資産運用
(写真=PIXTA)

インフレ時代の基本は「分散投資」?

日本経済は、1990年代の不動産バブル崩壊以後、20年以上に渡って物価が徐々に下落していく「デフレ」を経験してきました。

物価が下落するわけですから、家計にとってはメリットが多いデフレですが、経済全体を見ると緩やかなインフレが継続する社会が理想的と言われています。

そこで登場したのが、デフレ脱却を目指した安倍第2次政権でした。大胆な金融政策を実施して世の中に流通する紙幣の量を増やし、円安を誘導することによってインフレ率2%を目標に掲げました。

その結果、円安による輸入物価の上昇や消費税率引き上げなどによって、日本の物価は徐々に上昇。スーパーなどに買い物に行くと実感できる人は多いと思います。

問題は、物価上昇は自分の「資産」の目減りを招く可能性があることです。安倍政権が現在目標に掲げている2%のインフレが実現した場合、資産の価値はどんどん減少していくことになるのです。

たとえば1000万円を現在のようにほとんど金利が付かないゼロ金利の銀行預金にしておいた場合、10年経ってもほぼ1000万円のままです。

ところが、年2%ずつ物価が上昇して行った場合、1000万円の実質的な価値は10年間で約820万円程度にまで下落してしまいます。30年後には552万円になってしまうというシミュレーションもあります。わずか2%のインフレ率でありながら、お金の価値は大きく下落するというわけです。

では、資産を守るためにはどうすればいいのでしょうか。まず、大切なことはデフレ時代とインフレ時代とでは資産運用の方法が異なることです。

デフレ時代は、たとえゼロ金利であっても自然にお金の価値が上がっていきますが、インフレ時代は放置しておけば、時間とともにお金の価値が目減りして行くことになります。

「資産防衛」のための3つの方法とは?

結論から言えば、お金の価値の目減りを防ぐ=資産を守るためには「資産運用」が必要になるということです。

資産運用といえば、増やすことだけを考えがちですが、インフレ時代には防衛を考える必要があるということです。その方法を大きく3つのポイントに分けて考えてみましょう。

①インフレに強い資産に「分散投資」する

資産をいくつかの金融商品に分散して運用することが資産運用の基本です。金融商品の中にはインフレの影響を大きく受けるものと、さほどインフレの影響を受けにくいものがあります。

たとえば、株式市場などは一般的には物価上昇を先取りする形で、株価が上昇すると言われています。一方で、債券などは金利が上昇すれば既存の債券価格は下落するなど、あまり向いていないかもしれません。

その一方で、不動産とか金といった現物資産に分散投資する方法もあります。さらに、インフレによって円安が進行するのであれば、円安に強い海外資産に置き換える、といった方法もあります。大切なことはインフレに強い資産に分散投資することです。

②資産を海外に逃避させる

第2のポイントとしては、インフレとは「円」の価値が下がることですから、インフレへの対応策として「円以外の通貨」で運用する方法があります。

円以外の通貨といっても様々ですが、国際的に信用度の高い米ドルやユーロ、あるいは金利が比較的高いオーストラリアドルなどがあります。他にも「外貨預金」「外貨建てMMF」「外貨建て保険」などなどがあります。

外貨建てにこだわらなくても「海外の金融市場」に投資する方法でもいいわけです。たとえば、海外の金融市場に投資する「投資信託」でもいいわけです。

ただし、円高時代は為替市場の動向に左右されない「為替予約」付きの投資信託が人気でしたが、インフレ時代には為替予約をしないで為替変動が反映される商品がインフレ対応商品になります。

③「実物資産」に置き換える

インフレというのは、お金の価値が下がる現象です。紙幣や債券、株と異なり、金やプラチナ、不動産といった「実物資産」に置き換える方法も、インフレへの対応策として有効です。

一概に実物資産と言っても、その商品によってメリット、デメリットがあります。

インフレに強いと言われる金やプラチナは、保有しているだけでは1円の利息も付かないというデメリットがあります。

同じくインフレに強いと言われる不動産は、賃貸物件にすることで家賃収入というインカムゲインが入ってきますが、すぐに現金化したいといったニーズにはこたえられない流動性の問題があります。

自分にあったポートフォリオ作成は、資産運用のプロに相談を

インフレ時代に自分の資産を守る方法を紹介してきましたが、資産運用を行うには大切なものがあります。資産運用に関する豊富な知識と数多くの経験です。現在の金融商品の運用というのは、経験も知識も不足している個人投資家にはなかなか難しい世界です。

そこで、お勧めはその道のプロに相談、もしくはコンサルティングを受けること。とりわけ、分散投資をどうすればいいのか。自分自身に適した「ポートフォリオ(資産構成)」を決める際には、資産運用のプロに相談することが大切なのかもしれません。

とりわけ、退職金などのまとまった資金を防衛したい、豊かな老後を送るための資産運用術などなど、目的がはっきりしている人にとっては、資産運用のプロである資産運用コンサルタントなどに相談するといいかもしれません。

日本の金融機関の多くは、たとえば退職金の運用にふさわしくないような金融商品であっても、キャンペーン中であれば売りつけてしまうなどの金融機関の事情で運用させられてしまうことが多いです。できれば、プロの資産運用コンサルタントの考え方を参考にすべきでしょう。(提供: ファイナンシャルスタンダード株式会社