職場でのロジハラはパワハラにもなる?

職場でのロジハラは、パワハラ(パワーハラスメント)になる余地があることも知っておきたい。ここでは、パワハラの定義や本来の正論との見分け方を確認しておこう。

パワハラの定義を確認

厚生労働省が公表している「パワーハラスメントの定義について」によると、パワハラの定義は以下のとおりだ。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
出典:厚生労働省

同資料によると以下の3つすべてを満たすものを職場のパワーハラスメントの概念として整理している。

  • 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  • 業務の適正な範囲を超えて行われること
  • 身体的、精神的な苦痛を与えたり就業環境を害したりすること

先にも述べたが、正論は決して悪いことではない。正しいことをできるだけわかりやすく、論理的に伝えることは、部下に対する指導や組織内での認識を統一するうえではむしろ必要なことだ。

しかしパワハラの定義にもあるように正論の伝え方が「職場における地位や人間関係の優位性」により「他の従業員の能⼒発揮に重大な悪影響を及ぼす程度」に「業務の適正な範囲を超えて」行われている場合は悪い正論としてロジハラとなり得る。

それにより、例えば身体的・精神的な苦痛を与えたり就業環境が害されたりするほど不快な言動であればロジハラにとどまらず、パワハラになる可能性がある。この定義は、あらゆるハラスメントが該当する可能性があるので押さえておきたい。

中小企業事業主が行うべきパワーハラスメント防止措置

2020年6月1日に施行された「改正 労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」では、大企業にパワハラ防止の措置を義務づけている。施行当時、中小企業には努力義務とされていたが2022年4月1日からは中小企業にも義務化された。事業主の場合は、すでに防止措置を講じていると思うが、必ず講じなければならない具体的な措置の内容を紹介するので、あらためて確認して欲しい。

  • パワハラ防止に向けた会社の方針や規定を策定し、労働者に周知・徹底する
  • 行為者に対する対処の方針や内容を就業規則等、文書で規定し労働者に周知・徹底する
  • パワハラの相談窓口を設置し、従業員に周知する
  • パワハラが発生した後の対応フローを整備する
  • (パワハラが発生した場合)事実関係の確認後、行為者・被害者に対する適正な措置を実施する
  • パワハラの再発防止措置を講じる

詳しくは、厚生労働省のサイトでも示されているので確認しておくといいだろう。
厚生労働省:パワーハラスメント防止措置