地震の感知において、日本の高度なノウハウと技術を用いて開発をし続ける株式会社チャレンジ。代表の佐々木氏は、NTT社での約20年の経験を経て、日本独自の技術を世界に広めるという志を持って、2009年に独立。 本記事では株式会社チャレンジの創設者であり、地震速報技術の革新者である佐々木氏に、彼の会社の歩み、事業の特色、そして未来へのビジョンについて話を伺った。

株式会社チャレンジアイキャッチ
(画像=株式会社チャレンジ)
佐々木 和男(ささき かずお)
株式会社チャレンジ代表取締役
東北大学工学部大学院に進学。卒業後、NTT入社。電気通信事技術と向き合う中で、建設工事監督、電話保守、営業を現場で経験。その後、株式会社チャレンジを立ち上げる
株式会社チャレンジ
株式会社チャレンジは、特に地震速報のシステムにおいて画期的なテクノロジーを開発し、それを世界に展開することで、数多くの国々における地震からの人命の救出を実現している。 彼らの強みは日本の高度なノウハウと技術を基に、地震の発生を瞬時に感知し知らせる能力にある。さらに、佐々木氏は、これらの技術をただ売るだけでなく、国々と協力し、地震による被害を最小限に抑えるためのパートナーシップを築き上げている。

株式会社チャレンジの事業変遷

まずは、起業からこれまでの事業展開について教えていただけますでしょうか。

私は約20年間、NTT社で働いていました。会社員時代は自分の考えを自由に実現することの難しさを感じていた上に、日本が抱える社会課題に対して自分なりに貢献したいという思いを強く持ち、退職の上、2009年に当社を起業しました。

当時は、1年ほど練っていたアイデアや起業自体に対して、家族や当時の上司にかなり反対されました。また、安定した環境から飛び出すことへの不安ももちろんありました。しかし、当時のお客様であった中小企業の経営者の方に「自分の思いを実現すべきだ」と、背中を押していただき、起業という決断を下しました。

実際に事業をスタートさせる上で、日本だけでなく世界に向けて事業を展開する世界的な企業を目指していました。その中で、最初に手掛けたのはリモコンで操作するセキュリティシステムで、そこから通報装置へと派生しました。具体的には緊急事態発生時にリモコンを押すだけで学校全体に異常を通報できるシステム「スクールガード」や、同じ仕組みで病院内の安全を守る「ホスピタルガード」を提供し始めました。地道な営業と営業の中で築き上げた縁によりスクールガードは1000件以上の導入実績があります。

加えて、地震速報装置の開発・販売も手掛けています。このシステムは、P波を感知後、解析を行い、S波が到達する前にアラームを鳴らすことで、地震発生の事前警告を行うことができます。気象庁とも連携を深めており、私自身は緊急地震速報利用者協議会の理事を務めております。

チャレンジが築き上げてきた強みとは

続けて、自社の事業の強みについて教えていただけますでしょうか。

強みは、先ほどお話しした地震速報装置に内蔵されているセンサーです。気象庁の緊急地震速報システムは、全国の1000箇所ほどの地震計が地震を感知し、データが送られたあと、震源地や規模を特定する仕組みです。我々もデータセンターを保有しており、気象庁から受信し地震速報を発報する仕組みも持っていますが、このセンサーの強みはダイレクトに地震を感知し、地震の発生を瞬時に知らせることができる点です。

震源地が比較的遠い場合は気象庁のシステムで問題ないのですが、直下型地震など震源地が近い場合だと地震を検知しアラームを鳴らす前に大きな揺れがきてしまう可能性があるのです。地震から命を守るには、数秒が非常に重要で、我々はその数秒で少しでも多くの人命を守ろうとしています。

さらに、11カ国語に対応しており、世界中どこでも使用可能である点も強みです。海外では気象庁のような役割を担っている機関が存在しない国も多く当社はガーナやカザフスタン、クロアチア、インドなど各国と協力しています。

