後減少している。つまり、売買価格は上昇しているにも関わらず、成約件数が減っている。以下の二つの理由から、これが不動産投資をする上で重要なポイントにもなってくる。
理由1:売買募集物件の不足
東京オリンピックの決定と、景気対策による物価の上昇等の好材料が揃った事で、不動産価格の上昇に対する「期待感」が高まりつつある。そのため、既存の中古マンション所有者の『売買募集控え』を促し、その結果として市場に出回る中古マンション自体が昨年に比べて減少した。
レインズの統計によると、売買募集物件のマンションに関する登録件数は、平成21年度の54,693件から平成24年度の72,530件までは右肩上がりで増加していたが、平成25年では61,824件で大幅なブレーキがかかった。平成26年のデータはまだ出ていないが、従前に比べれば大きな増加は見込めないと思われる。さらに、東京都が発表する住宅着工件数を見ると、東京都心部においてはマンションの新築着工件数は減少しており、商品の減少に拍車が掛かっている。
理由2:中国人投資家の進出
東京オリンピックが決定して以降、中国や台湾において東京の不動産に対する投資セミナーが数多く開催されており、それらを経由して中国人投資家が都心部の分譲マンションを買い占め始めている。注目すべきはその成約価格だ。例えば人気のある麻布近辺の場合、新築当初2000万円前後で購入された現在築9年の物件が、想定利回りにして4%前後程度で取引されている。日本の首都圏物件の不動産買取り業者は、中古物件を仕入れる際の一つの指標を、およそ実質利回り6%を確保出来ることを最低限のラインとして見ている。
では、なぜ中国人投資家は低い利回りでも日本の物件に投資をするのか。それは、中国の物件に比べれば、日本の物件は非常に利回りが良いからだ。中国国内の物件の平均利回りはおよそ2%前後と言われており、日本の投資物件は実に倍以上の高利回りに映るのだ。
このように現在の東京都心部の市場動向は、複数の条件が重なり、昨年までと比べかなり好転してきているため、投資のタイミングとしては絶好の状況と言える。冒頭に述べたように明確な目的意識を確立し、その上でどういった不動産を購入するかの参考にしてほしい。
(提供:不動産 online)
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