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(画像=ラクスル株式会社)
石田 朝子(いしだ あさこ)
ラクスル株式会社経営企画部 サステナビリティ/ESG担当
前職では創業から上場までを経験し、人事組織立ち上げ・業務全般に従事。2021年2月にラクスルへ入社。サステナビリティ/ESG担当として、ESG情報の開示やサステナビリティの推進を担当している。
ラクスル株式会社
ラクスルは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」という企業ビジョンのもと、印刷、広告や物流といったデジタル化が進んでいない伝統的な産業にインターネットを持ち込み、産業構造を変えることで、より良い世界にすることを目指します。現在ではネット印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」、マーケティングプラットフォームを提供するノバセル株式会社、物流プラットフォームのサービスを提供するハコベル株式会社、コーポレートITのサービスを提供するジョーシス株式会社を運営しております。

ラクスルのESGにおけるこれまでの取り組み

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(画像=ラクスル株式会社)

ラクスルが本格的にESGに取り組み始めたのは、2021年の初めでした。そのきっかけとなったのは海外の投資家から「ESG格付けで評価されていないため、投資することができない」というフィードバックでした。

従来、当社では、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンに基づき、社会構造を変革していくことがよりよい社会を実現していくものと考え、事業活動を通して自然と取り組んでいましたが、ESGというカテゴリーに対しそこまで意識できていなかったように思います。これを機に、担当者をつけプロジェクト化して、まずは日頃のラクスルの取り組みをきちんとステークホルダーに向けて伝えていこうとESG情報の開示準備から着手しました。

当初は、主要な評価機関の評価基準等を分析したり、適切な情報開示の方法を模索したりと手探りの状態でしたが、社内の協力も得ながら4か月後にはサステナビリティ・ESGサイトを刷新しました。評価機関やステークホルダーがほしい情報を適切に取得いただけるよう工夫したことで実際のESG評価も始まり、MSCIやFTSE Russellといった評価機関の指標を用いてESGの取り組みの進捗度を測り、改善していくサイクルを構築することができました。

現在、MSCI ESG格付けにおいて「A」評価を獲得し、また世界的なESG 投資インデックスである「FTSE Blossom Japan Index」「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」に選定されております。

情報開示のプロセスにおいて最も重視したのは、サステナビリティ・ESGを捉えて、優先すべき重要課題を特定するマテリアリティアセスメントでした。国際的な基準やガイダンスに基づく網羅的な課題検討と投資家やサプライヤーとの対話や従業員サーベイを実施し、ステークホルダーの複合的な期待を把握しながら特定しました。また、課題を優先付けしたことで、その課題への対応進捗・管理や新たな取り組みの必要性を検討して、整理することができたと思います。

「次世代リーダー人材の育成と複利による報酬還元」をマテリアリティに策定されていますが、具体的な取り組みをお聞かせください。

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(画像=ラクスル株式会社 事業内容)

次世代リーダーの人材育成の機会としては、プロジェクト制度があります。中長期で創出したい事業価値から逆算して思考し、課題設定および解決に向きあう、グループ全社横断の審議会です。各事業から継続的な成長への貢献度が高く、グループ横断でリソースを必要とするようなテーマがノミネートされ、各事業の執行責任者も参加して議論・審議します。時に議論がヒートアップすることもありますが、そこから実際に新サービスがうまれたり、子会社社長を輩出した事例もあります。他にも、戦略的なM&Aや子会社化といった組織改編を通して、アサインされたリーダーは実地での経営実践を経験し、その機会の創出が人材の育成に繋がっていると考えています。

また、当社では、中長期的な企業価値向上への意識改革やエンゲージメントの向上を目的として、役職員に対して新株予約権制度と譲渡制限付き株式報酬制度を採用しています。従業員の成果に対する対価として、現金報酬だけではなく、長期株式価値の上昇を通じて享受できる仕組みで、意欲や士気の向上とともに組織の結束力をさらに高めることが期待されます。

ESGの取り組みでこれから目指すところ

2つのアプローチがあると考えています。1つ目は本質的なESGの課題に向き合い、解決していくこと、2つ目は、そのパフォーマンスをステークホルダーに透明性をもってお届けすることで正当に評価いただくことです。

直近1年は、後者に重点をおき、業務プロセスの構築含め推進してきましたが、これからは、前者の本質的な向き合いで中長期的に企業価値を高めることに繋げていく必要があると思っています。当社において、プラットフォームを設計し、サプライヤーとお互いの信頼関係を深めながら生産ラインを構築して実装させていく競争力の源泉は人材であり、それに対する社会(Social)の取り組み、特にダイバーシティに関する取り組みは重要だと考えています。

性別や年齢といった特定の属性による多様性のアプローチについては、社内で各指標・目標をもって人事と事業が連携して推進しています。特に、女性比率が年々上がっており、国内では49%と半数に届くところまできました。一方で、特定の属性による多様性と個々が挑戦・活躍できるかは別だと思っており、採用、育成、評価、福利厚生といった職場の環境整備など、継続的なアップデートが必要だと考えており、コーポレート人事と事業HRBPとの連携のもと進めています。

気候変動への対応では、TCFDが提言するフレームワークに沿ったシナリオ分析を行い、当社が抱えるリスク・機会を特定しています。その対応の一つとして、環境対応紙の取り扱いを進めていく方向で、FSC認証を取得しました。適切な森林管理がされた資源である証明であり、サプライチェーンのなかでのラクスルの位置づけとして、トレーサビリティの確保した資源の確保は重要だと考えており、実際の商品の提供に向けて進めていきたいと考えています。

今後の上場企業の意義や投資家ユーザーへのメッセージ

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(画像=ラクスル株式会社 オフィス)

当社は「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンのもと、デジタル化が進んでいない伝統的な産業にインターネットを持ち込み、産業構造を変えることで、より良い世界にすることを目指しています。

その実現のためにも、今後も多様なステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを大事にしながら、対話でいただいたご意見をサステナビリティ委員会でも議論の上、しっかりと企業・事業活動に反映させていきたいと考えています。そして、透明性をもって非財務状況の開示を拡充していくことで、ラクスルが課題やリスクにどう対応しているか、社会的課題に対するパフォーマンスはどうか、その説明責任を果たしていきたいと思っています。

氏名
石田 朝子(いしだ あさこ)
会社名
ラクスル株式会社
役職
経営企画部 サステナビリティ/ESG 担当