建築を通じて「地域のつながり」を大切にする近藤建設。『快適生活応援企業』として、住まいの土地探しからリフォームまで、すべてをサポートしている。営業チームを「会社の要」として考えている宇佐見社長に、鬼速PDCAを取り入れたきっかけやその効果、今後の展望について伺った。
導入のきっかけ
属人化している営業から脱却し、誰もが実践できる仕組みを作りたい。
営業チームから社内全体に鬼速PDCAを根付かせる。
近藤建設株式会社
代表取締役 宇佐見 佳之 氏
営業チームに鬼速PDCAを導入した背景を教えてください。
宇佐見社長弊社は基本的にはゼネコンなのですが、地域の方々との繋がりを大切にしているため、エンドユーザーと接する機会が多くあります。現代は人と人のつながりが希薄になってきていますが、弊社のような地域の建設会社だからできることが絶対あるんです。建築を通じて「ふれ合う」「肌で感じてもらう」「場を作る」などの価値を提供したいと考えています。
社内のメンバーは全員これを理解しているので「御社はそんなところまでやるんですか?」と驚かれることもあります。けれど、お客様やパートナーにこのサービスの価値を伝えられているかというと、実際はそうじゃない。社員が伝えているつもりでも、実は理解されていないケースが大半だったんです。
それはなぜかというと、建設や不動産の営業は、属人的な力に頼っている部分があるからです。一部のカリスマ営業やトップセールスマンは、自然とPDCA的な考え方ができていることもありますが、独自のノウハウでやっているので他の人が同じように実践できないんです。属人的になっているノウハウを社内で共有して、誰もが同じクオリティで「サービスの価値」をお客様へ伝えられるようにするための仕組み・システムをつくることが必要だと考えていました。
そんなときに鬼速PDCAの講演を聞き、「これを実践できれば弊社のサービスの価値を伝えられるのでは?」と感じました。属人的になっている営業プロセスを鬼速PDCAで標準化すれば、社内で共有できると思えたんです。会社に帰ってきてすぐに「これやろうよ」と提案して導入を決めました。
実際に研修へ参加したのは、プロジェクト管理の要となる営業の9名です。このメンバーが探客からご契約、最後の引き渡しに至るまで、すべてのプロセスに関わっているからです。彼らが実践できるようになることで、鬼速PDCAが社内に浸透しやすくなるだろうと考えていました。
導入後の変化
鬼速PDCAの仕組みを各部署でカスタマイズして活用。
「本当の課題」を自ら発見できるようになった。
実際に鬼速PDCAを導入してみていかがでしたか?
宇佐見社長
導入を決めた当初、受講する営業チームのメンバーは「PDCAなんてもう分かっているよ」という感じだったのではないかと思います。しかしそこから半年が経ち、ずいぶんPDCAに対する考え方も変わってきました。
まず「課題を絞り込む」ことを教えてもらったことが良かったですね。以前は課題を考えることなく、ゴールを先に決めて向かっていくアプローチが多かったんです。そうすると「本当の課題」が何なのか分からず、無駄な仕事が増えていた印象でした。一方、今はそこで改めて業務の棚卸しをしたり、因数分解したりすることで問題点が見えるようになりました。課題が見えることで、どんどん業務改善できます。
他社のサービスでは、実践しにくく形に残らない研修が結構あるんです。しかし、鬼速PDCAではワークショップも取り入れながら、すぐに実践できるところまで教えてもらえるのが非常に助かります。
また、鬼速PDCAトレーニングの中では、それぞれの部署に合った提案をいただけるのでとても役立ちました。受講した住宅部門と建設部門のチームでは、研修で実践したことを表にして、自分たちが使いやすいようにカスタマイズしながら活用しています。特に住宅部門では、自分たちが今までやってきた営業のアプローチ方法や考え方などを上手く整理整頓できているので、すごく良かったですね。
また、社内に共通用語としてKGI (最終目標)、KPI (結果指標)、KDI (行動指標)などが根付いたことも大きいと思います。ゴールを定量化することで、今まで以上にコミュニケーションが円滑になりました。他にも業務中の会話で「成果が上がらないから“因数分解”で分析しよう」「工数棚卸しで時間を有効活用できないか」などの会話が出てきています。半年間で鬼速PDCAが、かなり浸透してきたのではないでしょうか。
因数分解
課題を出しやすくするために、因子を徹底的に出し尽くす技術。主にマインドマップを使って思考を横に広げたり、縦に深掘りしていくことで改善するべき重要な課題を発見できる。
KDI (行動指標)
「どれだけ計画を実行できたか」を表す指標。検証フェーズで客観的に判断できるよう、具体的な数字を設定する。(例:「面談ロープレ1日1回」「当日中のアポ架電100%」)
工数棚卸し
自分がどの業務にどれくらい時間を使ったか、自分の工数を棚卸しすること。一週間、一ヶ月など期間を区切って棚卸しを行うことがタイムマネジメントに役立ち、メンバーの工数を把握しやすくなる。
鬼速PDCAの効果
会議の時間が半分に。共通言語を用いて進めることで、新入社員も売れるようになる。
近藤建設株式会社
営業マネージャー 發知 正仁 氏
鬼速PDCAの効果はどんなところに表れていますか?
