ホテル・旅館業のインバウンド効果は高級ホテルが中心

訪日外国人の宿泊者数は急速な伸びを見せている。3月26日に観光庁が発表した最新の宿泊旅行統計調査(速報)では、訪日外国人の延べ宿泊者数が約1,237万人泊と7四半期連続で前年同期比25%超の伸びとなった。特に中国が前年同期比97.9%増の217万泊、台湾が前年同期比30.0%増の199万泊と、中華圏からの伸びが大きい。

ホテル・旅館業でもインバウンド需要をうまく取り込んでいる企業が好調だ。星野リゾート及び国内のホテル・旅館に投資するREITである星野リゾート・リート投資法人 <3287> は、平成26年10月期の営業利益が前期比169%増の8億95百万円。1口当たり分配金が前期比27%増の16,649円となった。株価も好調であり、4月13日に年初来高値の153万4千円をつけた。

帝国ホテル <9708> の決算も増収増益である。最新の2015年3月期第3四半期決算では、ホテル事業の売上高が前年同期比2.0%増の375億円。営業利益は前年同期比4.7%増の34億円である。また、平成26年10月にシンガポール営業所を開設しており、今後のインバウンド需要を取り込む意図が見てとれる。

しかしながら、リーガロイヤルホテルを展開するロイヤルホテル <9713> は、平成27年度第3四半期では減収減益であり、訪日外国人がもたらすホテル業の増収効果は、高級ホテル・旅館に限られているのが現状である。


テーマパークはハウステンボスが好調

テーマパークの入場者数も増加している。オリエンタルランド(OLC)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)はともに2014年度の入園者数が過去最高を更新している。

特に、アジア圏に路線を持つLCCの拠点である関西国際空港に近いUSJは、2014年度の入場者数が約1,270万人(主催者発表)に達し、開業初年度の年間入場者数記録約1,100万人を大きく更新した。

OLCとUSJ以上に入場者数を伸ばしているのがハウステンボスである。中国や韓国に近いという地の利を活かすだけではなく、韓国の釜山や台湾の台北における出張所開設が実を結び、2014年9月期の訪日外国人客は前年から3万5千人増の15万9,000人となった。

訪日外国人客の増加は業績改善にも貢献し、2014年9月期の売上高は前年同期比21.4%増の262億円。営業利益は前年同期比45.2%増の73億64百万円となった。


地道な努力がインバウンド選定の鍵

インバウンド需要をうまく取り込み業績に結び付けている企業は、空港の近くに店舗を開設し、そして現地事務所をアジア圏に開設する、といった地道な努力が功を結んでいるケースが多い。小売業やホテルといったインバウンド需要の恩恵を受ける業界に属しているだけでは、売上・利益増には結びつかないようだ。

インバウンド銘柄を選別する際には、訪日外国人の客数増のための確実に手を打っているかが、注目すべきポイントとして考えられるだろう。(ZUU online 編集部)

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