アジア新興経済レビュー
(写真=PIXTA)

◆実体経済

生産面の伸び率(前年同月比)の動きを見ると、韓国・タイ・フィリピン・インドが3ヵ月・6ヵ月平均を上回るなど総じて持ち直しの動きが見られた。韓国は電子部品・デバイスや自動車など、フィリピンはその他製造品や電気機械を中心に上昇した。またインドはインフレ圧力の後退や利下げなどから販売が好調な耐久消費財の生産が拡大し、2年10ヵ月ぶりの6%台を達成した。

◆消費者物価上昇率

9月の消費者物価上昇率(前年同月比)は、国際商品市況の下落が続いたほか、景気減速によるインフレ期待の後退を受けて低めの伸びとなった。台湾は大型台風の影響で野菜や果物などの食料品価格が高騰して今年初のプラスに転じた。

◆金融政策

10月は、韓国・インドネシアの中央銀行で金融政策会合が開かれたが、それぞれ金融政策は据え置きとなった。

◆10月の注目ニュース

-韓国・台湾 :2015年4-6月期GDPを公表(23日、30日)
-台湾 :国民党が次期総統選候補を朱主席に差し替え(17日)
-マレーシア :2016年度政府予算案を発表(23日)

◆11月の主要指標

11月は、マレーシア(13日)・タイ(16日)・インドネシア(5日)・フィリピン(26日)・インド(30日)で2015年7-9月期の国内総生産(GDP)が公表される。マレーシアでは4-6月期に見られたGST導入前の駆け込み需要の反動が剥落して成長率が上向くか、またインドネシア・フィリピンでは予算執行の加速で公共投資が景気の牽引役になるか、そしてインドではインフレ圧力の後退と利下げによる景気回復が見られるか注目したい。


生産活動(韓国・台湾・タイ:9月、その他の国:8月)

アジア新興国・地域の生産指数の伸び率(前年同月比)は、韓国・タイ・フィリピン・インドが3ヵ月・6ヵ月平均を上回るなど総じて持ち直しの動きが見られた(図表1)。

アジア新興経済 図1

韓国は前年同月比+2.4%と電子部品・デバイスや自動車などを中心に上昇し、フィリピンは同+3.7%とその他製造品や電気機械を中心に4ヵ月ぶりのプラスに転じた。

またインドはインフレ圧力の後退や利下げなどから販売が好調な耐久消費財の生産が拡大しており、2年10ヵ月ぶりの6%台を達成した。このほかタイは同▲3.6%と、これまでの低迷の主因であった電気機械の持ち直しや一般機械のプラス転化によって前期から4.7%ポイント改善した。

台湾は同▲5.3%と、アジア向け輸出の不振で主力のコンピュータ・電子・光学製品や電子部品のマイナス幅が拡大して3ヵ月・6ヵ月平均を下回った。またマレーシアは同+3.0%と、昨秋から全体を牽引役してきた鉱業がマイナスに転じて低下した。