株式会社カオナビ
(画像=株式会社カオナビ)
杣野 祐子(そまの ゆうこ)
株式会社カオナビコーポレート本部長
ITベンチャーやアパレル企業にて契約業務、知的財産権業務、コーポレートガバナンス業務等、企業法務全般に従事。2018年に株式会社カオナビに入社し、上場に向けた内部統制の構築を担当。2019年よりコーポレート部門責任者を務め、ESGの取組みに関するプロジェクトを推進。
株式会社カオナビ
株式会社カオナビは、社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム「カオナビ」を提供しています。現在では3,000社を超える企業・団体にご利用いただき、8年連続国内No.1シェア(※)を獲得しています。 タレントマネジメントシステムのリーディングカンパニーとして、「“はたらく”にテクノロジーを実装し、個の力から社会の仕様を変える」というパーパスの下、テクノロジーによって一人ひとりの個性や才能を理解することで、個人のキャリア形成や働き方が多様化される社会の実現を目指しています。
(※出典 ITR「ITR Market View:人材管理市場2023」人材管理市場:ベンダー別売上金額シェア(2015~2022年度予測)、SaaS型人材管理市場:ベンダー別売上金額シェア(2015~2022年度予測))

ESGにおけるこれまでのお取り組み

当社のESGにおける取り組みはおよそ2年前から始まり、社会に対する責任を果たすための活動はどういうものかを模索していました。 当時、「“はたらく”にテクノロジーを実装し個の力から社会の仕様を変える」というパーパスが策定された時期でもあり、ESG活動の肝となる重要課題の特定においても、パーパスとの関連度を判断軸とすることにしました。

具体的には、国際的な基準や業界にとって必要なテーマをロングリスト化し、その中からステークホルダーの期待とパーパスとの関連度から特に重要なテーマを選定し、マテリアリティを特定しました。パーパスとの関連度の決定プロセスにおいて、全社員へのアンケートを実施し、現在のマテリアリティが選ばれました。
※参照:株式会社カオナビ 「マテリアリティ|サステナビリティ」(https://corp.kaonavi.jp/sustainability/materiality/)

この全社員が参加したアンケートの回答率は90%以上と高く、社員が自ら選んだマテリアリティを採用するというプロセスは、当社としても誇れる部分だと考えています。

地方創生-shipプロジェクトについて

マテリアリティには地域社会への貢献も選ばれています。そこで我々は「-shipプロジェクト」という取り組みを始めました。これはFC今治を運営する株式会社今治.夢スポーツと共同で今治の土地やそこに住む人々をエンパワーメントしていく地方創生プロジェクトです。今治は造船の町であるため、船としてのシップと、フレンドシップやリーダーシップなど、人と人との関わりや心構えを表す言葉の接尾辞「-ship」を掛けて、「-shipプロジェクト」と称しています。

正直な事を申し上げますと、この取り組みはかなり苦戦しました。我々はIT企業で、本社は東京にあります。そもそもどこのエリアを対象にするのかという議論から始まり、熟慮の末、 ご縁もあって、パーパスにも非常に共感を持っていただけた今治.夢スポーツ様と取り組むことになりました。今後はこの取り組みを当社のITの力で全国に広げていきたいと考えています。

具体的な取り組みの第1弾「キャリアオーナーシップ」としては、FC今治レディースサッカー選手の方々に引退後のキャリアについてのセミナーを実施しました。講師として元なでしこリーガーで現在webコンサルティング企業に務められている鳥谷部さんにお話をしていただきました。
※参照「第1回 -shipプロジェクトの記念すべき第1弾の取り組み、キャリアオーナーシップセミナーを実施しました!」(https://corp.kaonavi.jp/sustainability/regionalrevitalization/report-01/)

当初、現役選手にこのような取り組みを持ちかけることに少し躊躇しました。しかし、なでしこリーグを経験して、現在、セカンドキャリアを歩んでいらっしゃる方の話を聞いていただくことで、漠然と考えていた将来のことを認識していただきました。積極的に話を聞いたり、質問していただいたりと主体的に参加していただけたと感じています。

セカンドキャリアというのは考えるべきであって、今考えることで、サッカーに支障はありません。将来を見越して、今やるべきサッカーに取り組んでいただけることを支援できたのではないかと考えています。

現状だけではなくESGの取り組みでこれから目指すところ

マテリアリティの解決に向けて進んでいきます。 当社としては、事業に関連性の強いESGの「S」の部分についてまずは力を入れていきたいと考えています。社会情勢において人的資本開示が求められていますが、当社は以前から多様な人材の活躍は企業成長の源泉ととらえ、男女間格差の解消や育児休暇の取得推進、働く環境の整備など積極的に取り組んでいます。そこで、人的資本の情報開示義務への対応にとどまらず、自発的な情報開示にも重きを置き、Webサイト開設なども行いました。
※参照「カオナビ ユニバース」(https://universe.kaonavi.jp/)

事業の強み、実績

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(画像=株式会社カオナビ)

弊社の事業における強みとしては、日本のタレントマネジメントシステムのパイオニア的な存在として、業種・業態を問わず3,000社以上に選ばれています。カオナビを用いて社員の顔や名前、経験、評価、スキル、才能などの人材情報を一元管理して可視化することで、最適な人材配置や抜擢といった戦略的なタレントマネジメント業務の実現を支援しています。また、機能改善・追加を迅速に行うことで、人的資本の情報開示やリスキリング推進など、経営や人事が追われている課題の解決にも注力しています。

また、私たちのゴールはシステムを使っていただくことではありません。個人としての強みや個性を活かして、社会で貢献してやりがいを見出していただくということが本当のタレントマネジメントだ と考えています。

今後の上場企業の意義や投資家ユーザーへのメッセージ など

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(画像=株式会社カオナビ)

上場企業だからこそ、情報開示が求められる中で投資家やステークホルダーからのフィードバックを受けてPDCAを回し、ESGの活動を向上させていくことができると考えています。

今後もステークホルダーからのフィードバックを取り込み、例えばバリューチェーンに働きかけることで、1社では取り組みできない効果を生み出すこと等を目指していきたいと考えています。

氏名
杣野 祐子(そまの ゆうこ)
会社名
株式会社カオナビ
役職
コーポレート本部長