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3月6日、BNYメロンは都内で関係者を集めたセミナーを開催した。同セミナーではグローバル戦略マネージング・ディレクターのサマルジット・シャンカ氏が為替、株式、債券のトレンドや見通しについて、中心に語った。


注目すべきは各国の中央銀行の動向

各国の中央銀行が提供している通貨の流動性に今注目を集めている。興味深い動きとして、投資家がselective(選択的)になっており、世界のグローバルの株式も債券も興味深い分岐点にある。そして、それらが為替に与える影響といったものも注目に値している。


最近の投資家の面白い動向について

アセットアロケーションの変化に加えて、グローバルな投資家は、新興国においてもとてもselective(選択的)かつtactical(戦術的)なっているようだ。

たとえば新興国といっても、アジア全部を売買するのではなく、インドは買うがマレーシアは買わない、ラテン米国でもコロンビアを買わないがメキシコを買う、東欧においてもポーランドが買わないがハンガリーを買うといった動きになってきている。先進国を見ても、今資金の流れが米国からヨーロッパに移ってきている。

BNYメロンには、先進国・新興国の為替・株式・債券戦略をカバーするマルチアセット投資決定ツール「iFlow」があり、世界中の主要な中央銀行、ソブリンベースファンド、年金やそしてヘッジファンド、大企業などの主要どころの資金の動き約28.5兆米ドルをモニターし分析している。マーケットへの浸透率が非常に高く、現在何が市場を動かしているのが、マーケットの脈拍が一体どういうものなのかといったところをユニークな見解から分析している。


昨年後半から力強さを見せるドル

最近ではテーパリングも終わり、そしてまたECBもマイナスの預金金利を設定するといったあたりから、昨年の夏後半あたりから、非常に大きな資金の流れがドルへと入ってきている。それによって、ドルが随分と強くなっていったわけである。これは単純に投資家がドル、米国というのが経済の観点でも一番いいと信じているということだけではなく、多くの中央銀行の金融政策の役割といったものが功を奏していると思っている。


米国景気は明るいが、FOMCは金利の正常待ち

米国の景気は明るく、労働市場も回復し、非常にいい指標が出ている。失業率も5.6%へと下がっている。

しかし、失業率は下がってきているが、FOMCのメンバーは、まだ失業率が高すぎると、米国人で失業している人が多すぎる、そしてまた賃金の上昇が十分ではないというふうに思っている。

インフレターゲットの2%を下回っているという状況にあり、これまで長きにわたり考えられてきたテーマである。ディスインフレ圧力とドル高といった状況であり、金利の正常化待ちの姿勢であるといえる。


為替市場ではドルの資金が流入

過去1年間の状況としてユーロからは資金が流出していることがわかる。ポンドにしても円にしても大幅な売りが出ている。そして、大きな資金がドイツに流れていることが分かる。イールドカーブを見ても、5年間のスパンでマネーマーケットの頂点でイールドカーブがマイナスとなっている。ヨーロッパを見ても非常に低金利あるいはマイナスの金利になっている背景のなかで、米国債に資金が流れている。


米国株式の上昇は危険な赤信号

また、グローバルな投資家は資金をヨーロッパの株式へと大きくシフトしていっていることがわかる。昨年8月から9月にあたりにかけて米国株式、そしてインデックスの大きな売りがあり、10月15日を境に回復をした。しかし、この回復のラリーに機関投資家は入ってきていない。米国の株式がこれだけ上がっているのは、機関投資家が買っているからではなく、個人投資家や国外のファンドが買っているためだ。この状況は非常に危険な赤信号である。

伝統的に見て個人投資家というのは、大体入ってくるフリーポイントが間違っている。高くなってから入ってくるので、高く買って安く売ってしまうという傾向にある。

一方で、欧州株式に目を向けると随分と資金が流入していることが分かる。米国の場合には2%程度の上昇にとどまるのに対し、ドイツ、イタリアといったヨーロッパ各国においては、17~18%も上がっている。


「日本株は非常に微妙な分岐点」

アセットアロケーションのここ数週間の動きとして、日本株からヨーロッパの株式へと移ってきています。昨年の12月あたりから株を買う勢いがマイナスになってきている。しかし、そろそろ底を打ってきたため、新たに資金が日本株式に入ってくるかもしれない。それはここ数週間で見られる動向である。

昨年の12月から1月ぐらいにかけ、強力な買いが入ってきた。それもあり、10年物の利回りが0.195といった過去最低のレベルになってきたわけだ。それから、若干世界の投資家から今年の年初あたりに売りが入った。ただ、日本銀行の政策がこれで十分なのかという懸念がある。

また昨年4月に行われた消費税の増税の結果が、予期せぬほど悪い結果であったとの懸念もあり、安部首相や政策決定者たちが、さらに財政政策をとっていかなくてはいけないのではないかといったような懸念をもっている。

たとえば、プライマリーバランスの黒字を達成するのに、経済成長を促進させる策が良いのか、支出を下げるほうが良いのか、増税をしていくほうが良いのかといった、非常に微妙な分岐点にあるといえるだろう。 (ZUU online 編集部)

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