お笑い芸人から実業家へ転身し、自宅の一室から事業をスタート。大阪の元気なベンチャーとして、一等地に600坪のオフィスを構えるまで、会社を飛躍的に成長させてきた代表の森武司氏。さらなる規模拡大を目指して鬼速PDCAを導入している。その経緯や導入後の社内の変化、今後の活用について森氏と執行役員 CHRO 石田優太郎氏に伺った(石田氏は現在、グループ企業のEvand株式会社 代表取締役)。
導入のきっかけ
事業の多角化・拡大をしてくなかで、どんな事業にも適用出来る共通マネジメントスタイルを求めて導入を決意。
Suprieve Holdings株式会社
代表取締役 CEO 森 武司 氏
鬼速PDCAを導入したきっかけを教えてください。
森社長私たちは現在15ほどの事業を展開していますが、そのうちの一つ、派遣事業の責任者の石田が「鬼速PDCAを導入したい」と話を持ってきたんです。
私自身は鬼速PDCAのことを知らなかったのですが、月一回開催する事業責任者の会議で「これどう思う?」と聞いたところ、ある事業の責任者が「鬼速PDCAの本を読んだ事があります、すごく良かったですよ」と言うんです。
さらに、15事業のうち半分ぐらい導入賛成に手が上がったんですよ。その時に、これは現場が強く求めているサービスだと感じましたね。
その背景には、グループにおける業務の多角化・拡大化が影響しておりまして、「共通したマネジメントやマニュアルの導入が必要だ」という要望が以前から出ていたんです。その流れでまず、共通の人事評価制度を導入した結果、退職者が減って従業員のやる気が高まるなど、一定の成果を出すことができました。
その次はやはり「どのように事業を伸ばしていくか」ですよね。今までは、僕ら経営陣が各事業部にコンサルとして入って具体的にアドバイスする、ティーチング的な伸ばし方だったんです。しかしこれからは、それぞれの事業を自発的に伸ばしていきたいと、多くのメンバーが共通して思っていて。そのコアとなる理論やマニュアルが必要だったんです。そういったタイミングだったこともあり、鬼速PDCAの導入を決めました。
導入後の変化
因数分解を行うことで、KPI設計のプロセスが明確に。半年経った今、KPI設計をしない事業は伸びないという文化が根付いた。
鬼速PDCAを受講してみていかがでしたか? 印象に残っている内容を教えてください。
森社長
今回は、グループの事業責任者4人に対しての講義と個別フォローという形での受講でした。その中で印象に残っているのは、KPI (Key Performance Indicator / 重要業績評価指標)を設定する話のなかで紹介していた、コップ2個の図ですね。
これまでKPIを設計するときは、「多分これ」というように明確なデータもなく選んでいたんです。確固たる根拠がなかったので「本当にこれでいいのかな」という不安が常につきまとっていました。しかし、このコップの図(以下の図)のように“因数分解”して本質的な課題から辿っていけば、必然的にKPIが浮かび上がってくることが体系的に理解できたんです。
例えば、MindMapで要素を書き出しながら“因数分解”すると、頭で考えるだけでは見えてこなかった因子も洗い出すことができます。そのように課題を大量の因子に分解して、そこからKPIを設計する方法は、とても合理的で納得がいきました。
みんなとても真面目に取り組んでいますが、その中でも鬼速PDCAの導入を提案した派遣事業部長は特に熱心ですね。事業部の責任者たちに、鬼速PDCAの概念をレクチャーすることもあります。また、収益が最も高い通販事業部の責任者は、KPIを設定して一人ひとりのKDI (Key Do Indicator / 行動指標) に落とし込み、それを管理するなど積極的に活用しています。
もちろん、「数字が全てじゃない」と批判的だった事業部もありました。しかし、売上を伸ばしている1位、2位の事業部が、KPIを最も達成していることが明らかになったり、KPIの精度を高めたことが成果につながると分かったので、前向きな姿勢に変わっていきました。今では、KPI設計の大切さが各事業部に浸透している実感があります。
月次報告についても、全体の事業部で“因数分解”を活用しながらKPI指標を明確にすることで、どんどん改善されていきました。「適切なKPI設定をしていない事業は伸びない」というのが弊社のスタンダードになってきています。
鬼速PDCAの効果①
鬼速PDCAの簡単なフローに従って、KGIからKDIまで正確に設定。コロナ下でも営業利益が前年比7倍に。
Suprieve Holdings株式会社 執行役員 CHRO
Evand株式会社 代表取締役 石田 優太郎 氏
鬼速PDCAのKPI設計について、どのような印象ですか?
