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格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1月26日、ロシア国債の信用格付けを「BBプラス」にすると発表した。今までの格付は「BBBマイナス」で、1ランク引き下げとなる。

「BBプラス」は投資不適格級と位置づけられ、信頼性が低く、元本の償還や利息の支払いが不確実であることを意味する。「BBB」以上が元本の償還や利息の支払いが相対的に安全であることを意味することから、ロシア国債の信頼性が低くなっていることが明確になった。

格下げの理由は経済成長率の悪化や原油安などと見られており、GDPの6割近くを原油売買に依存するロシアは危機的状況が続いている。ロイターの報道によると中国の専門家はデフォルトが予想以上に近いのではないかと分析する。1998年のデフォルトのときにもアジアの通貨危機からロシアのデフォルトまでは一定のリードタイムがあったが、今回は単なる通貨の問題というよりGDPの原資にかかわる問題だけに深刻度は計り知れない。

ロシアでは富裕層に対してある種のレパトリエーションで対外資産の国内への引き戻しの呼びかけを行っているがほとんど成果は上がっていない。


1998年とは比べものにならないEU圏の対ロ投資はデフォルトで壊滅的打撃?

前回のデフォルト時に比べて大きく環境が変わっているのがロシアへの直接投資額の増加である。ジェトロの発表によれば2013年6月末段階でEU内で大きな直接投資を行っているのはキプロスが408億ドル、オランダが230億ドル、ドイツが110億ドル弱で、オーストリア30億ドル、フランス25億ドルと続き、EU全体では920億ドルで世界での対ロ投資額の80%近くがEUに集中する状況となっている。この直接投資額が大幅に毀損し、回収不能に陥れば、ドラギ氏の采配でやっとQEのめどが立ったEU経済には大打撃を与え、QEを好感して上昇したDAX指数他のEU株式市場は大暴落に逆走する可能性ガ出てきている。