小売業を始めインバウンド需要を取り込んでいる企業の決算が好調だ。パルコ <8251> は、2015年2月期決算において営業利益が対前年比102.6%の125億円となり、3期連続で過去最高を更新した。

また、ラオックス <8202> の2014年12月期決算は、売上高が前年比151.4%の502億円。営業利益は14期ぶりに黒字転換となった。

流通・小売業、ホテル、テーマパークの企業例をもとに、インバウンド需要を業績に結び付けている銘柄の共通点を見ていきたい。


訪日外国人数は過去最高、4分の3が東アジアから

訪日外国人客の増加と円安が、インバウンド消費を押し上げる要因である。日本政府観光局が発表した2015年2月の訪日外国人客数は、前年同月比57.6%増の138万7千人となった。

特に、旧正月が重なった中国からの訪日外国人客数は35万9千人となり、単月・単一国・地域での最高を記録している。なお、国別の順位では、韓国、中国、台湾、香港の4ヶ国・地域が10万人を超えており、これら東アジア地域で全体の4分の3強を占めている。

また、人民元=円の為替レートは、2013年と2015年の比較では約30%円安・人民元高に動いており、中国から来た観光客にとって、日本の物価が下がっている計算になる。この円安と人民元高もインバウンド消費の押し上げに動いているといえそうだ。


インバウンド顧客をメインターゲットとしている企業が好調

流通・小売業では、訪日外国人客をメインターゲットにしている企業が好調である。

パルコは、SNSやブログ等と連動したインバウンド需要の取り込みに注力しており、それが効果を上げている。

決算資料によると、渋谷パルコの海外客売上高は対前年比152.2%。台湾人観光客に人気の高い北海道に位置する札幌パルコの海外客売上高は対前年比200.4%であり、外国人客の売上増が最高益更新へのドライバーとなっている。

ラオックスは、訪日外国人が多く訪れる空港や空港周辺での出店を積極的に進めている。例えば、平成26年8月に新千歳空港に隣接する「千歳アウトレットモール・レラ」と岡山空港に新店舗を開設した。

さらに、同年9月には、関西国際空港に隣接する大阪府泉佐野市にも新店舗を開設している。これらの新店舗が売上増に寄与し、国内店舗事業の売上高は前年比162.4%増の345億円となり、営業利益は前年比807.7%増の40億円となった。