「GIGAスクール構想」が学校のITインフラ市場を本格的に押し上げつつある。これまで市場で繰り返し材料視されてきたテーマだが、企業業績への反映も相次ぐ。学校向け無線LANのアクセスポイント設置に強い古野電気(6814)は13日に、今2月期の連結営業利益予想を従来の2倍に増額修正。14日付株式新聞で取り上げたITセキュリティーサービスのYE DIGITAL(2354・(2))も、株価が急伸している。物色機運が高まる中、改めて有力銘柄に狙いを定めたい。

<ワコム>電子ペンの需要拡大――好業績支えに高値突破へ

ITインフラ
(画像=nd3000/Shutterstock.com)

ワコム(6727)はペンタブレットの世界最大手で、コンピューターグラフィックスに使う自社製品のほかに高い技術力を基盤とする電子ペンをOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。GIGAスクール構想で伸びるタブレット需要の恩恵を受ける。

同社の電子ペンはPC(パソコン)やタブレットの付属品として広く採用されている。新型コロナウイルスによりテレワークの追い風が吹いた今3月期第1四半期(4~6月)の連結営業利益は、22億円(前年同期は3億円の赤字)に大きく好転。通期計画(中央値は61億円)に対する進ちょく率は高く、上ブレ期待が高まる。

電子ペンは世界的に導入が広がるオンライン教育に絡んでも需要が増えている。「子ども1人にPC1台」を目指すGIGAスクール構想で、その勢いは一段と増す可能性がある。株価は13週移動平均線を足場に高値突破をうかがう。10月30日に第2四半期(7~9月)決算を発表する見通しだ。

<ウチダエスコ>学校PC導入は途上――長期上昇トレンドも有望

学校向けシステム構築に強いウチダエスコ(4699・JQ)の見直し機運が高まってきた。PCのセッティングサービスの体制も強化し、依然として大きいGIGAスクールの需要を取り込む。

同社の連結営業利益は前7月期に前々期比2.1倍の17億円に急拡大したが、今期は13億円への反落を計画する。米マイクロソフト<MSFT>のOS(基本ソフト)サポート期限に伴うPC更新特需の反動を想定し、保守的な水準に抑えた格好だ。

ただ、前期のソフト導入支援事業は受注高が前々期比16%増となるなど業況の勢いは増している。学校のPC整備はまだ途上の段階にあるため、同社のサービスの伸び代は広い。今年1月にはサービスセンターの移転に伴い、処理能力を月2万台(前施設の2倍)に引き上げた。

株価は6月の6760円をピークに調整したが、52週線のサポートで反発。3月安値に対し下値を切り上げる形となり、長期の上昇が期待される。

<アライドHD>サイバー攻撃対策出番――値動きの軽さも魅力

穴株的な存在がアライドテレシスホールディングス(6835・(2))だ。同社はサイバーセキュリティーと、通信インフラに強みを持つネットワーク機器企業。GIGAスクール構想を意識した製品展開で攻勢を掛ける。

今12月期上期は連結営業損益が13億円の赤字(前年同期は10億円の赤字)となるなど、新型コロナの影響も受け軟調だった。しかし、国内の売上は小幅ながら増加し、文教分野の需要も取り込んでいる。

サイバー攻撃のリスクが高まる中、子どもたちが標的になりかねない学校における対策は万全にする必要がある。同社は自動で攻撃を検知し、被害を受ける前にネットワークを遮断するシステムが国内外で高い評価を得ている。また、通信環境に絡んではタブレットなどのモバイル、PCなどの固定機の両方に対応したハイブリッド無線LANを開発し、さまざまな端末が混在する教育現場にアピールしている。低位の株価は値動きが軽い。(10月16日株式新聞掲載記事)

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