認知症になると資産が凍結されるーー2月17日配信の当コラム『富裕層も活用 人生の「3つの寿命」と資産防衛』ではそんな話を紹介しました。ちなみに、厚生労働省は2025年に認知症患者数が700万人前後に達し、65歳以上の約5人に1人を占めるようになると推計しています。「認知症で口座が凍結」されるリスク(認知症リスク)は誰にでも起こり得ます。それは富裕層であっても例外ではありません。たとえ金融資産が100億円あったとしても資産が凍結されるリスクからは逃れられないのです。

では、私たちはそのような認知症リスクにどう備えれば良いのでしょうか? 一番良いのは認知症にならないことですが、脳トレをすれば大丈夫ともいえません。FP(ファイナンシャルプランナー)としての立場から言わせて頂くと「認知症になっても困らないシステム」を組んでおくことが大切と考えます。万一、認知症を発病したとしても資産を有効に管理できるシステムが作動するように備えておくことが重要です。

今回は認知症リスクに備えるための「制度・サービス3選」をお届けしましょう。

成年後見制度のメリット・デメリット

富裕層,資産防衛
(画像=FGC / shutterstock, ZUU online)

認知症リスクの備えの一つに成年後見制度があります。成年後見制度は認知症や知的障害、精神疾患等で判断能力が不十分な人のために預貯金や不動産など「(本人に)不利益な契約を結ばされることのないように保護をする」ことを目的とした制度です。

成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。さらに法定後見制度は「後見制度」「保佐制度」「補助制度」の3つに分かれていて、本人の判断能力や事情に応じて選択することが出来ます。成年後見人は「法定後見制度」と「任意後見制度」のいずれも家庭裁判所が選任します。

ちなみに、厚生労働省の『成年後見制度の現状』(平成29年)によると、家庭裁判所で親族が成年後見人に選任されるケースは全体の約26.2%で、親族以外の第三者が選任される割合は約73.8%となっています。とりわけ財産が多い場合は、弁護士や司法書士が後見人になることが多いようです。