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(画像=株式会社A. GLOBAL)
金 松月(きん しょうげつ)
株式会社A. GLOBAL 代表取締役
中国 吉林省出身。
先代社長との縁で株式会社ARTISTIC&CO. 通訳・経理担当として入社する。
入社半年後にはじめて通訳として展示会に参加。
そこで負けず嫌い&チャレンジする性格ゆえ営業活動にも積極的に参加。中国の企業相手に超大型受注に成功する。
これをきっかけに社内でも目立つ存在に。
入社2年目で子会社の取締役に就任し、同社 代表取締役就任/新規事業立ち上げる。
近年は既存事業の拡大に加えて、「すべての女性をきれいにする」新事業へ挑戦。経営や事業コンサルティング・アドバイスなども行っている。
株式会社A. GLOBAL
A. GLOBALは、家庭用高級美顔器の開発・製造・販売を手掛ける美容機器メーカー。
「美と人の、可能性へ。」をコンセプトに、製品の機能面だけでなく、外観にも美しさにこだわったモノづくりをしている。
当社の持つ独自技術として、 「美容成分を深く浸透させるインサートパルス」 「EMSによる筋肉刺激」 「中高周波による肌の温め」の 3つを同時に行うことで、圧倒的な相乗効果を実現した。また日本メーカーにおける、10万円以上の高級美顔器の全世界販売台数においてシェア約8割を誇り、全世界にむけて販売を拡大中。
また、中国最大のECショッピングイベント「独身の日/W11」商戦では、2022年過去最大の売り上げ「62億円」を達成。

これまでの事業変遷

―― まずはご経歴に関して伺いたいと思います。金さんはどのような経歴をお持ちなのでしょうか?

株式会社A. GLOBAL 代表取締役・金 松月氏(以下、社名・氏名略) :私自身は中国生まれで、18歳まで中国の田舎で育ちました。その後、留学のために日本に来て、それから20年以上が経ちます。中国では機会格差と貧富の差を肌で感じ、日本での留学経験など、今までの経験が私のビジネスに大きな影響を与えています。

―― 金さんがARTISCO&CO.で働いていた時から、現在のA. GLOBALまでの経緯を教えていただけますか?

私の当社でのキャリアはおよそ8年前に始まりました。元々数字にとても興味を持っていましたので、簿記を学び、知人の会社で経理の仕事も手伝っていました。ある通訳仕事の依頼で、現在の会社の創業者と出会いました。その時は見送りになりましたが、SNSで繋がっていて、しばらく経ってから創業者から「うちの経理辞めるので、うちの会社で働かない?」とオファーを頂き、入社することになりました。

入社後は経理を担当しつつ、初めてメーカーとしての仕事を経験しました。価格設定など、多岐にわたる業務を経験しながら、商品を売ることが現代のビジネスの可能性を広げると気づきました。また、言語力を活かして海外のお客様と接する機会も得ることができ、自分の領域を広げるために様々なことにチャレンジしました。

そして、経理を担当しつつ営業マンとして活動していたところ、海外での取引量が大きくなり、会社のトップに立つことになりました。それがきっかけとなり、現在の株式会社A. GLOBAL(旧名:ARTISTIC&CO. GLOBAL 2023年9月より社名変更。)という会社を設立しました。その設立は今から6年前のことです。

設立時には、当時の本社から250万円の出資を受け、私自身も50万円を出資しました。しかし、設立から2年目には既に規模は156億円まで拡大しました。これは、私たちが一生懸命に成長を目指して努力した結果です。

―― そのような急速な成長を遂げた理由は何だと思いますか?

振り返ってみると、可能性を自分で制限しないこと、頭で「できない」と決めつけないことが非常に重要だと思います。また、運を活かす方法も大切です。私たちは常に運が良く、訪れるチャンスを最大限に利用することができました。例えば、インバウンドが増えた時、それを一時的なものと捉えず、それをどう次に生かせるかに投資することが大切だと思います。

ただ、頭の良い人は世の中にたくさんいます。やるかやらないかという違いだけです。私たちは本当に良いと思うことをやり続けました。その結果、全く同じ業界でもなく、メーカーの経験もない中で、成果を出すことができました。

株式会社A. GLOBAL
(画像=株式会社A. GLOBAL)

自社事業の強み

―― 現在は「グローバル」という名前で事業を展開していますが、その背景にはどのような経緯があるのでしょうか?

実は、グローバルという会社は、製造メーカーとして、そして自社ブランドとして10年以上の実績のある会社が基盤です。創業者からは最初の苦労話をよく聞いていました。初めての業界で、どうやって入ろうかというところから始まり、トップの方に会うために何時間も外で雨の中待つような日々もあったそうです。

―― それは大変だったでしょうね。しかし、そういった経験があるからこそ、今の成功があると言えるのかもしれませんね。先代が築き上げたものを引き継ぐというのは、それなりの責任が伴います。それに、相続という観点から見てもどのような経緯があったのでしょうか?

