足下のビジネスは3社とも客単価はアップも客数は減少

同じ外食産業でもハンバーガーチェーンは、ファーストフードとは一線を画したこだわりの個人店が台頭してきているが、牛丼に関しては、今のところ市場は御三家によって独占されている状況といっても過言ではない。しかし、足下では、3社とも客数は伸び悩んでいる。2015年6月の客数は前年同月比で、すき家が13.7%減、吉野家17.1%減、松屋6.8%減となっている。

一方で、客単価はすき家10.5%、吉野家16.6%、松屋8.3%それぞれ前年同期比でアップしている。客数が最も落ち込み、客単価が最も上がった吉野家のケースでは、牛肉相場の上昇を受け、牛丼の並盛が300円(税込)から380円への値上げに踏み切ったことが要因で、3社ともすでに価格を見直し、200円台から300円台に突入した。

頭1つ抜き出るすき家 リスクも顕在化

材料価格の上昇とともに頭を悩ませるのは、店舗の人材問題。すき家は深夜の業務を1人でこなす「ワン・オペレーション(ワンオペ)」による過酷な労働と防犯上の問題が指摘され、24時間営業の店舗の約6割が深夜営業休止までに追い込まれ、ワンオペを廃止。

さらに、追い打ちをかけるように、アルバイトによる「バイトテロ」とも呼ばれる、モラルを欠いた従業員による企業イメージの悪化に直面している。店舗数と売上ではすき家が牛丼御三家の中では頭1つ抜き出しているが、従業員問題をはじめとするリスクにうまく対処できるのかどうかで同社の業績の行方も変わってくるだろう。(ZUU online 編集部)