それでは次に、過去のブレイクスルーとなったポイントについて教えていただけますでしょうか。

ブレイクスルーは学校での防犯用通報装置「スクールガード」の営業活動での出会いでした。まだ創業して間もない頃は、我々自身はこの通報装置に今までにない可能性を感じていたのですが、いくつかの学校や役所に営業をしてもなかなか導入に至ることはありませんでした。当社の名前が知られておらず、実績もなかったからです。その中で、実機で何度かデモと打ち合わせをし、我々のシステムに共感し導入していただいたのが筑波大学の小中学校、養護学校等の附属学校でした。これが実績になり営業活動により多くの学校に採用され、事業としても伸ばすことができました。

我々としても自分たちのアイデアが有益と信じ、実現可能であることを証明してきました。また、新聞や記事、広告、展示会への出展など幅広く宣伝活動も続けてきました。さらに、地震速報装置に取り組むことになったきっかけもスクールガードの営業活動のなかで関係者から情報を得て気象庁並びに緊急地震速報技術と出会い製品開発できたからです。このような地道な営業活動の中での出会いが一つのブレイクスルーになったと考えています。

チャレンジが掲げる未来構想とビジョン

次に、御社事業の未来構想について教えていただけますでしょうか。

日本の緊急地震速報のシステムを海外で構築しようと考えています。海外では地震が多い国でも気象庁のような機関や地震に関する地震を検知し国民に知らせる仕組みが未完成で機能していないのが現状です。

現在、国内外で速報装置の機械の製造・販売を行っている会社は多くあります。しかし、我々は製品だけでなく、システムが重要だと考えております。製品があるだけでは、システムとして地震の検知や分析が出来ません。そのシステムを展開している会社がドイツにあり、地震に関する情報を集め、分析する技術を各国に展開しています。しかし、ドイツは地震がなく、ノウハウが少ないためシステムとしては完成・運用例がありません。実際に二カ所で起きた地震の震源地を間違うことや雷などの自然現象を地震だと誤報してしまうケースなど日本では各種事例を経験してきています。また、1000箇所以上の地震計があるものの、データを収集・分析し地震速報を出すまでに数分かかり、アラーム発報が手遅れになっている国もあります。

一方で、日本の地震速報のシステムは画期的です。加えて日本は他国と比較して非常に地震の多い国ですので、そのノウハウと経験がシステムをより強固なものにしています。しかし、気象庁はじめ日本はそのシステムを海外に普及する取り組みが足りません。我々はシステムを海外で普及しようと考えており、実際に幾つかの提案も行っています。

最後に、御社もしくは佐々木代表のビジョンについて教えていただけますでしょうか。

はい、我々の使命は、日本の技術並びに歴史・文化を含めた日本そのものを世界に普及することだと考えています。特に地震速報の技術については、世界で約30カ国が地震に困っていながらも、ノウハウや技術がなく具体的な対応策が取れていない状況です。現在、世界を見ると、日本の技術は最も先進的な技術であるにも関わらず、その普及はごく一部に留まっています。

我々は地震に関する技術を提供し、相手国と一緒に取り組むことで世界を変えたいと考えています。そのためにも、日本政府や関係機関、ユネスコの防災チーム、UNIDO、日本防災プラットフォーム等と協力し、地震に悩む国々と協力しています。これらの機関との協力により、我々は海外での事業展開をスムーズに進めることができています。

また、我々は、機関や国、民間企業に、技術を提供し、共に問題解決を図る仲間です。必要があれば、まずデモ機を寄付することもあります。時間はかかりますが、金銭面だけを追うのではなく、信頼を第一に置起き、その上で、数多くのパートナーと長期的な関係を築き我々のビジョンに向かって邁進していきたいと考えています。この取り組みは日本企業の成功事例になるのではないかと思っています。

ありがとうございます。御社のここまで事業として培ってきた経験や将来のビジョンについてよくわかりました。

氏名
佐々木 和男(ささき かずお)
会社名
株式会社チャレンジ
役職
代表取締役