実は、当時の親会社から投資を受けた時、その規模感は本体の規模感は20億円には及ばなかったのです。しかし、その後一期目で20億円、2期目で156億円と成長し、3期目にはコロナの影響を受けつつも、株価が伸び続けました。しかし、2021年に先代が急逝され、グローバルの株式を買い取る形で相続しました。

―― しかし、その経緯を踏まえて、今のグローバルという会社があるわけですね。

そうですね。元々私自身、最初は代表になりたいとは思っていませんでした。海外展開をするにあたり、外国人の名前は日本人の名前とは違うことから、海外の人々にとってマイナスになる要素を避けるためでした。また、日本の社会においても、先代の方が信用があると考え、代表の肩書きにこだわらず、自分ができることにチャレンジし続けることを重視しました。

私たちの会社は女性が8割、20代が半数以上という若い組織です。当初はみんなをしっかり引っ張っていこうと思っていたのですが、気づけば頼ることが多かったです。また、美容業界であることから、女性が多いです。それに伴い、中間管理職などで悩みを抱えることもあります。しかし、その若さからくるエネルギーも感じています。新しい挑戦の中で女性の役割を提供したいと考えています。また、無在庫販売システムなど、さまざまな取り組みを行っています。

―― それは素晴らしいですね。若い組織が多様な取り組みを行い、成長している様子に感銘を受けました。私たちの会社も25期を迎えるのですが、25年経つと同じようにスタッフも年齢を重ね、平均年齢が40後半になっています。それぞれの時代によって会社の雰囲気や流れ、商品などが変わってきました。その変化に伴って組織や戦略を変更していくというのも大切な点だと感じました。

思い描いている未来構想や今後の事業プラン

―― 現在、御社では、特に何か興味を持たれている点や今後の展望はありますか?

海外の売り上げが主力であることもあり、海外展開にも興味があります。美顔器では業界トップを目指しています。同じ業種だけでなく、新しい分野への展開も考えています。それと同時に、私がいなくても組織とシステムが機能するようなビジネスモデルを構築しています。また、事業承継についても考えています。先代創業者からは、「人のお金を預かると自由がなくなる」と教えられてきましたが、事業の規模が拡大すると、出口戦略が必要になると感じています。そのためには、資本力がある所との提携も選択肢の一つとして考えています。

一方、これまで共に成長してきたメンバーへの還元を重視するという事も考えています。社員の皆さんに対してストックオプションを提供することです。その上で、歓迎される仕組みを構築し、その基盤が整ったら新たな投資を受け入れるかどうかを決めるつもりです。そして、上場も選択肢の一つとして目指したいと考えています。

―― すばらしい理念と展望ですね。それを目指していく上で、御社の売り上げの主体は海外市場が多いのですか?

はい、そうです。日本国内の流通であっても、エンドユーザーがインバウンドだったり海外だったりするため、全体の約80%が海外市場です。

―― 日本国内の市場についてはどのようにお考えですか?

日本国内のクローズドマーケットで活動してきましたが、ここ数年ではオープンマーケットにも取り組み始めました。日本のブランドとして、日本で認められたブランドが良いと考えています。当社は現在、海外市場の方が強いですが、長い目で見た時、国内の基盤を知らなければならないと考えています。そのため、日本市場にももっと力を入れていきたいと思っています。

―― 日本の製品についてはどう思いますか?

日本の製品は素晴らしいと思います。日本のものづくりには魂が込められていると感じます。日本にしかないものがたくさんありますし、世代によっては日本人のプライドを持って取り組んでいるところも多いです。その良いところを生かしながら、最先端の技術、日本の思いやり文化など、他の国にはないところを反映させていきたいと思います。

―― そうですね。中国出身の金社長ならではの観点が活かせそうですね。

地域社会との関わり方

―― 御社HPからは地域貢献に積極的な印象をもちましたが、社会貢献の面はどうでしょうか。

はい、医療機関に対して美顔器を提供する活動をしました。コロナの影響でストレスを抱えている医療関係者が少しでも楽になればと思い、この活動を始めました。

―― その活動の一環として、環境に配慮した材料を使用するという取り組みについて教えていただけますか?

使用する全ての材料を環境に配慮したものにするという方針を掲げています。しかし、それだけでなく、その材料が本来の機能を果たせなければ意味がありません。そのため、私たちはまず、皆さんが無駄なく使っていただけるものを作ることを最優先にしています。

例えば、使用しなくなった商品に対しては下取りサービスを始めました。また、サブスクリプションという形態も展開しています。これは、商品を購入する前に試してみたいというお客様のニーズにも対応できます。

―― このような社会貢献活動は、投資家からも注目されています。今後の動きについても、ぜひ注目していきたいと思います。

はい、今後もその時代に必要とされている社会貢献活動を続けていく予定です。

氏名
金 松月(きん しょうげつ)
社名
株式会社A. GLOBAL
役職
代表取締役