税収の長期推移と財政健全化への道筋

平成26年度の決算税収は、25年度の46兆9千億円を7兆円程度上回るものとなる。消費税の8%への引き上げに伴う増収は4.9兆円とされるので、それを除く増収は2.1兆円になる。

下図によって税収の長期推移を振り返っておこう。なお、参考のため各年の当初比、補正比の自然増収・減収も示してある(棒グラフ)。概して景気低迷フェイズには自然減収が、景気回復(税収増加)フェイズには自然増収が一般的であることが見て取れよう。

税収面でみる限り、アベノミクスは効果を上げつつあるようにみえるが、『上振れ』現象を含め、税収が好調な回復を見せ始めたことは、今後の財政再建のあり方に改めてさまざまな議論を呼ぶことになりそうだ。

一方では、与党などから国の歳出の積み増しを求める声が上がるだろう。マクロ的にみても、予想以上の税収増は、民間から資金を吸い上げて景気を冷やす『フィスカル・ドラッグ』だという理屈が成立する。

他方、基礎的財政収支(プライマリ・バランス)を2020年度に黒字化するための経済財政諮問会議の議論では、スタート台で税収が大きく上振れたことを受けて、成長に伴う税収増と歳出削減を両立させながら財政健全化を達成しようという考え方が勢いを増すだろう。

ただし、いずれの主張にとってもアキレス腱となるのは、今後も持続的な税収増を期待してよいのかという疑問だ。先の図に戻ると、1980年代後半の中曽根改革期と2000年代前半の小泉改革期の過去2度において、堅調な税収回復期のあったことが見て取れる。

両回復期にピリオドを打ったのは平成バブルの崩壊と、リーマンショックの混乱であった。こうしたショックを避けながら、安倍政権が、中曽根・小泉政権に劣らぬ本格的な“改革”を実現していけるのかどうか、それが問題の核心となるだろう。(ZUU online 編集部)

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