スマートフォンの5G対応機種の浸透をきっかけに、液晶から有機EL(OLED)ディスプレーへの置き換えが本格化する可能性がある。今年度下期の有力テーマの一つとみられ、部材や設備の関連銘柄を物色する動きが強まりそうだ。平田機工(6258)などに注目が集まる。

有機ELテレビ向けパネル
(画像=PIXTA)

この秋登場する米アップル<AAPL>のスマホ「iPhone(アイフォーン)」の新機種は、OLEDのパネルが本格採用される見通し。これまで一部の高額機種に限られていたが、今回からは全モデルのディスプレーに使用されるとみられている。

自ら発光する性質のOLEDは、既存の液晶ディスプレーのようにバックライトを必要としない。このため薄型化や曲面化が可能になるほか、自然な色合いで映像を表現できる。また、消費電力が液晶より抑えられるため、扱うデータ量が格段に増える5Gに対応するスマホには、OLEDディスプレーが搭載されるケースが増えそうだ。

高成長が予想されるOLED。スマホとともにけん引するのがテレビだ。ディスプレー世界大手の韓国LGディスプレー(LGD)はこの夏、中国で「第8・5世代」と呼ばれる最新のOLED製造ラインを持つ工場を稼働した。同拠点は韓国の主力工場に匹敵する生産能力を備える。

新型コロナの影響を受ける可能性はぬぐい去れないが、OLEDテレビも液晶からの移行のトレンドにより出荷台数が増える公算。関連する部材や製造装置に関しても、世界経済の先行きに不透明感がある中で市場の拡大が見込まれる。

有力銘柄の一つが平田機工だ。同社はOLEDディスプレーを蒸着させる工程に必要な真空環境をつくる「チャンバー」を手掛けている。今3月期第1四半期は、OLEDのウエートが大きい半導体部門の売上高が前年同期比約2倍に拡大した。

受注ベースではOLED関連は第1四半期に減少したものの、スマホやテレビへの採用増を背景に再び拡大へ向かうとみられる。また、OLEDの台頭で市場が縮小する可能性のある液晶関連のビジネスが比較的小さい点も注目される。株価は5月末以降のもちあいから、慎重な今期業績予想(連結営業利益19億円、前期比31%減)の上ブレを先取りする形で水準を切り上げる展開が期待される。

このほか、部材では正孔輸送材料の保土谷化学工業(4112)を筆頭に、JSR(4185)や東京応化工業(4186)、宇部興産(4208)などが浮上する。また、パネルメーカーではジャパンディスプレイ(=JDI、6740)の参入が復活のカギを握る。

小型株では広栄化学工業(4367・(2))を狙いたい。OLEDに関しては光学材料を手掛け、「川上」に位置付けられる。ディスプレーのOLED化は追い風になると考えられ、新型コロナ薬関連、親子上場関連(親会社は住友化学〈4005〉)の側面とともに注目される。(8月28日株式新聞掲載記事)

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