沖縄から世界へ!を合言葉に、卓球プロリーグ「Tリーグ」に所属する「琉球アスティーダ」。チーム運営をはじめとして、トライアスロン、スポーツバル、物販サイト、卓球スクールなど、地元に根差した総合スポーツクラブとして “沖縄 × スポーツ × 〇〇” をテーマに様々な事業を展開している。日本における新たなスポーツビジネスのあり方を創出し、国内初となるプロスポーツチームとして株式上場(東京プロマーケット)を果たした同社に、鬼速PDCAを導入した背景について伺った。
導入のきっかけ
わずか2週間というスピードで、上場に向けた質の高いエクイティストーリー・戦略の磨き込みができると言われて導入を決めた。
鬼速PDCAを導入したきっかけを教えてください。
早川社長弊社は上場を目指して準備を進めながら、証券会社や株主の皆さんに説明する資料、また金融機関やVCにも明確に説明できるような資料を作りたいと模索してきました。そんな時に出会ったのが鬼速PDCAです。
もともとは知りませんでしたが、古くから付き合いのある(ZUUの)常務からご案内いただきました。冨田社長とも創業期から知り合いだったこともあり、まず鬼速PDCAの勉強会に参加したんです。そこで「こんな風に課題解決の仕組みができるんだ!」と、感動したことを覚えています。特に“因数分解”で、驚くほど細かく事業を分解して、ものを決めていくことに衝撃を受けました。これを自社で使うことによって、我々も成長できるんじゃないかと直感的に思いましたね。
そして、上場に必要な資料を社内で作成する場合、何十時間、何百時間かかると思っていましたが、鬼速PDCAを受講してみると、短時間で一気にまとまっていくような感覚になったんです。その後、実際に取り組んでみると、わずか2週間で完成度の高い経営計画書が仕上がりました。「時間を買う」という意味でも、これは受講して正解でしたね。
というのも、ベンチャーやスタートアップにとって、時間とスピード感はとても重要なんです。“因数分解”は、ゆっくり時間をかけても、結果は変わらないと思います。それなら早めに課題を深掘りして、明確な方針を策定して動き出した方が、時間を味方に付けられます。私が鬼速PDCAにピンときたのは、PDCAの仕組みはもちろんですが、さらに鬼速というスピード感があるからです。これは事業を加速するにあたって、非常にプラスだと感じています。
導入後の変化
“因数分解”で課題の特定と解決案を策定。社長依存の営業組織が変わり、昨年対比でスポンサー数が3倍、売上は200%増。
実際に鬼速PDCAを導入してみていかがでしたか?
早川社長今回、鬼速PDCAを導入してみて一番の収穫は、抽象的に問題だと思っていたことを具体的に認識でき、それに対する明確な解決案を策定できたことです。課題として感じていたのは、スポンサーを獲得するための営業について。顧客の獲得は「紹介」がほとんどで、その95%を私自身がやっていました。しかし、それでは当然のことながら限界がきます。
その限界を突破していくために、私の営業工数を部下に割り振っていくことにしました。具体的には、テレアポの導入と、営業先を明確に絞ることです。例えば、営業先は年商1億円以上で30年以上の歴史を持つ会社や、設立3年以内で年商3億円以上にするなど。単純な話ですが、無差別に100社あたるのと、ターゲットを明確に絞り込んだ100社に電話をかけるのでは、結果は歴然ですよね。工数的にも3分の1、4分の1になるので、結果に天と地ほどの差が出てきます。
今までは直接的な営業にあてていた私の時間が、1週間あたり15時間ほど軽減され、空いた時間でより効率的な営業の仕組みを作ることができています。社内の指示体制も効率化することができ、アライアンスに基づいて見込みを開拓していく、いわばリレーションも組めるようになりました。
営業の効率化は成績にも表れ、スポンサー数は昨年対比で3倍に。売上は約200パーセントに増えました。というのも、今まで高額な事業プランしか販売していなかったのですが、100万〜300万という今までとは異なる価格帯のものも売れるようになったからです。それは的確な企業選定の結果で、「この企業にはこの商品」と効率的に提案できるようになったことが大きいですね。営業工数も短縮され、提案数を増やせるようになりました。
鬼速PDCAの効果
鬼速PDCAで作った経営計画書で社内の意思統一を促進。社外にも説得力をもって戦略を提示し、資金調達に成功。
鬼速PDCAが、経営計画書の策定にどのように活かされたのか教えてください。
早川社長経営計画についても、これまではKGI (ゴール)がぼんやりしていました。もちろん、リミッターを外して高い目標を設定することなど、以前からやっていたんです。でも、その目標は「これくらいだったらいいな」という抽象的なものでした。鬼速PDCAを受講してからは、非常に精度が高く具体的な目標を設定できるようになったので、今何をしなければいけないのかが、明確になりました。
経営計画書に紐づく中長期の事業計画においても、そこに着地するためにはどうするべきなのか、より具体的な行動が定まってきました。ゴールが曖昧なまま走り続けると遠回りの連続ですが、鬼速PDCAで目指す数字を明確にしたことで、最短のルートを選べるようになったと感じています。
また、鬼速PDCAを受講してから、わずか2週間という期間で経営計画書(約50枚)を策定できたことも大きな収穫です。明確な根拠に基づいて、経営計画を説明できる資料があるのは弊社の強みですね。今まで毎月の役員会で、やりたいことや自分のKGIを伝えるのに苦労していましたが、この資料で意思伝達のスピードが加速度的に上昇したのではないかと思います。
とはいえ、事業のプラットフォーム化構想を最初に社内で話した時は、なかなか理解されませんでした。しかし鬼速PDCAの経営計画書を共有しつつ、役員会、取締役会、営業会議などの場でその構想を随時発信していくことによって、「こういう方向性でいくんだな」と、分かりやすく社内の幹部へイメージが伝わっていきました。
金融機関の皆さまにも、経営計画がよくわかると高評価をいただいています。事業に必要な資金調達も上手くいき、約1億4〜5千万円を無保証かつ無担保で借り入れることができました。
今後の活用
鬼速PDCAで磨き上げた戦略を形にして、沖縄のプラットフォーマー・上場を実現し、「スポーツ×マーケティング」を日本に定着させる。
鬼速PDCAを今後の事業にどのように活かしていくのか、展望をお聞かせください。
早川社長鬼速PDCAを受講してみて、より深く経営を分析できるようになったと感じています。受講されている経営者の方々は、口を揃えて「ここまでやるのか」と感想を述べられていますが、私も同じ感想ですね。“因数分解”の精度がより高くなることで、経営者としての視点が磨かれ、より精度の高い経営計画を作れるようになったのではないかと思います。
今後についてですが、私がスポーツチームを経営しているなかで、大きな課題が3つあります。まずガバナンスの問題、そしてディスクロージャー(情報開示)されていない問題、最後に地域で上場している企業が少ないという問題です。鬼速PDCAを活用しながら、一つひとつ課題解決を進めていきたいと思います。
私は、夢と感動を与えるスポーツに、新しいお金の循環を作っていきたいと考えています。それをスポンサーやチケット収入に頼らない形でやっていきたいんです。そのためには、BtoC、BtoBのマーケティング会社、いわゆる「沖縄のプラットフォーマー」になることが最初の一歩です。この目標に向けて、すでに動き出しています。
いろいろなチームの経営に参加していき、その地域でもプラットフォーマーになっていく。そのことによって、海外では当たり前にある「スポーツ×マーケティング」を、日本でも当たり前に定着させていきます。