ワイン業界のベンチマーク指数「Liv−ex50」から見た高級ワイン市場

2014年、高級ワイン市場が賑わいをみせた。10月4日に香港で行われた米大手競売会社サザビーズのオークションで、高級ワイン「ロマネ・コンティ」のスーパーロット(114本セット)が1,260万香港ドル、日本円で約1億9,100万円で落札された。これは1本あたり約167万5,000円の計算となる。出品されたのは1992年から2010年までの各ビンテージ6本ずつ。

ロマネ・コンティは近年では1999年、2005年、2009年が当り年だと言われている。落札者は匿名のアジア人だ。これまでロット単位の最高落札額は、1982年産の「シャトー・ムートン・ロートシルト」50ケース、105万ドルだったが、これを大きく更新した。


ロマネ・コンティ高騰の背景

ロマネ・コンティはフランスのブルゴーニュ地方、ヴォーヌ・ロマネ村の畑から作られたワインだ。生産量が年間平均6000本と非常に希少で、安くても1本30万円は下らず、当たり年のものは100万円以上で取引されることも多い。

ロマネ・コンティは「飲むよりも語られることの方が多いワイン」と呼ばれ、その評判や希少性から、世界の富豪がこぞって手に入れようと競い合う。近年では特に高級ブランド好きな中国人富豪からの人気が高く、オークションでも注目される銘柄となっていた。中国の景気の鈍化により、同国の富裕層による支出も鈍化しているというデータが挙げられていたが、中国人のワイン熱は簡単に冷めるものではないようだ。


ロマネ・コンティが及ぼす高級ワイン市場への影響

先述したように、サザビーの競売では1本あたり約167万5,000円で落札されたのを筆頭に、2014年はロマネ・コンティのビンテージは1本あたり軒並み100万円を超える高値となっている。ロマネ・コンティは年によって出来不出来が激しく、価格が乱高下することでも有名なワイン。そのため、市場の関心は早速別のワインへと移行しつつある。

次のターゲットとなっているのがボルドー産ワインだ。ボルドー産ワインの多くは、ピーク時から比べると40%値が下がっており、価格面もかなり魅力的。投資家らがボルドーワインに目を向け始めている。

Liv−ex指数とはワイン業界のベンチマークで、高級ワインの取引所を運営するイギリスのLiv−ex社が、世界の高級ワイン100銘柄などから算出している。ボルドー産の第一級格付けの回復は遅いと言われていたが、1年4ヶ月の低迷の後、4ヶ月連続でLiv−ex指数が上昇している。ロマネ・コンティの価格は安定しているものの、Liv−ex指数自体は60%も下落している。そのため2015年の高級ワインの主役の座から落ちることが予想される。直近10年に生産されたボルドー第一級格付けワインで構成される「Liv−ex50指数」から見ると、昨年夏からLiv−ex指数の回復が見えるシャトー・ムートン・ロートシルトなどボルドー産ワインが注目される。

2015年も引き続き、高級ワイン市場の主役はロマネ・コンティとなるのだろうか、高級ワイン市場の主役交代劇から目が離せない。

(ZUU online)

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