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(画像=株式会社テムザック)
川久保 勇次(かわくぼ ゆうじ)
株式会社テムザック代表取締役社長
1978年福岡県行橋市出身。九州工業大学大学院 生命体工学研究科 脳情報専攻後期課程を中退し、2005年テムザックに入社。台湾現地法人テムザックフォルモサの代表(董事長)、テムザック執行役員などを経て、2020年11月に代表取締役社長に就任。
株式会社テムザック
2000年創業、京都に本店を構えるサービスロボットメーカー。ロボット黎明期から、医療、建築、農業、パーソナルモビリティ、災害レスキューなど30種以上の実用ロボットを開発。人手不足が叫ばれる様々な業界において、産業用ロボットでもなく、コミュニケーションロボットでもない、人と共存しながらより実用的な業務を遂行する“WORKROID(ワークロイド)”の開発を重ねている。

川久保様の経歴について教えてください。

株式会社テムザック
(画像=株式会社テムザック)

私がテムザックに入社した当初は主にロボットの営業を行っていました。その後、研究所や企画部門に配属され、さまざまな業務を経験しました。その中で、台湾で子会社の設立に携わる機会があり、取締役技術本部長として台湾に赴任しました。その後、台湾の現地法人の社長を経て、日本に戻り、テムザックの取締役に就任しました。そして一昨年、代表取締役に就任しました。

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

私が特に印象に残った書籍は『フェルマーの最終定理』です。この本と出会ったのは8年前で、フェルマーの最終定理が証明されるまでの過程を人々の伝記のような形でまとめた本です。

『フェルマーの最終定理』が印象に残ったのは、ものづくりを始めとして、自分が難しい問題にチャレンジしているときに共感できる部分がたくさんあったからです。

フェルマーの最終定理というのは、「x²+y²=z²」という形の式が2乗の場合には成立するが、3乗以上になると成立する整数解は一個も存在しないという定理です。

この本は、フェルマーの最終定理を最終的に証明したアンドリュー・ワイルズさんという方が、実際に証明するまでの過程や人間模様が描かれている本です。

本の中で印象的だったのは、最終的に証明を成し遂げたアンドリュー・ワイルズさんが7年間一人で研究を続けて、やっとの思いで完成した証明に小さなミスが発見された場面です。

ものづくりの世界でも、長い期間取り組んできたものが小さなミスでダメになるということは良くあり、とても共感できる場面でした。

今でも、難しい問題に取り組んでいるときは、フェルマーの最終定理でも解けたから、今回もなんとかなるだろうと思って取り組んでいます。 もう一つ印象的だったのは、証明するまでの過程で、過去に一度捨てた証明があとになって、活用できるものだと判明し、捨てた証明を活用して、課題を解決していくという場面です。

このエピソードもものづくりで同じような場面に遭遇することが多く、新しいものを作り続けるという我々にとって共感できることが多く、面白い本だと思います。

読書はどのように仕事に活かせたのでしょうか。

この書籍を読んで感じたことはフェルマーの最終定理を証明したアンドリューワイルズさんは一人で問題を抱え込んでいたことが多くあったことでした。そのため、従業員が一人で問題を抱え込まないように、積極的に従業員に話しかけて、悩みや困っていることはないかを確認するようになりました。

問題があったときにエンジニアや科学者は一人で考え込む癖があります。そうならないように、積極的に従業員に話しかけて、今問題になっていることや困っていることはないかを確認するようにしています。

働いている従業員が管理職になったときは、積極的に部下が孤立しないようなコミュニケーションの取り方を学んでほしいと思います。

経営において重要としている考え方を教えてください。

私が経営において重要だと考えているのは、「誰もやったことがないことに挑戦すること」と、その挑戦を「スピード感を持って実行すること」です。先程言った、アンドリューワイルズさんの悪い点として、一人で問題を抱え込んだことというものがありましたが、そのせいで、最終的に数学の進歩が7年遅れたと言われています。

当社のようなベンチャー企業が、大企業と競争するためには、大企業ではなかなかできないスピード感が必要です。運動エネルギーの物理法則に関連して考えてみると、運動エネルギーは質量と速度の2乗で決まるので、質量では大企業に勝てませんが、私たちのような小さい会社は速度を上げることで大企業との差を縮められます。そのために、我々はいかに実行の部分をスピード感をもって進められるかが大切であると考えています。

最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。

株式会社テムザック
(画像=株式会社テムザック)

我々テムザックの未来構想は、「厳しい仕事や危険な仕事を人間がしなくても済む世界」を創ることです。そのために従業員の方には、0から1を作るところにチャレンジして、それを面白いと思えるようなマインドを持って、スピーディーにロボットを作っていってもらいたいと思っています。今一緒に働いているメンバーは世界を変えていくためのメンバーだと思っていますので、世界を変えていくメンバーの一員という誇りを持って、世界と戦える力を付けていってもらいたいと思っています。

氏名
川久保 勇次(かわくぼ ゆうじ)
会社名
株式会社テムザック
役職
代表取締役社長