就活に励む学生にとっては、志望動機を考えだしたり自身の適正を見極めたりすることも、もちろん大切だ。が、最大の関心事といえば、やはり給与、特に初任給だろう。

横並びを常とする多くの日本の企業は、初任給も似たような額面となっているが、世の中にはびっくりするほど高額の初任給を出してくれる会社がある。また生涯年収で見ても、目を丸くしてしまうほどの給与を出し続けてくれる会社もあり、入社する企業によって、実態は千差万別だ。

なぜそれほどの高い賃金を実現できるのか。どんな秘密があるのか。就職先としてどうなのか。代表的な企業を例にその実態を紹介したい。

キーエンスでは30歳で、年収1292万円!

年収の高い会社として知られている企業のひとつが、東証一部上場の「産業用エレクトロニクス」メーカーのキーエンス <6861> である。同社の事業内容は工場用センサーの開発・販売、つまり法人向けの販売がメインとなっている。そのせいか、一般的な認知度は低いものの、高収益体質を誇る日本有数の企業として知る人ぞ知る優良企業だ。

早速、報酬の水準を見てみよう。初任給こそ新卒で 20万5000円 (2015年4月実績)と平均的だが、30歳の年収は1292万円、40歳で1622万円。また、2014年度のデータに基づく、年収が高い会社ランキングでは第1位を獲得した。生涯給料も5億6000万円とダントツの1位となっている。

平均的なサラリーマンの生涯賃金は2億〜2億5000万円程度といわれているし、製造業の給与は低いという一般的なイメージもあるから、この高給ぶりは驚異的である。ちなみに、女性が合コンしたい企業ランキング でも第9位だそうである。

キーエンスは工場のない、いわゆる「ファブレス企業」であり、経常利益率52%、社員1700人、無借金経営という超優良企業だ。事業内容は「コンサルティング営業」が主力で、値引きはせず、営業日報は分単位、接待禁止など、実際の勤務はなかなか大変そうだ。だからこそこの高収益経営、かつ高額の年収を実現しているのだろう。