石井執行役員 CHRO講義の中で特に印象に残っているのがKPI設計なんです。KGIをどのように設定するのかについて、話を聞いた時に「これが本質なんだなあ」と腹落ちしたことを覚えていますね。「そこだけに自分の時間を使えばいいんだ」と、本当にやるべきことが明確になった瞬間の衝撃は忘れられません。
KGIからKPI、さらにはKDIまで落としていく時、フローに沿ってやれば意外と簡単なことにも驚きました。KPI設計でいえば、今まで「大切なのはこれでしょ」と自分の知識と経験だけで設定してなんとかやってきたんです。でも「本当に合っているのかなあ?」とモヤモヤする思いも払拭できずにいました。
一方、鬼速のKPI設計はフレームワークが明確なんですね。「こんなに簡単なの!?」と驚くほどですが、その通りにやれば誰でも同じようにできるので、合っているかどうか不安になることもなく、とてもラクなんです。私もその方法でやってみたところ、自分で設定したKPIと結果が同じに。自分の感覚に自信がついたのと同時に、KPI設計でかなり確信が持てるようになりました。
KDIの部分でも以前は「今日はこれから何するの?」という行動の部分が明確化できていませんでした。根性論というかとても抽象的な「徹底します」、「頑張ります」、「やり切ります」などの言葉で各メンバーが感覚的にやっていたんです。そこへ鬼速PDCAを導入し「徹底するのは何を何回するの?」という形まで落とすようになりました。そのおかげで「テレアポを何件やればいいのか」、「採用するためにはこの行動を5件やればいい」という風に、どこへ集中すればいいのかが明確になりました。
また、「時間資本」についての考え方も社内で積極的に活用しています。プログラムの中で、実際の仕事をすべて書き出して時間配分を検証したのですが、かなり会議時間が長いような印象でした。そこで、会議冒頭の無駄話しを出来るだけ省き、「会議時間は30分」というマインドを社内で共有したんです。最初は「ちょっと難しいかなあ」と思いましたが、最近はメンバーの意識が大きく変わり、今まで1時間かかっていた会議を30分に短縮できています。講義で教えていただいた通り、最初に会議のテーマを明確にするので、みんなと繋がった1秒目からミーティングを始められます。
メンバーの働き方の変化は結果に表れ、鬼速を導入してから事業部の業績は以前と比べて7倍に伸びました。苦しいコロナ禍における飛躍的な成長なので、組織は確実に変わったと感じています。
鬼速PDCAの効果②
導入後に営業利益が前期比で30%増。鬼速PDCAは体系化された理論と、情熱のあるエンジニアが揃った信頼のパートナー。
鬼速PDCAを導入してみていかがでしたか?
森社長これは石田も言っていましたが、PDCAエンジニアの皆さんがとにかく親身なんですよね。「この回が終わればサービス終了、次の企業へ」という無責任な感じではなく、PDCAを改善させて弊社(顧客側)の数字を伸ばしたいという情熱が伝わってくるんですよ。しっかりとした責任感を感じましたし、ノウハウ面で明確なフレーム があったので安心感もありました。
実は、今まで他のコンサルティングもたくさん受けてきたんです。例えば、ある会社では、丁寧にヒアリングしてくれてオーダーメイド的な感じで色々と考えてくれたので、印象として悪くありませんでした。ただ「属人化しすぎでは?」と感じることがありましたね。というのも同じ会社のコンサルティングを2度受けたところ、担当者によって全く内容が違っていたんです。それとは逆に、システム化されすぎているコンサルティングも問題です。「マニュアルさえあればいい」と感じてしまい、魅力を感じませんでした。
その中で鬼速PDCAは両方を満たすものでした。マニュアル化ではなく理論が体系化されており、再現性の高い部分がありながら、PDCAエンジニアがその企業に合わせて中身をカスタマイズしてくれるので、他にはないコンサルティングだと感じました。そのため、「導入してすごく良かったなあ」と思いましたし、自信を持って推薦できる会社だと感じます。
鬼速PDCAを受講してからの約半年間で、導入後の営業利益が前期比で30%増を果たしました。これはKPI設計が全員に浸透した結果であり、鬼速PDCAの効果だと思います。コロナ以前では、ほとんどの事業で毎月純増純益していましたが、コロナの影響を受けて大きなダメージを受けた事業もありました。
しかし、通販事業では1.3倍に業績が伸びるなど、ダメージを受けた事業も次第に元の水準に戻り、グループ全体で見ると利益増になりました。今は人材派遣も通常の水準に戻ってきているので、そのまま推移を見守りつつ、今期は100億を目指したいです。
今後の活用
大阪No.1ベンチャーを目指し、売上1,000億まで成長する。
鬼速PDCAを活用した今後の展望について、お聞かせください。
今後は最低でも売上1,000億ぐらいの規模に育て、すべての企業にパートナーとして選んでもらえるような会社に成長したいです。少なくとも、商談のテーブルについていただけるようにしたいですね。実はその期間も決めており、あと4、5年以内での達成を目指しています。私たちの場合は、上場しないである程度地位を確立したベンチャーを作ろうと思っているので、大手と取引するために会社規模が重要です。そのため、まず今期は100億に到達させたいと考えています。1億から100億は難しいと思いますが、100億に到達してしまえば、その先の1,000億は難しくないと感じています。
また、弊社は大阪のベンチャーの中で、かなり信頼がある方だと自負しています。近辺の大手企業から仕事を依頼されることが多くなりました。「YouTubeの動画制作」の話から、「なんばパーク再開発のプロジェクトリーダー」の依頼、「御堂筋のイルミネーションプロジェクト」の運営委託など、色々な案件でお話をいただいています。それらの様々な仕事を請け負い、信頼を積み重ねたことで、大阪の一等地にある複合商業施設「グランフロント大阪」にオフィスを構えることができました。
これからは「グランフロントの目立つ場所にオフィスがあるベンチャー」ということで、大阪の中でも特に存在感のある企業として、より注目されるのではないかと思います。そうなると売上も100億ぐらいあるほうが、商談やリード獲得の説得力が増しますよね。今後は鬼速PDCAという“武器”を活かしながら、事業をグロースさせる理論をさらに社内へ浸透させ、大阪No.1ベンチャーを目指していきたいと思っています。