發知営業マネージャー今までも定点管理として、結果の数的管理だけはずっとやっていました。そのため、目標の数字に届いていれば成功している、数字を達成していなければ成績が上がらないという認識はありました。しかし、鬼速PDCAは結果だけではなく行動の質を管理することなので、KDI (行動指標)を管理する重要性を実感しました。
それが導入されたことで、各リーダーが目標と実績とのギャップを意識できるようになり、課題を絞り込めるようになっています。上手くPDCAが回っているチームは結果がそれについてきているという印象ですね。
また、共通言語を用いて進めていくことで営業の行動基準が明確になり、メンバーごとに確認すべきこと、やることがはっきり分かります。「今日は集客に注力しよう」「今週は歩留まりに取り組もう」など仕事の優先順位がはっきりしてきた結果、新入社員でも“売れる”ようになってきました。
弊社の営業では今まで「3年経たないと売れない」といわれていました。今までの経験が重要で、お客様の特性を見極めながら上手く商品説明する必要があるからです。現場でも、若手が“売れる”仕組みをつくり始めていたところだったのですが、鬼速PDCAの導入でさらにそれが加速しました。世間的には「住宅業界は非常に厳しい」と言われているなか、弊社の数字は上がっています。これは実際の効果について一番の証明じゃないかなと思います。
あとは”工数棚卸し“ですね。教えていただいたタイムマネジメントの3大原則「捨てる」「入れ替える」「圧縮する」は、自身を管理するために活用しています。今までは社内ミーティングの時間が全体の6〜7割で、商談の割合が低いことが課題でした。でも今は半分の時間を商談に利用できています。
これには、会議の質が上がったことも影響しています。以前は1時間ほどかかっていましたが、今は半分の時間で終わるようになりました。会議の流れとしては、まず最初にプロジェクト管理シートを使って具体的な実績を報告します。次に「今週の課題は〜です」「そのために今週は〜をやります」などのように現時点の行動目標を立てます。
そして次週には、先週できたこと、できなかったことを省みて、次のアクションを設計していきます。以前よりも効率的に会議を進められるようになり、導入の成果が出ていると感じます。
今後の活用
鬼速PDCAで積み上げた成功事例を、全メンバーに共有。
営業の飛躍的な成長で会社が変わっていく。
今後は鬼速PDCAをどんな風に活用していきたいですか?
宇佐見社長鬼速PDCAの成功体験を横展開して、積極的に社内共有していきたいですね。「グッと成長した人」の真似をすることによって、他のメンバーが伸びることもありますから。そのためには成功事例、失敗事例を今後の財産としてストックしておいて、何か課題が持ちあがったときにそれを活用するのがスムーズだと思います。
また、今まで後回しにしていた「やるべきこと」を実践することで結果がついてくることが分かりました。一生懸命やっても成果が上がらないこともありますが、取り組んでいる当事者は「やっていることが間違っている」ことになかなか気付かないものです。そうならないために、“因数分解”や“工数棚卸し”を利用して、本当にそれが重要な課題なのかを見極めています。
そうやってまずは営業で習慣にしていく。そして営業の成果が出てきたところをみて、他部門で「ちょっとウチでもやろう」と広がっていくのが理想ですね。例えば、総務部が進めている「働き方改革」の残業時間についての課題も、このPDCAの考え方で成果を出すことができるのではないでしょうか。
そして最近は、代表の自分が1対1のPDCAトレーニングを受講するのも有効だと感じています。というのも、経営者にはじっくり“因数分解”して考えるような機会が意外とないんです。日々取り組むべきことがたくさんあるので、一つのことをやっているときに「あの案件はどうなったかな?」と意識が逸れることが多いので。目の前のことに100%力を注ぐという意味でも、鬼速PDCAを受講することは良いのではないかと思います。