久光製薬 <4530> が22連続の増収ということになり、安定した売上推移を見せている。2017年2月期には売上は多少落ち込むことが想定されているが、純利益は相変わらず増益を続けることが予想されている。

当社製品が幅広く人気があるようだが、業績の安定推移の立役者は久光製薬の看板製品サロンパスだ。北米での海外の需要なども順調な伸びを見せておりシップの世界ではサロンパスの力強さが際立っているようだ。

2016年2月期のサロンパスの売上は対前年比で国内がプラス17.1%、海外がプラス11.0%と大きな伸びを示している。ブテナロックやアレグラなどの商品の売り上げ鈍化をカバーすることに成功している。では、なぜサロンパスはそれほどまでに人気なのか、理由を探ってみよう。

老人のイメージ払しょく シップから薬用シートへの転換

(画像=Webサイトより)

「肩が凝ったらサロンパス」のフレーズで知られる人気商品であるサロンパスは久光製薬の連続増収へ大いに貢献していることは確かだ。

最近では、広告塔に嵐の二宮和也を起用するなど、女性開拓にも余念がない。働く女性が増える中で、「目立ちにくさ」や「しなやかさ」を製品の特徴にくわえることでシップの従来の年より臭いイメージを払拭することに成功しているようだ。

女性はイメージを大切にするため、シップとしてではなく薬用シートとして売り込むことで使いやすい認識へと変えているのだ。また、男性が匂いのキツイ塗り薬をガシガシ体に塗れるのにたいして、女性は匂いケアの面でも匂いを極力おさえたサロンパスのようなシップ型に傾倒していると思われる。

しかし、そうはいってもシップを利用する多くは高齢者だと思われる。2016年9月には65歳以上の高齢者が3461万人になったと伝えられている。今後ますます高齢者が増加していく中で、老人向けの商品として根強い人気をキープしそうだ。

日本へ行ったら絶対に買うべき神の薬

海外需要の高いサロンパスではあるが、日本へ来た外国人からの需要(いわゆるインバウンド需要)も高いようだ。特に中国人観光客が日本へ来た際の買い物リストの中に、サロンパスが入っているのだ。日本の薬品は質が良いため、一気にケースごと買っていくこともあるのだろう。同時にドラッグストアなどの売り上げが大きく伸びたのもこれと同じ理由だ。久光製薬の22期連続売り上げの増収に大いに貢献してきたと思われる

ただ、ここ数年の海外からの観光客によるインバウント需要は最近でこそ多少の陰りを見せ始めている。それに伴い売り上げの会社予想なども今までよりもシビアな予想となり、17年2月期の売上げも会社予想で1550億円と前年度に比べて鈍化しているのも事実だ。

インバウンド需要が落ち込む中で、今後は売れ筋であるサロンパスやフェイタスと言ったヒット商品の新しい層を開拓することが急務と言えそうだ。